「口ゴボ、アデノイド顔貌で悩みがある…」
「そもそも、アデノイド顔貌って何なのかな?矯正で治せる?」
こんにちは。おしむら歯科 院長の押村侑希です。
巷でよく目にする「アデノイド顔貌」「口ゴボ」。そもそも、これらは何を示す言葉なのでしょうか?気になる方も多いかと思います。
今回は、「アデノイド顔貌」および「アデノイド顔貌を治すには」についてご説明します。
目次
■アデノイド顔貌とは
◎下あごが発達せず、口元が突き出してしまうお顔立ちを指します
アデノイド顔貌(がんぼう)とは、下あごが発達せず、口元が突き出してしまうお顔立ちを指します。「口ゴボ」「ゴリラ顔」「あご無し顔」などと呼ぶこともあります。
アデノイド顔貌の方は下あごが小さいため、あごと首(のど元)の境目がわかりにくいのが特徴です。
■アデノイドとは
◎アデノイド=鼻の奥にあるリンパ組織
アデノイドとは、鼻(鼻腔)の奥にあるリンパ組織です。正式名称を「咽頭扁桃(いんとうへんとう)」と呼びます(扁桃腺(口蓋扁桃)とは異なります)。
アデノイドは細菌やウイルスが身体の中に入るのを防ぐ役割を持っています。
身体を守る大切な役割を持つアデノイド。では、なぜアデノイドが「アデノイド顔貌」=下あごが発達せず口元が突き出してしまうお顔立ち、を指すのでしょうか?
それは、以下のような理由があるためです。
◎「アデノイド顔貌」になる理由
アデノイドは2歳ごろから大きくなり始め、5~6歳ごろをピークにだんだん小さくなっていきます。アデノイドは誰でも大きくなり、その後、成長にともなって小さくなるのがふつうです。
しかし、お子さまによっては何らかの原因で肥大したアデノイドが小さくならないことがあります。これを「アデノイド肥大(肥大が継続した状態)」と呼びます。アデノイド肥大になる原因ははっきりとはわかっていません。現時点の研究では、免疫機能の異常が肥大の継続に関係しているのではないかと考えられています。
◎口呼吸がアデノイド顔貌の原因に
アデノイド肥大の状態が続くと、肥大したアデノイドによって鼻からの空気の通り道が狭くなります。鼻から空気を吸いにくくなるため、お子さまが口呼吸になりやすいです。
口呼吸をしていると、本来、鼻呼吸で鍛えられるはずのあご周り・のど周りの筋肉が鍛えられず、あごの骨格形成に悪影響をおよぼします。口呼吸を続けることであごの骨格が正しく発達せず、下あごが小さいまま(=アデノイド顔貌)になってしまうことがあるのです。
◎アデノイド肥大ではなくても、アデノイド顔貌になる可能性があります
本来、アデノイド顔貌はアデノイド肥大にともなう口呼吸によってひきおこされる下あごの発達不全を指します。ですが、現在はアデノイド肥大ではない場合でも、下あごが発達せずに口元が突き出したお顔立ちの総称を「アデノイド顔貌」と呼んでいます。
■アデノイド顔貌をひきおこす原因
アデノイド顔貌をひきおこす原因は以下のようなものがあります。
①口呼吸
口呼吸はアデノイド顔貌をひきおこす主な原因です。口呼吸をしているとあごやのど周りの筋肉が鍛えられず、下あごの発達不全(下あごが大きくならない)を起こすことがあります。
②指しゃぶり
指しゃぶりのクセが抜けない場合、前歯が前にひっぱられて口元が突き出しやすくなります。
③変な飲み方
以下のような変な飲み方をしているとあごやのど周りの筋肉が鍛えられず、下あごの発達不全を起こすことがあります。
・飲み物をお口に溜めてほっぺたの力で押し込むように飲む
・飲み物をお口に溜めて唇をすぼめ、吸い込むように飲む
・舌を前に突き出して飲む(乳児嚥下:赤ちゃんがお母さんのおっぱいを飲むときの飲み方)
舌を前に突き出して飲む乳児嚥下(にゅうじえんげ)は赤ちゃんのときだけであれば問題ありません。ただし、おっぱいを卒業したあとも乳児嚥下が続いてしまうと下あごの発達不全を起こしやすくなります。
■アデノイド顔貌は治せるの?
◎マイオブレース矯正により、お子さまのあごの健全な発達をうながします
お子さまのあごが未成熟でやわらかい9歳ごろまでの時期であれば、マイオブレース矯正を行うことでアデノイド顔貌を治せる可能性があります。
マイオブレース矯正とは、マウスピースを使ってお口周りの筋肉を鍛え、あごの健全な発達をうながす小児矯正(咬合誘導:こうごうゆうどう)です。9歳ごろまでの時期にマイオブレース矯正を始めることでお子さまのお口の機能の正常化を目指し、あごの健全な発達につなげます。
当院のマイオブレース矯正についてはHPにて詳しくご説明しています。ぜひ、ご参照ください。
◎ワイヤー矯正、マウスピース矯正でアデノイド顔貌が改善できる可能性があります
マイオブレース矯正はお子さまのあごの健全な発達をうながします。アデノイド顔貌を治す・防ぐには、お子さまのあごが未成熟でやわらかい9歳ごろまでにマイオブレース矯正を始めることが望ましいです。
ただし、10歳以降でもワイヤー矯正やマウスピース矯正でアデノイド顔貌が改善できる可能性があります。矯正治療により歯並びを整えることで噛み合わせを正常化させ、あごの位置を改善してアデノイド顔貌の軽減につなげます(※)。
(※)歯科矯正で改善できるあごの位置は限りがあります。
重度の下あごの発達不全など、あごの骨格そのものが
大きく後ろにひっこんでいる場合は外科的矯正
(あごの骨切り手術)が必要になることがあります。
◎アデノイド肥大が原因の場合はアデノイド切除が必要になることも
アデノイド顔貌の原因がアデノイド肥大の場合は耳鼻咽喉科でのアデノイド切除が必要になることがあります。
【お子さまの歯並びの乱れや悪いクセでお悩みの方はお気軽にご相談ください】
・下あごの発達不全(アデノイド顔貌、口ゴボ、あご無し顔)
・上あごの発達不全
・歯並びの乱れ(出っ歯、受け口、ガタガタ歯など)
あごの発達不全や歯並びの乱れの多くはお子さまが小さな時期に行う口呼吸、指しゃぶり、舌癖(ぜつへき)、変な飲み方などの悪い癖が原因でひきおこされます。
あごの健全な成長をうながし、正しいお口の使い方を身につけるにはお子さまのあごが未成熟でやわらかい9歳ごろまでの時期にマイオブレース矯正を始めることが大切です。
「アデノイド顔貌が気になる」
「歯並びが乱れている」
「口呼吸のクセが治らない」
など、お子さまのあごの発達不全や歯並びの乱れ、悪いクセでお悩みの方はおしむら歯科までお気軽にご相談ください。相談費は無料です。
カウンセリングでは歯科医師がお子さまの歯並びやあごの状態、悪いクセの有無を確認し、お1人お1人に合った治療方法をご提案いたします。