「口腔機能発達不全症(こうくうきのうはったつふぜんしょう)」。
何だか、難しそうな言葉から始まった今回のブログ。
いきなり、「口腔機能発達不全症」と言われても、わかりにくいかもしれません。
口腔機能発達不全症とは、
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呼吸する
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発音する
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噛む(食べる)
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飲む
などの「お口の機能」がきちんと発達していない状態(お口周りの機能障害)を指します。
口腔機能発達不全症になり、お口の機能がきちんと発達しないと、
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歯並びの乱れ(出っ歯、受け口、ガタガタ歯、開咬など)
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顎の成長異常(アデノイド顔貌(口ゴボ、顎無し顔)、受け口など)
上記のような歯並び・顎の異常をひき起こす可能性も。
今回は、お子さんをお持ちの親御さんに注意していただきたい「口腔機能発達不全症」のお話です。
目次
■歯が生えない、口呼吸、いびき、小食… 口腔機能発達不全症で見られる主な症状
◎呼吸する・発音する・噛む(食べる)・飲むなどの「お口の機能」に支障が出やすくなります
口腔機能発達不全症の方は、以下のように、「お口周り(お口・顎・のどなど)」の機能に支障が出やすくなります。
たくさんありますが、お子さんに以下のような症状がないか、ひとつずつ、一緒にチェックしていきましょう。
◎口腔機能発達不全症の子どもに見られる、主な症状
歯の支障
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乳歯がなかなか生えない(乳歯が生える平均的な時期よりも6ヶ月以上遅れている場合は要注意)
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永久歯がなかなか生えない(永久歯が生える平均的な時期よりも1年以上遅れている場合は要注意)
呼吸・発音の支障
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口呼吸(鼻呼吸を自然に行えない)
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ポカンと口を開けていることが多い(主に口呼吸が原因)
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下顎の歯列の中に舌が落ち込む(低位舌:ていいぜつ)(主に口呼吸が原因)
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いびきをかきながら寝ていることが多い
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滑舌が悪い(はっきりと発音できない)
噛む(食べる)機能の支障
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小食
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食べる食事の量にばらつきがある
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偏食(同じ物ばかり食べがち)
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好き嫌いが多い(硬い物、魚、野菜を嫌がるなど)
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食べるのに時間がかかる
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食べこぼすことが多い
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お口の中に食べ物が残りやすい(なかなか食事が終わらず、お口をもごもごしている)
飲む機能の支障
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のどの筋肉のみを使って、“ごっくん”“ゴクゴク”と飲めない
口腔機能発達不全症(上記のような症状)に伴う、歯並び・顎の異常
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歯並びの乱れ(出っ歯、受け口、ガタガタ歯、開咬など)
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顎の成長異常(顎なし顔(アデノイド顔貌)、口ゴボ、受け口など)
その他の症状
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口腔内の乾燥(主に口呼吸が原因)
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口腔内の乾燥が原因で、むし歯・歯周病にかかりやすくなる
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口腔内の乾燥が原因で、風邪・インフルエンザなどの感染症にかかりやすくなる
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長くなりましたが、お子さんに当てはまる症状はありましたでしょうか?
上記のような症状が見られる場合、お子さんは、口腔機能発達不全症による「お口周りの機能障害」が起きているかもしれません。
次の項では、お口周りの機能障害を起こし得る「口腔機能発達不全症」の主な原因について、ご説明します。
■口呼吸、舌癖、指しゃぶり、やわらかい食べ物… 口腔機能発達不全症をひき起こしやすくなる原因について
◎お子さんに口呼吸、舌癖、指しゃぶり、やわらかい物ばかり食べるなどの「悪い癖・悪い習慣」がある場合、口腔機能発達不全症が起きやすくなります
以下のような悪い癖・悪い習慣は、口腔機能発達不全症(お口周りの機能障害)をひき起こす、大きな原因です。
お子さんをお持ちの親御さんは、お子さんに以下のような悪い癖・悪い習慣がないか、チェックしてみましょう。
[口腔機能発達不全症(お口周りの機能障害)をひき起こしやすくなる、主な原因]
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口呼吸
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舌癖(ぜつへき:上下の前歯のあいだに舌先を出す、上下の前歯で舌を噛むなどの悪い癖)
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指しゃぶり
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やわらかい物ばかり食べる食生活(パン、ハンバーグ、卵焼き、パスタ、オムライス、カレーライス、アイスクリームなどのあまり噛まずに済む、やわらかい食べ物)
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変な噛み方・食べ方(前歯だけで食べ物を噛む、左右どちらか片方の歯でばかり噛むなど)
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変な飲み方(顎をしゃくるように飲む、頬の筋肉で押し込むように飲むなど)
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頬杖
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うつぶせ寝
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猫背
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スマホ・携帯ゲーム機の画面をうつむいて見ることが多い
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スマホ・テレビゲームで遊ぶことが多く、あまり、外で身体を動かして遊ばない(運動不足)
【お口周りの機能障害を改善するには、5~8歳頃までに小児矯正を受けるのが望ましいです】
口腔機能発達不全症(お口周りの機能障害)を改善するには、できるだけ早めに、歯科医院で小児矯正(マイオブレースでの矯正など)を受けることが重要です。
マイオブレースの矯正は、顎の骨が固まり始める前の5~8歳頃までの治療が望ましいとされています。5~8歳頃までの治療が望ましいとされていますが、おしむら歯科では、15歳未満のお子さんを対象に
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マイオブレースでの矯正
(取り外せるマウスピースの装着+口腔筋機能療法(MFT:お口の筋トレ))
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バイオブロック矯正
(顎の骨格を適切に広げ、顎の正しい成長をうながす)
上記の小児矯正による治療を行っています。
子どものときに口腔機能発達不全症になり、お口周りの機能障害が慢性化すると、
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歯並びの乱れ(出っ歯、受け口、ガタガタ歯、開咬など)
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顎の成長異常(顎なし顔(アデノイド顔貌)、口ゴボ、受け口など)
などの歯並び・顎の異常が起きやすくなります。小さなお子さんをお持ちの親御さんは、お子さんの口腔機能発達不全症に注意が必要です。
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今回は、お口周りの機能障害「口腔機能発達不全症」のお話をさせていただきました。
来月のブログでは、「口腔機能発達不全症を放置することで起こり得る悪影響(リスク)」について、ご説明します。