こんにちは。おしむら歯科 院長の押村侑希です。
むし歯予防の一環として、小学校で行ったり、市として推奨している「フッ化物洗口(ふっかぶつせんこう)」をご存じですか?
今回は、乳歯&永久歯のむし歯予防のための「フッ化物洗口」のご紹介です。
目次
■フッ化物洗口って何?
◎フッ素が含まれた液体を用い、お口の中をゆすぐことでむし歯を進行しにくくします
フッ化物洗口とは、むし歯を予防するための方法の一つです。
フッ化物洗口では、フッ素が含まれた洗口液をお口の中に含み、30秒~1分ほど、ぶくぶくうがい(=洗口:せんこう)をしてお口の中をゆすぎます。
お口の中をゆすいだ後は、水ですすぎません。あえて、お口の中にフッ素を残すことで、フッ素によるむし歯予防の効果を高めるのが、フッ化物洗口の特徴です。
◎フッ化物洗口で用いる洗口液の種類、ぶくぶくうがい(洗口)の回数
フッ化物洗口では、フッ素が含まれた洗口液(フッ素洗口液)を用います。
フッ素洗口液は、歯科医院専用(※)で水の中に顆粒を溶かして洗口液を作る物と、ドラッグストアや通販で買える市販の洗口液があります。
(※)クリニックによっては、患者様がフッ素顆粒(or
フッ素洗口液)を購入できるところもあります。
{フッ化物洗口液の種類}
歯科医院で取り扱うもの
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ミラノール顆粒11%
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オラブリス洗口用顆粒11%
歯科医院で取り扱うフッ素顆粒の濃度は、250ppm、450ppm、900ppmの3種類があります。
一方、ドラッグストアや通販で購入できる洗口液のフッ素の濃度は、225ppmになります。
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洗口液はフッ素の濃度により、必要なぶくぶくうがい(洗口)の回数が異なります。
≪フッ化物洗口液の濃度とぶくぶくうがい(洗口)の回数≫
行う |
洗口 |
フッ化物イオン濃度 |
フッ化ナトリウム濃度 (洗口液1mlあたりのフッ素量) |
1回の洗口液量 |
1回の洗口時間 |
ご家庭 |
毎日1回 |
225ppm ~250ppm |
0.055% |
5ml |
30秒~1分 |
幼稚園 保育園 |
毎日1回 (週5回) |
||||
小学校 中学校 |
週1回 |
450ppm |
0.1% (1mg) |
5~10ml |
1分 |
900ppm |
0.2% (2mg) |
◎ご家庭のほか、歯科医院、幼稚園・保育園・小学校・中学校にて、フッ化物洗口を行うことも
ご家庭のほか、歯科医院、幼稚園・保育園・小学校・中学校によっては、むし歯予防の一環としてお子さんにフッ化物洗口を実施しているところも。
◎名古屋市は4~15歳の子どもへのフッ化物洗口を奨励しています
名古屋市は4~15歳の子どもへのフッ化物洗口を奨励しています。
幼稚園・保育園・小学校・中学校などでお子さんにフッ化物洗口のご経験があり、「あ、そのぶくぶくうがい、ウチのところでもやってる!」と思った方もいらっしゃるかもしれません。
■フッ化物洗口はむし歯予防に効果があるの?
◎フッ素は歯の再石灰化をうながす&歯質を強化し、細菌の活動を抑える作用があります
フッ素は、むし歯予防に効果があるとされています。
フッ素は、以下の3つの作用により、むし歯を進行しにくくします。
[フッ素がむし歯を進行しにくくするメカニズム]
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歯の再石灰化をうながす
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歯質(エナメル質)を厚く、硬く強化する
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むし歯菌などの細菌の活動を抑える
フッ素のむし歯予防効果については、ブログにて詳しくご説明しています。併せてご参照ください。
■フッ化物洗口は何歳から?
◎4歳からフッ化物洗口を行えます
フッ化物洗口は4歳から行えます。
なお、WHOは「6歳未満の児童にはフッ化物洗口を行うべきではない」との見解を発表しています(※)。ただし、WHOが6歳未満の児童へのフッ化物洗口を非奨励としているのは、アメリカなど、水道水にフッ素が添加してある国を想定しての基準です。日本の水道水には、フッ素は添加されていません。
(※)WHO techincal Report Series 846「Fluori
des and Oral health」(1994)より引用。
上記の理由により、日本口腔衛生学会では、「6歳未満の児童に対するフッ化物洗口で大きな問題が発生する可能性は低い」「フッ素洗口液の濃度と洗口の回数を基準化することで、安全性を高めながら幼児へのフッ化物洗口を行える」としています(※)。
(※)一般財団法人 日本口腔衛生学会「児童への
フッ化物洗口に対する見解」(2011)より引用。
【フッ化物洗口で、むし歯予防の効果を高めましょう】
今回は、むし歯予防のために行うフッ化物洗口の内容・効果をご紹介させていただきました。
お子さんをお持ちの方はご不安もあるかと思いますが、フッ化物洗口で歯・歯周組織に問題が発生する可能性は限りなく低いです。フッ化物洗口はお子さんでも簡単にできるむし歯予防のひとつです。ぜひ生活の中で取り入れてみてください。
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次回のブログでは、「フッ化物洗口のメリット」および「フッ素は本当に害がないの?」について、お話しします。