ネットなどで見かける機会も増えている言葉、「口ゴボ」。
[口ゴボとは]
上顎や下顎、あるいは上下の前歯が前に突き出している状態のことを指します。
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以前、当院のブログでも「インビザライン矯正で口ゴボの改善にアプローチ」のお話をさせていただきました。
お悩みの方も少なくない、口ゴボ。
口ゴボ、と聞くと、一般的には
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口元が突き出している状態
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下顎が小さい状態(顎無し顔、アデノイド顔貌)
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出っ歯などの歯並びの乱れ
をイメージされるかと思います。
「歯並びが乱れている(前歯が突き出している)」
イメージを持たれやすい口ゴボですが、意外にも、口ゴボの方の中には「口ゴボだけど歯並びは良い」というケースも。
歯並びが良い場合、口ゴボの矯正は必要なのでしょうか?
■そもそも、「口ゴボだけど歯並びが良い」人なんて、いるの?
歯並びが良い方の「口ゴボの矯正」のお話をする前に、この項では
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口ゴボだけど歯並びが良い
または、
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口ゴボだけど一見すると歯並びが“良く見える”(実際は歯並びが乱れている)
理由について、ご説明します。
◎口ゴボで歯並びが良い方はいらっしゃいます
実際に、「口ゴボで歯並びが良い」方はいらっしゃいます。
①全体的に均等に近い形で前歯が前方に突き出しており、正面から見た場合に歯並びが良く見える(実際は出っ歯)
出っ歯の方は、上の前歯の前方への突き出し(+下顎が小さい(顎無し顔))によって口ゴボになることがあります。
ただし、出っ歯でも、
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全体的に均等に近い形で前歯が前方に突き出している(傾いている)
場合、正面から見ると「歯並びが良く見える」ケースも(=“歯並びが良く見えているだけ”(実際は出っ歯)の口ゴボ)。
②上下の顎や上の顎の骨格は大きいものの、歯列のアーチが綺麗で歯並びが良い
上下の顎や上の顎の骨格が大きいと、顎の骨が前方に突き出して口ゴボになることがあります。
ただし、顎の骨が前方に突き出している方(口ゴボの方)の中には、上下の顎や上の顎の骨格は大きいものの、歯列のアーチ(歯並びの形)自体は綺麗な場合も。
顎の骨格が大きい+顎の骨が前方に突き出して(=口ゴボ)いても、歯列のアーチが綺麗であれば歯並びは良いケースがあります。
③顎の先端の皮膚が薄い・顎の内側の粘膜(口腔内の軟組織)が薄い
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顎の先端の皮膚が薄い方
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顎の内側の粘膜(口腔内の軟組織)が薄い
方は、皮膚組織・粘膜組織の薄さが原因で顎の骨の形(顎の印影)が浮き上がって見えやすいです(=顎が「ゴツく」見えやすい)。
上下の顎・上下の前歯の前方への突き出しが大きくない方(軽度の口ゴボの方)でも、顎の皮膚組織・粘膜組織が薄いと実際以上に“口ゴボ感”が増してしまうことがあります。
上下の顎・上下の前歯の前方への突き出しが大きくない方(軽度の口ゴボの方)は、
歯並びの乱れが軽度
or
歯並びは乱れていない(≒歯並びが良い)
ケースも少なくありません。
上記の理由により、
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顎の先端の皮膚が薄い
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顎の内側の粘膜(口腔内の軟組織)が薄い
方は、口ゴボではあるものの、歯並びの乱れが軽度or歯並びは乱れていない(≒歯並びが良い)場合があります。
④唇が厚い(いわゆる「タラコ唇」の方)
唇が厚い方(いわゆる「タラコ唇」の方)は、唇の厚みによって口ゴボに見えてしまうことがあります。
実際は、それほど上下の顎or上下の前歯の前方への突き出しが大きくなくても、唇が厚い方は口ゴボに見えやすいです。
上記の理由により、唇の厚みのせいで口ゴボに見える方は、「口ゴボ(に見える)だけど歯並びが良い」ケースも。
なお、唇が厚い方の中には、上下の顎or上下の前歯が前方に突き出している方(=唇が厚い+口ゴボの方)もいらっしゃいます。
■歯並びが良い場合、口ゴボの矯正は必要なの?
◎一見すると“歯並びが良く見えている”ものの、実際に歯並びが乱れている方は、歯並びの乱れによって日常生活に支障が出ることがあります
「口ゴボだけど歯並びが良い」方で注意が必要なのは、一見すると“歯並びが良く見えているだけ”の方です(実際は歯並びが乱れている)(前述の①に当てはまる方)。
口ゴボではあるものの、一見すると“歯並びが良く見えているだけ”の方は、実際は出っ歯のケースも。出っ歯を含め、歯並びの乱れを放置すると、
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前歯で食べ物を噛み切りにくい
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発音しにくい(前歯のすき間から空気が漏れて発音しにくい)
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お口を閉じにくい
など、日常生活の様々な場面で支障が出ることがあります。
◎歯並びが乱れている・顎の骨格に異常がある場合は矯正(歯の矯正、外科的矯正)を受けることをおすすめします
口ゴボの方で、矯正治療が推奨されるケースとしては、主に以下のような状態が挙げられます。
[口ゴボの方で矯正(歯の矯正、外科的矯正)が推奨されるケース]
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歯並びが乱れている・顎の骨格に異常がある
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歯並びの乱れ・顎の骨格の異常が原因で、食べ物を噛み切りにくい、発音しにくいなど、日常生活に支障が出ている
一方、以下のような「実際に歯並びが良い」方は、外科的矯正(顎の骨切り手術)を受けなくても、日常生活の面では大きな問題が起きにくいことも。
[必ずしも外科的矯正が必要とされない方]
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実際に歯並びが良く、口ゴボに「見えているだけ」の方(前述の③④に当てはまる方)
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口ゴボではあるものの歯並びは良く、日常生活で支障が生じていない方(前述の②に当てはまる方)
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口ゴボではあるものの歯並びは良く、口ゴボの見た目に対してコンプレックスを持っていない方(前述の②に当てはまる方)(口ゴボの見た目を気にしていない方)
【顎の形・顎の見た目、歯並びの乱れなど、お口周りでお悩みの方はお気軽にご相談ください】
ひと言で「口ゴボ」と言っても、患者さまごとに顎・歯並びの状態が異なります。
口ゴボは、顎の状態によっては、顎の骨格の異常に対する外科的矯正(顎の骨切り手術)が必要とされるケースも少なくありません。
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顎の骨格に大きな異常がなく、上の前歯の前方への突き出しが原因の口ゴボ
の場合は、マウスピース矯正やブラケット矯正などの歯の矯正のみで口ゴボの改善にアプローチできる可能性も。
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今回は、「口ゴボだけど歯並びが良い」場合の矯正(歯の矯正、外科的矯正)の必要性について、お話をさせていただきました。
歯並びの乱れ、顎の形・顎の見た目、など、お口周りでお悩みの方は当院までお気軽にご相談ください。矯正の相談費は無料です。
カウンセリングでは、日本矯正歯科学会の矯正認定医、および、日本顎咬合学会の噛み合わせ認定医が現在のお悩みやご希望(理想の歯並び、通院のペースなど)をお伺いします。じっくりとお話をお伺いした上で、お一人おひとりの患者さまに適した矯正方法を丁寧にわかりやすく、ご説明させていただきます。