前回のブログで笑気吸入鎮静法(笑気ガス)についてふれたところ、記事を見た多くの患者様から「笑気ガスについて詳しく知りたい」とお声をいただきました。
前回にひきつづき、今回は笑気吸入鎮静法についてもう少し詳しくご説明をさせていただきます。
目次
■笑気吸入鎮静法とは
◎安全性の高いガスを鼻から吸う鎮静法です
笑気吸入鎮静法とは、リラックス効果のあるガスを鼻から吸う鎮静法です。亜酸化窒素(N2O)を30%、酸素を70%混ぜた笑気ガスを鼻から吸引します。
■笑気ガスの安全性
◎成分が弱く、安全性が高いです
笑気ガスは低濃度の亜酸化窒素と酸素からできています。亜酸化窒素にはリラックス効果のほか、痛みを鎮める効果や眠くなる効果がありますが、いずれもマイルドです。全身麻酔のように完全に意識を失うことはありません。
笑気ガスは鎮静法ですが、麻酔法の一種でもあります。ただし、笑気ガスだけでは麻酔になりません。理由は作用は弱いからです。作用が弱いため安全性が高く、アメリカの小児歯科治療ではほぼすべてのクリニックで笑気ガスが使われています。日本における笑気ガスの普及率は1割程度ですが笑気ガス自体は80年代中頃から使われており、安全性の高い鎮静法として一定の評価を得ています。
◎ガスはすぐに身体の外へ排出されます
笑気ガスは体内に蓄積されません。
吸入を止めた瞬間から、すぐに身体の外へガスが排出されます。吸入を止めたあと10~15分程度ですべてのガスが体外へ排出されるため、肺や肝臓に負担がかかりません。
◎高齢者の方や心臓病、高血圧の方にも使えます
弱い成分のため、笑気ガスは安全性が高いです。お子さまのほか、高齢者の方や心臓病、高血圧の方にも問題なく使えます(※)。
(※)妊娠初期の方や過呼吸発作の方、耳・眼の治療を受けた
直後の方には笑気吸入鎮静法を行えない場合があります。
■笑気吸入鎮静法のメリット
◎うとうとしながらリラックスして歯科治療を受けられます
笑気ガスを吸うと頭がふわふわした感覚になります。「夢の中にいるような」「お酒を飲んでほろ酔い気分のような」感覚になり、うとうととリラックスして歯科治療を受けられます。患者様によっては「気づいたら治療が終わっていた」とのご感想をいただくこともあります。
◎治療を怖がるお子さまや歯科恐怖症の方に適しています
笑気ガスはリラックス効果があるため、歯科治療を怖がってしまうお子さまや歯科恐怖症の方に適しています。
◎歯を削る音やまわりの音が気にならなくなります
歯科治療が苦手な方は、歯を削るときの「キーン」という音やまわりで器具を準備するときの音が気になる、というケースが少なくありません。
そのようなケースでは笑気ガスを吸うことで頭がふわふわとし、治療時の音やまわりの雰囲気が気にならなくなります。
音や雰囲気が記憶に残りにくくなるため「大丈夫だ」「思っていたよりも平気だった」と自信がつき、歯科治療に対する苦手意識がじょじょに少なくなる効果も期待できます。
■笑気吸入鎮静法の流れ
おしむら歯科では、以下の流れで笑気吸入鎮静法を行います。
①笑気ガスを鼻から吸います
②ガスを吸っていただきながら治療を行います
③治療後は院内で10~15分、安静にしていただきます
①笑気ガスを鼻から吸います
鼻用マスクを着け、笑気ガスを鼻から吸います。吸入時にお口を開けていると笑気ガスが漏れてしまうため、お口を閉じていただきます。
鼻呼吸が確認できたら亜酸化窒素の濃度を調整し、リラックス状態へ導いていきます。
②ガスを吸っていただきながら治療を行います
リラックス状態が確認できたら、治療を始めます。治療中も鼻用マスクは着けたままです。ガスを吸っていただきながら治療を進めていきます。
③治療後は院内で10~15分、安静にしていただきます
治療後は鼻用マスクを外し院内で10~15分程度、安静にしていただきます。鼻用マスクを外したあと10~15分程度経つと、すべての笑気ガスが体外へ排出されます。
自転車やバイク、車の運転も可能です。
【笑気吸入鎮静法でリラックスしながら歯科治療を受けられます】
おしむら歯科では、歯科治療を怖がるお子さまや歯科恐怖症の方に笑気吸入鎮静法をおすすめしています。
笑気吸入鎮静法は保険で利用できます。3割負担の場合、料金は700~800円程度です。
「子どもが歯医者さんを怖がる」
「子どもがおとなしく歯科治療を受けられない」
「どうしても歯科治療に恐怖を感じてしまう」
など、お子さまの歯科治療でお困りの方や歯科恐怖症の方は笑気吸入鎮静法をご希望する旨を歯科医師・スタッフまでご遠慮なくお申し出ください。