こんにちは。おしむら歯科 院長の押村侑希です。
今回は、とっても重要な、子どもの「噛む」についてお話しします。
歯並びが乱れていたり、悪い癖(口呼吸、舌癖など)があるなど、お子さんをお持ちの親御さんは子どもに小児矯正を受けさせることをご検討されている方も多いです。
おしむら歯科では、子どもに“正しく噛む・正しく飲む”を身につけさせながら、顎の成長をうながす「マイオブレース」による小児矯正を行っています。
目次
■子どもの頃の「よく噛む」が重要なワケ
◎子どもの「噛む」動作にはたくさんの重要な役割があります
子どもの歯・歯周組織(歯茎や顎の骨など)を健全に成長させるには、まずは、よく噛んで食べることがとっても重要です。
なぜ、よく噛んで食べることが重要なのでしょうか?
よく噛んで食べることには、以下のようなたくさんの重要な役割があります。
①唾液による歯の再石灰化作用を高めやすくなる
よく噛んで食べると、口腔内の唾液腺が刺激され、唾液の分泌が促進。唾液の分泌が増えることで、お口の中に唾液を行き渡らせやすくなります。
唾液にはリンやカルシウムなどの成分が含まれています。
私たち人間のお口の中では、むし歯菌や飲食物に含まれる酸により溶けてしまった歯(=脱灰(だっかい)現象)を、リンやカルシウムを含む唾液の力で修復しているのです。この、唾液による歯の修復作用を「歯の再石灰化(さいせっかいか)」と呼びます。
よく噛んで食べ、唾液の分泌を促進し、お口の中に唾液を行き渡らせることで歯の再石灰化作用を高めやすくなります。
②咀嚼がうながされる&頬・顎周りのたるみを防ぎやすくなる
よく噛んで食べると、以下のような顎周り・お口周りの筋肉が鍛えられます。
[顎周り・お口周りの動作に関係している主な筋肉]
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咬筋(噛む筋肉)
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表情筋(表情を作る筋肉:口輪筋や大頬骨筋など)
咬筋や表情筋を鍛えることには、以下のようなメリットがあります。
[咬筋や表情筋を鍛えるメリット]
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噛む力が強くなり、食べ物をしっかり噛むことで咀嚼がうながされる
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お口周りにある表情筋を鍛えることで、頬・顎周りのたるみを防ぎやすくなる
③顎の骨の成長をうながしやすくなる
よく噛んで食べることは、顎の骨の成長にも大きな関係が。
よく噛んで食べることで歯を支えている歯槽骨や歯槽骨の下にある顎の骨(顎骨:がっこつ)に刺激が伝わると、顎の骨の成長をうながしやすくなります。
子どもの顎の骨の成長をうながすことは、マイオブレース(小児矯正の「咬合誘導」)における一番の目的です。
顎が健全に成長して顎の骨格が適切に広がると、歯の生え変わりの際に永久歯がまっすぐ生えやすくなります。顎の健全な成長により永久歯をまっすぐ生えさせ、将来の綺麗な歯並びを目指すのがマイオブレース矯正の主な目的です。
顎の健全な成長の促進に加え、マイオブレース矯正では、お口・全身の筋トレである「アクティビティ」を通じ、子どもが正しいお口の使い方を身につけることも目的としています。
④お口周りの筋肉や舌の筋肉など、発音に関わる筋肉を鍛えやすくなる
噛む筋肉(咬筋など)は、お口周りの筋肉である口輪筋や舌の筋肉と密接に関係しています。
よく噛んで食べている方は、噛んだときの刺激により口輪筋も鍛えやすくなります。口輪筋に加え、奥歯で噛むために、舌の筋肉を使って食べ物を奥歯に移動させるなど、舌の筋肉も鍛えられているケースが多いです。
口輪筋や舌の筋肉は発音に大きく関わっています。
上記のメカニズムにより、よく噛んで食べることで口輪筋や舌の筋肉が鍛えられ、発音する機能を発達させる効果も期待できます。
【子どもだけではなく、大人の方もよく噛んで食べることが大切】
よく噛むことは子どもの頃のみのメリットではありません。子どもに加え、大人の方もよく噛んで食べることが大切です。
大人の方はストレスやお酒、食べ過ぎなどで胃腸が弱っているケースが少なくありませんが、よく噛んで食べることで咀嚼がうながされ、胃腸にかかる負担を軽減しやすくなります。
よく噛んで食べることには、脳の血流をうながし認知症を防ぎやすくなる役割も。
お仕事や学業などでお忙しい方も多いかと思いますが、お食事のときはよく噛んで食べることを心がけましょう。