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【年齢別】仕上げみがきのポイントを解説!



乳歯が生え始めた0歳の赤ちゃんから、子ども時代、青年期を経て、中高年以上のシニア世代の方まで…いくつになっても、お口の健康は歯みがきから始まります。ただし、赤ちゃんはもちろんのこと、小さな子どもは自分で上手く歯を磨けません。お子さま自身で行う自分みがきだけではしっかりと歯を磨けず、磨き残しが出てしまうことも。歯垢や糖分を含む食べかすなど、磨き残しが出ると歯垢の中のむし歯菌が繁殖してしまい、むし歯が進行する確率が高まってしまいます。


お子さまの大切な歯をむし歯から守るためには、自分みがきに加え、保護者様による「仕上げみがき」が重要です。保護者様が適切に仕上げみがきを行うことで、お子さまのお口の健康を守りやすくなります。


今回は、「【年齢別】お子さまに行う仕上げみがきのポイント」のお話です。


■仕上げみがきで大切なこと


年齢別の仕上げみがきのポイントをご説明する前に、すべての年齢を通じて、仕上げみがきで大切な5つのことをご紹介します。


1.仕上げみがきを「楽しい・リラックスできる時間」に

仕上げみがきをするときは、テレビやネットを見ながらでも、好きなお歌を歌いながら、音楽をかけながらでもかまいません。お子さまにとって、仕上げみがきが楽しい・リラックスできる時間になるよう、工夫してみましょう。


2.軽い力で磨く

ご自身の歯を磨くときと同じように、お子さまへの仕上げみがきは、軽い力で歯を磨きましょう。ペンを持つように、人差し指と親指の2本の指で歯ブラシを持つのがオススメです(人差し指+親指に加え、中指で歯ブラシを支えてもOKです)。


ゴシゴシと強い力で仕上げみがきをすると、お子さまの歯のエナメル質が削られて歯がすり減ってしまったり、歯ぐきが下がる原因になることも。


3.仕上げみがき専用の小さな歯ブラシを使う

赤ちゃんや子どものお口は、とっても小さいです。市販の子ども用の歯ブラシでもかまいませんが、仕上げみがき専用の小さな歯ブラシを使うことで、よりスムーズにブラッシングをしやすくなります。


なお、仕上げみがき、自分みがき、どちらも、歯ブラシの毛の硬さは「ふつう」か「やわらかめ」にしましょう。「かため」の歯ブラシは、歯や歯ぐきを傷つける原因になりやすいです。


4.仕上げみがきは時間をかけすぎない

仕上げみがきに時間をかけすぎるとお子さまが飽きてしまったり、唾液がお口の中に溜まって苦しくなることも。


・0~3歳ごろまでは1分以内

・3~9歳ごろまでは3分以内


上記の時間内に仕上げみがきを終わらせられると、お子さまもストレスを感じにくくなります。


5.1回の仕上げみがきで完璧に歯垢・汚れを落とそうと考えない(1日のトータルでしっかり歯垢・汚れを落とせればOK)

お子さまをお持ちの保護者様は毎日の育児やお仕事、子育てで大忙しです。時間がない中、1回の仕上げみがきで完璧にお子さまの歯についた歯垢・汚れを落とすのは、大変な作業になってしまいます。


仕上げみがきを行うときは、1回で完璧に歯垢・汚れを落とそうと考えないでください。食後、ちょっとの時間でも良いので仕上げみがきを行い、1日のトータルで、お子さまの歯についた歯垢・汚れを落とせればOKです。


{仕上げみがきは最低でも1日に1回は行いましょう}


仕上げみがきは毎食後が理想ですが、1日3回以上、仕上げみがきをするのは大変です。忙しいときや時間がない方は1日1回、お子さまが夜寝る前の仕上げみがきのみでかまいません。その日1日1回のみ、夜寝る前に仕上げみがきをするときは、少し多めに時間をかけ、お子さまの歯についた歯垢・汚れをしっかり落とすようにしましょう。


6.仕上げみがきは9歳ごろまで

個人差はありますが、お子さまが9歳ごろになると、自分みがきができるようになってきます。


仕上げみがきは、お子さまが9歳ごろになるまで行いましょう。9歳以上からは、歯科医院での歯科衛生士による歯みがき指導や、歯のことを楽しく学ぶためにおしむら歯科が実施する「歯の学校」を利用することで、お子さまご自身で行う自分みがきのスキルを高めやすくなります。


年齢別 仕上げみがきのポイント


ここからはお子さまの年齢別、仕上げみがきのポイントをお伝えします。上記の、仕上げみがきで大切な5つのことを踏まえ、それぞれの年齢に合ったポイントを仕上げみがきのご参考にしてください。


■最初の乳歯が生えてから(生後6ヶ月前後)~2歳ごろまで


[乳歯が生え始める時期]


ポイント①ふだんから、赤ちゃんの口元にふれておく


赤ちゃんに対して無理に仕上げみがきを行うと赤ちゃんが泣いてしまったり、仕上げみがきを嫌がる原因になることがあります。


赤ちゃんが仕上げみがきを嫌がらないようにするためには、保護者様がスキンシップを行い、ふだんから赤ちゃんの口元にふれておくとよいでしょう。赤ちゃんの口元にふれておくことで、仕上げみがきのときに赤ちゃんが「あ、いつものタッチだ」と感じ、スムーズに仕上げみがきをしやすくなります。


ポイント②前歯を磨くときは上唇の「スジ」を指でカバーしてあげる


赤ちゃんの上の前歯の歯ぐきと上唇のあいだには、上唇小帯(じょうしんしょうたい)という太いスジがあります(通常、上唇小帯のスジは成長と共に、7歳ごろまでのあいだに小さくなっていきます)。


赤ちゃんの太い上唇小帯のスジは仕上げみがきのときに歯ブラシがひっかかってしまい、赤ちゃんが痛がる原因になることも。


赤ちゃんの前歯を磨くときは、空いている方の指の腹で上唇小帯のスジをカバーしてあげましょう。指でカバーしてあげることでスジへの歯ブラシのひっかかりがなくなり、スムーズに仕上げみがきをしやすくなります。


{2歳ごろまでの乳歯が生え揃っていない赤ちゃんにはデンタルフロスは?}


2歳ごろまでの乳歯が生え揃っていない赤ちゃんは歯のすき間が大きく、唾液が行き渡りやすいです。このため、2歳ごろまでの乳歯が生え揃っていない赤ちゃんには、デンタルフロスによる歯間清掃はしなくてもかまいません。小さな赤ちゃんのお口に無理にデンタルフロスを使うと歯ぐきやお口の粘膜を傷つけてしまうおそれもあります。


ポイント③寝かせ磨きでリラックスしながら仕上げみがきを行う


生後間もなく、首が座っていない赤ちゃん~2歳ごろまでは、お子さまが立ったままでの仕上げみがきをするのがなかなか、難しいです。


赤ちゃん~2歳ごろまでのお子さまへの仕上げみがきは、保護者様の太ももの付け根のあたり(股間~下腹部のあたり)にお子さまの頭を仰向けに乗せる「寝かせ磨き」をすることで、ブラッシングをしやすくなります。


ポイント④細かいブラッシングにこだわらず、やさしい力で仕上げみがきを


2歳ごろまでの赤ちゃんの乳歯はとても小さく、かつ、歯質が未成熟なため、歯がやわらかく傷つきやすいです。仕上げみがきでムキになってゴシゴシと、赤ちゃんのやわらかい乳歯を磨こうとすると、歯や歯ぐきが傷つくおそれも。


生後6ヶ月前後~2歳ごろまでは、あまり細かくこだわってブラッシングをする必要はありません。大まかでかまいませんので、やさしい力で歯をブラッシングすることを意識して仕上げみがきを行いましょう。


■3~5歳ごろまで


[乳歯列期]


ポイント①「立たせ磨き」or「寝かせ磨き」で子どもの姿勢を安定させる


この時期になると、寝かせ磨きに加え、お子さまを立たせた状態で保護者様がひざ立ちで横に立って行う「立たせ磨き」ができるようになっていきます。立たせ磨きではお子さまの横に保護者様がひざ立ちになり、保護者様のお腹や脇でお子さまの頭を支えながら、歯ブラシを持たない方の手で反対側の頭を支えると磨きやすいです。


立たせ磨き・寝かせ磨き、どちらでもかまいません。お子さまの頭と身体を安定させられる姿勢で、仕上げみがきをしましょう。


ポイント②前歯を磨くときは上唇の「スジ」を指でカバーしてあげる


3~5歳ごろまでの時期は、まだ上唇小帯のスジが大きいことが多いです。生後6ヶ月前後~2歳ごろまでの時期と同じように、仕上げみがきで前歯を磨くときは歯ブラシがひっかからないようにするため、お子さまの上唇の裏側にある上唇小帯を指の腹でカバーしてあげましょう。


ポイント③磨き残しが出やすい前歯の裏側と奥歯の噛み合わせの溝は入念にブラッシングを


3~5歳ごろになると乳歯の形がより細かく作られ始めると共に、歯が大きくなることで磨き残しが出やすくなってきます。特に、磨き残しが出やすいのが前歯の裏側と奥歯の噛み合わせ面の溝です。


前歯の裏側は、歯ブラシのヘッドを縦にして磨きましょう。奥歯の噛み合わせ面の溝は、歯ブラシのヘッドを奥から手前に引くようにして磨くことで、溝の中の歯垢・汚れを効率良く落としやすくなります。


ポイント④デンタルフロスを使い、歯と歯のあいだの歯垢・汚れを落とす


3~5歳ごろのお子さまには仕上げみがきと共に、デンタルフロスを使って歯と歯のあいだの歯垢・汚れを落としましょう。1日1回、保護者様がデンタルフロス使ってお子さまへの歯間清掃を行ってください。


歯間清掃の際は、ハンドルつきの小さなお子さま用のデンタルフロスを使うと、歯と歯のあいだを清掃しやすくなります。


■6~9歳ごろまで


[乳歯から永久歯へ生え変わる混合歯列期]


ポイント①乳歯と生え始めの永久歯の位置や高さに注意してブラッシングを


個人差はありますが、6歳ごろからは乳歯が抜けて永久歯が生え始めます。乳歯と永久歯が混在する状態になるため、歯の位置や高さがそれぞれに異なり、歯垢・汚れの磨き残しが出やすくなります。


この時期のお子さまへの仕上げみがきの際は、乳歯と生え始めの永久歯の位置や高さに注意してブラッシングしましょう。


乳歯と永久歯が混在し、デコボコしている前歯の表面(唇側の歯列)を磨くときは、歯ブラシを横に動かすとすべての歯を均等に磨きにくく、磨き残しが出やすくなります。歯ブラシを横に動かすのではなく、歯ブラシのヘッドを縦にして小刻みに1本ずつ前歯の表面を磨くことで、歯についた歯垢・汚れを効率的に落としやすくなります。


前歯と同じように、乳歯と永久歯が混在し、デコボコしている奥歯を磨くときは、歯ブラシを噛み合わせ面から当てて磨くと、磨き残しが出やすくなります。奥歯を磨くときは、歯並びの横側(頬側or舌側)から斜めに歯ブラシのヘッドを入れて小刻みに1本ずつ歯を磨くことで、噛み合わせ面についた歯垢・汚れを効率的に落としやすくなります。


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上記に加え、磨き残しやすい前歯の裏側・奥歯の噛み合わせ面の溝を入念にブラッシングする点、デンタルフロスによる歯間清掃を行う点は、3~5歳までの時期のポイントと同じです。


【仕上げみがき&定期検診でお子さまの歯の健康を守りましょう】


今回は、小さなお子さま(9歳ごろまで)に行う、保護者様による仕上げみがきのポイントをご紹介させていただきました。


仕上げみがきで重要なのは「仕上げみがき」をツライ作業にしない、ということ。仕上げみがきがツライ作業になると、お子さま・保護者様、どちらにとっても仕上げみがきが「嫌な時間」になってしまいます。


お子さま・保護者様にとって、仕上げみがきが楽しい・リラックスできる時間になるよう、ぜひ、今回ご紹介したポイントをご参考にして、仕上げみがきを行ってみてくださいね。


– おしむら歯科の定期検診&歯の学校・食育教室のご案内 –


おしむら歯科ではお子さまのむし歯を予防し、お口の健康を守るために以下のさまざまな取り組みを行っています。


・定期検診(検診、歯のクリーニング、フッ素塗布、シーラント)

・歯科衛生士によるブラッシング指導(自分みがき、仕上げみがき、どちらもお教えします)

歯の学校

食育教室


歯の学校は6~12歳のお子さまがご参加対象です。お子さまがご自身で歯と身体の健康を守れるよう、おやつの内容や食べ方、歯のケア方法についてアドバイスいたします。


食育教室は0~3歳のお子さまをお持ちの保護者様がご参加対象です。管理栄養士がお子さまの生活習慣・食習慣に関係する食べ方や食事内容をアドバイスさせていただくほか、歯科衛生士がお子さまの歯のケア方法をアドバイスいたします。食育教室は保育士による託児付きです。小さなお子さまをお持ちの方も安心してご参加いただけます。


定期検診と合わせ、ぜひ、「歯の学校」「食育教室」にご参加ください。

おしむら歯科こども矯正歯科クリニック
歯科医師
押村 侑希

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