矯正後、後戻りが起きる原因は? ~保定の大切さ~|マウスピース矯正(インビザライン)|名古屋市中川区のおしむら歯科

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矯正後、後戻りが起きる原因は? ~保定の大切さ~



歯科矯正でもっとも気をつけたい現象に、歯並びの「後戻り」があります。


後戻りが起きると、せっかく整えた歯並びが元の位置に向かって、戻ってしまうのです。


今回は、矯正後、後戻りが起きる主な原因をご説明します。


■矯正後、後戻りが起きる原因は?


矯正後、以下のような要素があると、後戻りが起きやすくなります。


原因その①定められた時間、リテーナーを装着しなかった

矯正後の後戻りの最大の原因は、「定められた時間、保定装置(リテーナー)を装着しなかった」です。


歯科矯正では、マウスピースやワイヤーで歯並びを整えた後、保定を行います。


保定は、整えた歯並びを身体に馴染ませる大切な処置です。


歯並びを馴染ませることに加え、保定には、元の位置に歯並びが戻らないようにする、「後戻り防止」の役割もあります。


保定は、最初のうちはお食事と歯磨き以外の1日20時間以上、リテーナーの装着が必要です。


保定が進むにつれ、1日20時間から18時間、16時間、12時間、というように、リテーナーの装着時間を減らしていきます。


定められた時間、リテーナーを装着しなかった場合、歯を押さえつける力が足りず、歯並びの後戻りが起きやすくなります。


原因その②舌癖など、歯・顎に負担がかかる悪い癖をしている

リテーナーの装着不足に次ぎ、後戻りの原因で多いのが、舌癖(ぜつへき)などの悪い癖です。


[歯・顎に負担がかかる悪い癖の例]


・舌癖(上下の前歯のあいだに舌先をだす、舌で前歯の裏側を押すなどの癖)

・爪を噛む

・片側の歯ばかりで噛む

・下顎を突き出してしゃくるように飲み込む

・頬杖

・うつぶせ寝


など


上記のような悪い癖は、日常的に、歯・顎に負担がかかります。日常的に、歯・顎に負担がかかり続けることで、歯並びが元の位置に後戻りしやすくなります。


原因その③保定期間が終わった後、リテーナーを装着していない

通常、保定は、矯正治療と同じくらいの期間がかかります。矯正に1年半かかったときは、保定期間は1年半ほどです。矯正に3年かかった場合は、保定期間は3年ほどになります。


保定期間が終了した後は、リテーナーを装着しなくても、大きな後戻りは見られないこともあります。


ただし、人間の脳はいつまでも、元々の乱れていた歯並びの位置を覚えています。


「あれ?歯の位置がおかしい…元の場所に戻さなきゃ!」という、元々の歯並びを覚えている脳からの指令により、歯は、常に元の位置に戻ろうとするのです。このため、生きている限り、一生、後戻りが起きる可能性があります。


上記の理由により、保定期間が終わった後、ほとんど、または、まったくリテーナーを装着していないと、歯並びの後戻りが起きてしまうケースも。


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上記が、矯正後、歯並びの後戻りが起きる主な原因です。


次の項では、後戻りが起きないようにするための、重要な3つのポイントをご説明します。


■後戻りが起きないようにするための3つのポイント


ポイント①定められた時間、リテーナーを装着する

矯正後の後戻りを防ぐためには、定められた時間、リテーナーを装着することが大切です。


定められた時間、きちんとリテーナーを装着することで、後戻りを防ぎやすくなります。


後戻りの防止に加え、リテーナーの装着には、矯正治療で整えた歯並びを身体に馴染ませる役割もあります。


ポイント②歯・顎に負担がかかる悪い癖を改善する

舌癖など、悪い癖がある方は、歯・顎に負担がかかる悪い癖を改善することが大切です。


悪い癖を改善しないと、何度、矯正を行っても、その度に後戻りが起きる可能性があります。


とは言うものの、舌癖などの悪い癖は無意識にしている方が多いです。無意識のため、「やめなきゃ」と思っていても、ついつい、癖をしてしまうことも。


ご自身では改善が難しい舌癖などの悪い癖は、お口の筋肉トレーニング(MFT:口腔筋機能療法)などの歯科でのトレーニングで、癖の改善にアプローチすることが可能です。


歯科でのトレーニングのほか、癖の改善のために、精神科・心療内科で自己暗示的な療法(「自分は癖をしない人間だ」などの自己暗示)を受ける方法もあります。


ポイント③保定期間終了後も、継続して、リテーナーを装着する

保定期間が終わると、多くの方が、「ああ、これでやっと装置をつける生活から解放された」とホッとされます。


長い矯正期間、そして、矯正後の保定が終わったとき、ホッとするお気持ちは、本当によくわかります(歯科医師としても、「おめでとうございます!よく、がんばりましたね!」とお祝いの言葉をお贈りしたいです)。


しかし、せっかくのお祝い気分に水を差すようで申し訳ないのですが、保定期間終了後も、歯の後戻りは一生、起きる可能性があります。


矯正で整えた歯並びを維持するためには、保定期間終了後も、継続して、リテーナーを装着することをオススメします。


患者さまが自発的に行う、保定期間終了後のリテーナーの装着は、短時間でもかまいません。


ベストは毎日のリテーナーの装着ですが、1日おき、2日おき、1週間に数時間程度でもOK。定期的にリテーナーを装着することで、歯の後戻りを防ぎやすくなります。


【保定期間中はリテーナーの装着時間を守りましょう】


歯科矯正に欠かせない処置、保定。


装置で歯並びを整える矯正治療(動的治療)と保定はセットです。どちらが欠けても、整った歯並びは維持できません。


矯正で整えた歯並びを維持するために、保定期間中はリテーナーの装着時間を守りましょう。保定期間中に加え、保定終了後も、継続して、リテーナーを装着することで、後戻り防止につながります。

おしむら歯科こども矯正歯科クリニック
歯科医師
押村 侑希

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