個人差はありますが、生後6ヶ月頃になると、最初の歯である下の乳歯が生えてきます。
最初の歯が生えてくるのと同じくらいの時期に、離乳食を始めましょう。
離乳食は具材に着目する方が多いのですが、具材と共に、赤ちゃんに与えるときの食べさせ方にも注意・工夫が必要です。離乳食の与え方に注意・工夫をすることで、子どもの舌の筋肉を鍛えられ、顎の健全な発育をうながせます。
目次
■なぜ、離乳食の与え方が歯並び・発音に悪影響をおよぼすことがあるの?
◎舌をしっかり使わなかったり、お口をポカンと開ける癖がつくと、顎が健全に育たず、歯並び・発音に悪影響をおよぼすことがあります
気にする方が少ない離乳食の食べさせ方ですが、以下のような離乳食の与え方は、あまり良くないと言われています。
[あまり良くない離乳食の与え方]
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赤ちゃんのお口の中にスプーンを押し込んで食べさせる
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厚みのあるスプーンを使う
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猫背・寝かせて食べさせる
上記のような食べさせ方をしていると、舌やのど周りの筋肉が十分に鍛えられず、顎が小さいまま成長して歯並び・発音に悪影響をおよぼすことがあります。
[乳幼児・子どもの時期に、舌やのど周りの筋肉が鍛えられない場合に起こり得る悪影響]
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顎が健全に育ちにくくなる
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歯並びが乱れやすくなる(顎が小さいため、生え変わりの際に永久歯がまっすぐ生えにくくなる)
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歯並びの乱れが原因で舌の動きが邪魔されたり、歯のすき間から空気が漏れ、発音しにくくなる
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お口をポカンと開ける癖がつきやすくなる(口呼吸になりやすい)
◎下顎の中に舌が落ち込む「低位舌」に気をつけましょう
離乳食の与え方に関連して、乳幼児・子どもの時期で特に注意が必要なのが、「低位舌(ていいぜつ)」です。
下顎の中(下顎の歯列の内側)に舌が落ち込んだ状態を、低位舌と呼びます。
本来は、お口を閉じたとき、舌先が上顎の前歯の裏側の歯ぐき(スポット)にふれているのが、舌の正しい位置です。しかし、舌の筋肉が十分に鍛えられないと、舌先をスポットにふれさせるのがつらくなり、下顎の中に舌が落ち込んで低位舌になることがあります。
[子どもの低位舌がおよぼす可能性がある悪影響]
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舌が落ち込んで気道が狭まり、口呼吸になりやすい
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舌が落ち込んで下顎が不自然に広がり&前に突き出し、受け口・ゴリラ顔になることがある
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上顎と下顎の骨格に成長差が生じ、口元が突き出て口ゴボになることがある
◎口呼吸はどうして良くないの?
鼻で呼吸せず、口呼吸の習慣がつくと、以下のような、様々な悪影響が生じやすくなります。
[子どもの口呼吸がおよぼす可能性がある悪影響]
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いつもポカンとお口を開けているため、口腔内が乾燥して唾液による自浄作用が低下し、むし歯・歯周病の進行リスクが高まる
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口呼吸によって低位舌になり、上顎の成長がさまたげられて上下の顎の骨格バランスが乱れやすくなる
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口呼吸が原因で顎やのど周りの筋肉が十分に鍛えられず、顎の成長が阻害されて口ゴボ・アデノイド顔貌・顎無し顔のお顔立ちになることがある
■離乳食を与えるときの注意点
①お口の中にスプーンを押し込まず、唇にスプーンの先をちょこんと当てる
唇にスプーンの先をちょこんと当てることで、赤ちゃんが舌を伸ばしてスプーンをくわえるようになり、舌の筋肉が鍛えられます。
②薄いスプーンを使う
薄いスプーンを使うことで、お口をぎゅっと閉じて、お口の中に食べ物を入れる習慣が身につきやすくなります(舌・顎の筋肉が鍛えられます)。
③水平にスプーンを引き抜く
お口の中に離乳食を入れたときは、水平にスプーンを引き抜きましょう。水平にスプーンを引き抜くことで、赤ちゃんが常にお口をぎゅっと閉じる習慣が身につきやすくなります。
④赤ちゃんの頭と床が直角になる角度で食べさせる
赤ちゃんの頭と床が直角になる角度で食べさせることで、自然と、背筋が伸びやすくなります。背筋が伸びると、お口・顎周りの筋肉や骨格バランスが整いやすくなり、顎の健全な成長をうながせます。
⑤一口サイズに切った食べ物を手づかみで食べさせる
生後9ヶ月頃になったら、だんだん、赤ちゃんもある程度の大きさの食べ物を食べられるようになってきます。
固形物を与えるときは、一口サイズに切った食べ物を、できるだけ、手づかみで食べさせましょう。手づかみで食べさせることで全身の連動性を高められ、姿勢の改善やお口の機能の向上につながります。
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