歯の矯正で行うことがある「IPR」とは?目的・行うタイミング、IPRをしないケースについて|マウスピース矯正(インビザライン)|名古屋市中川区のおしむら歯科

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歯の矯正で行うことがある「IPR」とは?目的・行うタイミング、IPRをしないケースについて


こんにちは。おしむら歯科 院長の押村侑希です。


今回は、歯の矯正で行うことがある「IPR」について、お話しします。


IPR(アイピーアール)とは、歯科矯正で行うことがある、“歯の隣接面のやすりがけ”です。正式名称をInter Proximal Reductionと呼びます。


■IPRとは?


◎歯と歯の間の隣接面のエナメル質をやすりで削る処置です

IPRとは、歯と歯の間の隣接面(フロスをかける、歯の側面部分)のエナメル質をやすりで削る処置です。


こう聞くと、


「えっ?何で歯を削るの?」


と疑問を感じる方もいらっしゃるかもしれません。


IPRで歯の隣接面を削ることには、以下のような目的があります。


■IPRの目的


①歯を動かすために必要なスペースを作る

矯正治療では、前に出っ張っている歯並びやガタガタした歯並びを整える際に、歯を動かすためのスペースが必要になる場合があります。


スペースが必要な場合に、歯と歯の隣接面のエナメル質を削ることで、削った分、スペースを確保するのがIPRの主な目的です。


②歯の幅を整える

歯の幅を整える目的で、IPRを行うこともあります。


通常、前歯は、前から奥に行くにつれて歯の幅が狭くなっていきます。


<前歯の幅の広さ>


中切歯(いちばん真ん中の前歯)>側切歯>犬歯(糸切り歯)


一般的には、奥に行くにつれて前歯の歯の幅が狭くなりますが、患者さまによっては、真ん中の前歯が大き過ぎるなど、バランスが取れていないケースも。


前歯の幅のバランスが取れていないと、歯並びを整えても、うさぎの歯のような印象になってしまうおそれがあるのです。


前歯の幅のバランスが取れていないケースでは、IPRで歯の隣接面を削ることで、前歯の幅を整える場合があります。


③ブラックトライアングルの改善

矯正治療では、歯並びを整えた後に、前歯の下側に三角形の黒いすき間(▲)ができてしまうケースがあります。この、前歯の下側にできることがある三角形の黒いすき間を「ブラックトライアングル」と呼びます。


[ブラックトライアングルができてしまう主な原因]


  • 加齢による歯ぐき下がり

  • 強すぎる力での歯磨きに伴う、歯ぐき下がり

  • 歯科矯正で歯並びを整えたことで、隠れていた前歯の下側のすき間が目立つようになった

  • 歯科矯正において、顎の骨の造骨に歯ぐきの形成が追い付かず、前歯の下側のすき間が目立つようになった


歯並びを整えた後、または、矯正中、ブラックトライアングルができてしまった場合は、IPRで歯の隣接面を削り、歯を動かしてすき間を詰めることで、前歯の見た目を整えるケースがあります。


ブラックトライアングルについてはこちらのブログをあわせてご確認ください。


■IPRを行うタイミングは?


◎矯正開始前、矯正開始後の比較的早い時期、または、矯正の仕上げの段階でIPRを行うことがあります

主に、以下のようなタイミングで、IPRを行うことが多いです。


[IPRを行うタイミング]


  • 矯正開始前

  • 矯正開始後の比較的早い時期

  • 矯正の仕上げの段階


■IPRをしなくても良いケースはあるの?


◎抜歯をするケースでは、IPRをしなくても良い場合があります

歯の矯正では、抜歯をせずにスペースを作るために、主に、非抜歯のマウスピース矯正(インビザライン、クイックラインなど)でIPRを行うことが多いです(※)。


(※)ワイヤー矯正でIPRを行う場合もあります。


ワイヤー矯正で抜歯をして歯並びを整えるケースでは、歯を抜いて、歯を動かすスペースを確保します。このため、抜歯をするケース(抜歯矯正)では、IPRをしなくても良い場合があります。


◎前歯の幅の見た目に問題がないケースでは、IPRをしなくても良い場合があります

前歯のブラックトライアングルが大きくなく、前歯の幅の見た目に問題がないケースでは、IPRをしなくても良い場合があります。


■IPR Q&A


Q.歯を削ったら、歯の機能が損なわれたり、知覚過敏になるのでは?

A.


IPRで削るエナメル質の量はごくわずか(歯の片側につき0.2~0.3mm程度)です。通常、歯を覆っているエナメル質は、2~3mmの厚さがあります。削る量はごくわずかなため、IPRによって歯の機能が損なわれたり、知覚過敏になるおそれは基本的にありません。ご安心ください。


また、IPRでは歯を削った後、エナメル質の表面を滑らかにする研磨処理を行います。エナメル質を滑らかにすることで、むし歯菌などの細菌を歯の表面につきにくくします。


Q.IPRは痛い?麻酔はするの?

A.


IPRで削るエナメル質は、表面部分のごくわずかです。削る量はごくわずかで、通常、IPRで痛みを感じることはないため、原則として麻酔はしません。


【矯正治療に関するご質問がある方は、お気軽にご相談ください】


今回は、歯の矯正で行うことがある「IPR」について、ご説明をさせていただきました。

おしむら歯科では、矯正の無料相談を受付中です。

矯正治療に関するご質問がある方は、当院までお気軽にご相談ください。


おしむら歯科こども矯正歯科クリニック
歯科医師
押村 侑希

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