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フッ化物洗口のメリット・デメリット 本当にフッ素は安全なの?


こんにちは。おしむら歯科 院長の押村侑希です。


歯の再石灰化をうながし、むし歯予防に役立つ、フッ化物洗口。

前回のブログでは、フッ化物洗口の内容をご説明させていただきました。


今回は、「フッ化物洗口のメリット・デメリット」および「本当にフッ素は安全なの?」のお話です。


■フッ化物洗口のメリット


フッ化物洗口は、以下のようなむし歯予防の効果を期待できます。


①フッ素の作用で歯の再石灰化をうながし、歯質を強化してむし歯予防の効果を高められる

フッ化物洗口液に含まれるフッ素には、歯の再石灰化をうながし、歯質(歯の表面のエナメル質など)を厚く・硬くして強化する作用があります。


むし歯菌が出す酸や食べ物に含まれる酸により、歯は常に溶けています。


常に酸で溶かされている歯ですが、酸で歯が溶けてなくなってしまわないようにしているのが、唾液です。唾液に含まれるカルシウムやリン酸の働きにより、歯は再石灰化し、修復されています。


唾液による歯の再石灰化に加え、フッ素(フッ化物洗口やフッ素入り歯磨き粉など)を用いてさらに歯の再石灰化をうながし、エナメル質を厚く・硬くして歯質を強化することで、むし歯予防の効果を高められます。


②フッ素の抗菌作用により、むし歯菌の活動を抑えやすくする

歯の再石灰化・歯質の強化に加え、フッ素には細菌の活動を抑える抗菌作用も。


フッ素の抗菌作用により、むし歯菌の活動を抑えることで、むし歯の進行リスクを低減しやすくなります。


③ぶくぶくうがいで済み、小さなお子さんでも気軽にむし歯予防にアプローチできる

フッ化物洗口は、とってもシンプル。フッ化物洗口液をお口の中に含み、30秒~1分ほどぶくぶくうがいをして、洗口液を吐き出すだけでOK。


シンプルな方法のため、小さなお子さんでも気軽にむし歯予防にアプローチできます。


■フッ化物洗口のデメリット


むし歯予防の効果を高められ、メリットが多い、フッ化物洗口。一方、フッ化物洗口はフッ素を用いるため、誤った飲用(常軌を逸した大量のフッ素の飲用)によるデメリットが生じる可能性も。


①常識では考えられないほどの大量のフッ素を飲用をした場合、健康被害が生じるおそれがある

フッ化物洗口液に含まれるフッ素は、大量に摂取すると歯牙フッ素症(※1)や骨硬化症(※2)などの健康被害が出るおそれがあります。


ただし、フッ素による身体への悪影響が生じる可能性があるのは、常識では考えられないほどの大量のフッ素を飲用をした場合です。


(※1)歯牙フッ素症・・・長期間、かつ、大量に高濃度のフッ素を摂取し続けることで、歯の表面がまだらに変色する症状。


(※2)骨硬化症・・・全身の骨が異常に硬く、厚くなってしまう疾患。悪化すると脳神経を圧迫したり、骨髄炎をひき起こすことも。


毎日、高濃度フッ素が含まれた歯磨き粉を何本も丸ごと飲み込む、のような常軌を逸した大量のフッ素を飲用をした場合は、健康被害が出るおそれがあります。


■本当にフッ素は安全なの?


Q1.本当にフッ化物洗口は安全?

フッ化物洗口でお口の中に残るフッ素量は約0.2mgです。


フッ素の1日の摂取許容量は、以下とされています。


[年齢別 フッ素の1日の摂取許容量(男女共に)(※)]


  • 0ヶ月~3歳······ 0.7~1.3mg

  • 4~8歳············ 2.2mg

  • 9歳以上··········· 10.0mg


(※)Washington (DC): National Academies Press (US)「Diet
ary Reference Intakes for Calcium, Phosphorus, Magnesi
um, Vitamin D, and Fluoride
」(1997)より引用。


フッ化物洗口は1日1回で、お口の中に残るフッ素量は約0.2mgのため、いずれの年齢においても、摂取許容量を超えることはありません。


Q2.高濃度フッ素配合の歯磨き粉を使っている場合、フッ化物洗口をしたらフッ素の摂り過ぎになるのでは?

高濃度フッ素配合の歯磨き粉を使っていても、フッ化物洗口により、フッ素を摂り過ぎることはありません。


前の項でお伝えしたように、高濃度フッ素が含まれた歯磨き粉を1日に何本も丸ごと飲み込むような常軌を逸した大量の飲用をしない限り、フッ素で健康被害が出るおそれはほぼありません。


Q3.口の中が傷ついていたり口内炎がある場合でも、フッ化物洗口はできる?

フッ素がお口の中の傷に悪影響を与える可能性は、ほぼありません。お口の中に傷や口内炎があっても、フッ化物洗口を行えます。


ただし、お口の中の傷や口内炎に水が当たることでしみる場合は、無理にフッ化物洗口をせず、傷が治るまで待ってからフッ化物洗口を再開することをおすすめします。


【フッ化物洗口でむし歯予防の効果を高めましょう】


乳歯や、生え変わったばかりの永久歯は歯質が未成熟のため、むし歯にかかりやすいです。


4~15歳頃のむし歯にかかりやすい時期には、歯磨き・歯間清掃に加え、フッ化物洗口を行うことで、むし歯予防の効果を高められます。


大切な歯を守るために、生活の中にフッ化物洗口を取り入れましょう。


おしむら歯科こども矯正歯科クリニック
歯科医師
押村 侑希

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