矯正は難しい歯科治療です。歯並びの乱れを治し、理想の歯並びを得るためには、歯科医師(矯正歯科医)による精確な診断と適切な治療計画の立案が欠かせません。
それぞれの方に個性があるように、歯並びの乱れ方も様々です。乱れ方は様々ですが、歯科治療では、特に矯正が難しい歯並びの乱れを「難症例(なんしょうれい)」と呼びます。
矯正が難しいとされる難症例には、どのような歯並びの乱れがあるのでしょうか?
今回は、難しい矯正治療「難症例」の代表的な歯並びの乱れを3つ、ご紹介します。
目次
難症例①開咬
◎上下の前歯を閉じられず、奥歯に負担がかかっている歯並びの乱れです
開咬(かいこう)とは、上下の前歯を閉じられず、奥歯に負担がかかっている歯並びの乱れです。上下の前歯を閉じられないことから、オープンバイトとも呼ばれます。
◎開咬の治療が難しい理由
以下のような理由により、開咬は難症例とされています。
理由①上下の前歯を舌側にひっぱり出し、同時に、奥歯を歯ぐき側に押し下げなければならない
開咬の治療では、上下の前歯を舌側にひっぱり出す「挺出(ていしゅつ)」という歯の動きが必要になります。
上下の前歯の挺出を行うと同時に、開咬では、奥歯を歯ぐき側に押し下げる「圧下(あっか)」もしなければなりません。
上記、2つの歯の動きのうち、ブラケット矯正は歯の挺出を比較的行いやすい一方、歯の圧下は苦手とします。一方、マウスピース矯正(インビザライン、クイックラインなど)は、奥歯の圧下を得意とする反面、効率的に歯の挺出を行いにくいケースも。
{インビザラインの登場で、開咬の治療がしやすくなりました}
ブラケット矯正のみだった時代では、開咬の治療は非常に難しいとされていました。その後、マウスピース矯正のインビザラインが登場し、歯の挺出・圧下(特に奥歯の圧下)がしやすくなり、開咬の治療は大きく進化しています。
上記の理由により、現在、開咬の治療では、インビザラインで矯正を進めることが多いです(※)。
(※)クリニックや歯科医師により、
矯正方法が異なります。
理由②歯並びを整えても、癖によって後戻りが起きやすい
開咬は、舌癖などの悪い癖が原因で歯並びの乱れがひき起こされているケースが多いです。矯正で歯並びを整えても、悪い癖が直っていないと、歯の後戻りが起きやすくなります。
難症例②過蓋咬合
◎下の前歯に上の前歯が大きく覆いかぶさっている歯並びの乱れです
過蓋咬合(かがいこうごう)とは、下の前歯に上の前歯が大きく覆いかぶさっている歯並びの乱れです。前歯の噛み合わせが深くなることから、ディープバイト(深噛み)とも呼ばれます。
過蓋咬合で歯ぐきが目立つ場合は、ガミースマイルと呼ばれることもあります。
◎過蓋咬合の治療が難しい理由
以下のような理由により、過蓋咬合は難症例とされています。
理由①上の前歯を歯ぐき側に押し下げ、同時に、奥歯を舌側にひっぱり出さなければならないことが多い
過蓋咬合の治療では、多くの場合、上の前歯を歯ぐき側に押し下げる圧下が必要になります。
矯正方法を問わず、前歯の圧下は、歯の矯正の中でも難しい歯の動きの一つです。上の前歯の圧下に加え、過蓋咬合では、奥歯の挺出が必要になるケースも少なくありません。
理由②外科的な矯正(顎の骨切り手術など)が必要になることがある
過蓋咬合の中でも、歯ぐきの長さが目立つガミースマイルの場合、ケースによっては、歯の矯正に加え、外科的な矯正(顎の骨切り手術など)が必要になることがあります。
難症例③歯の数が足りない歯並びの乱れ
◎先天性欠如歯、むし歯、歯周病などの原因により、歯の数が足りなくなることがあります
先天性欠如歯で歯そのものが生えてこない、または、むし歯、歯周病などの原因によって歯を失い、歯の数が足りなくなることがあります。
◎歯の数が足りない歯並びの乱れの治療が難しい理由
以下のような理由により、歯の数が足りない歯並びの乱れは難症例とされています。
理由①歯の数が足りないと、歯並びを整えてもすき間ができやすい
歯の数が足りないと、歯並びを整えてもすき間ができやすいです。
理由②固定源となる歯が不足し、効率的に歯を動かしにくい
歯の数が足りないと、固定源となる歯が不足してしまい、効率的に歯を動かしにくくなります。
【歯並びの乱れでお困りの方は、お気軽にご相談ください】
おしむら歯科では、日本矯正歯科学会の矯正認定医による矯正治療を行っています。培った経験・専門性を高めた治療に基づき、難症例の矯正にも対応可能です。
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前歯の歯並びの乱れ
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奥歯を含めた全体の歯並びの乱れ
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口ゴボ、受け口などの顎の骨格異常
上記のような、歯並び・お口周りのお困りごとがある方は、まずはお気軽にご相談ください。相談費は無料です。ご予約はWEB・お電話にて承っております。