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「キシリトールがむし歯予防に良い」と言われているのはナゼ?


こんにちは。おしむら歯科 院長の押村侑希です。


突然ですが、皆さんはキシリトール、使っていますか?


コンビニやスーパー、通販などではキシリトール入りのガム・歯磨き粉などを見かけますよね。

最近では子ども用のお菓子にキシリトールが含まれているものも。


「キシリトール」


聞いたことがあるけど、何で、むし歯予防に良いのかはわからない…という方も少なくありません。


そこで今回は、むし歯予防に役立つ「キシリトール」について、お話しします。


■キシリトールとは?


◎むし歯予防に役立つ、天然の甘味料です

キシリトールとは、むし歯予防に役立つ、天然の甘味料(糖アルコール)です。


白樺や樫の木の樹液からキシリトールが採取され、主にフィンランドなどで天然素材の甘味料として製品化されています。


果物・野菜にも含まれているキシリトール


白樺や樫の木以外にも、イチゴやラズベリーなどの果物、カリフラワーやほうれん草などの野菜にもキシリトールが含まれています。


人の身体の中でもキシリトールが作られています


人の肝臓では、1日につき、5~15g程度のキシリトールが作られています。


■キシリトールがむし歯予防に役立つ理由


以下のような理由により、キシリトールはむし歯予防に効果を期待できます。


①キシリトールはむし歯になりにくい「糖アルコール」

キシリトールは糖アルコールに分類されます。


糖アルコールとは、甘みを持つ炭水化物の一種です。

糖アルコールは体内に吸収されにくく、エネルギーになりにくい性質を持ちます。


{むし歯菌の活動を抑え、歯に歯垢をつきにくくするキシリトール}


キシリトールガムを噛んだり、キシリトール入りの歯磨き粉を使ったとき、むし歯菌は甘味があるキシリトールを「あ!甘いえさだ!わーい!」と、一旦は取り込みます。


しかし、キシリトールは糖アルコールのため、取り込んでも、むし歯菌が活動するためのエネルギーになりにくいのです。


エネルギーになりにくいため、むし歯菌は「甘いえさだと思って食べたのに、力が出ないや…」と、キシリトールを排出します。


上記の、キシリトールを取り込む→エネルギーになりにくい→キシリトールを排出する、の役に立たないサイクルのことを「無益回路(むえきかいろ)」と呼びます。無益回路をさせることで、むし歯菌が疲れて弱ってしまうのです(※)。


(※)現時点での推論です。


無益回路によってむし歯菌が弱り、むし歯菌を含む歯垢が歯につきにくくになる…これが、キシリトールがむし歯になりにくい&むし歯予防に役立つ理由です。


②キシリトールは歯の「再石灰化」をうながす作用が期待できます

キシリトールはカルシウムと結合しやすく、唾液による歯の再石灰化(歯の修復)をうながす作用を期待できます。


■キシリトールは安全なの?危険性は?


◎キシリトールは天然の甘味料であり、摂取によって健康への重大な悪影響が出るおそれはほぼありません

キシリトールは天然の甘味料です。キシリトールの摂取により、健康への重大な悪影響が出るおそれはほぼありません。


{内因性のキシリトールによる心臓の血管への悪影響について}


近年、キシリトールが心臓の血管へ何らかの悪影響をおよぼす可能性が指摘されています(※1)。ただし、リスクがあると考えられているのは、肝臓から作られる内因性のキシリトールです(※2)。


白樺などの天然素材から作られる外因性のキシリトールは、健康への重大な悪影響をおよぼすことはほぼないと見られています(※1)(※2)。


(※1)Marco Witkowski et al.「Xylitol is prothrombotic and ass
ociated with cardiovascular risk
」(2024)より引用。


(※2)日本フィンランドむし歯予防研究会「米国で報道された
キシリトール研究に対する見解と キシリトールの多量摂取
による身体への影響について
」(2024)より引用。


◎キシリトールの食べ過ぎには注意が必要

キシリトールは体内に吸収されにくいです。1日に30~40g以上(一般的なキシリトール入りガムの場合、約60~80個)の大量のキシリトールを摂取すると、お腹がゆるくなることがあります。


【キシリトール入りの製品を活用し、むし歯予防の効果を高めましょう】


キシリトールが入っている製品としては、ガムやタブレット、歯磨き粉、医療用の注射液(輸液)などが代表的です。


{キシリトール入りのガムを噛むタイミング・回数について}


キシリトール入りのガムは、1回につき2粒を5分程度噛み、1日に3~7回、習慣としてガムを噛むことをおすすめします(※)。


(※)製品に記載された用法・用量を守り、

摂り過ぎに注意しましょう。


なお、キシリトール入りのガムやタブレットの中には、砂糖を含む物も。キシリトール入りのガムやタブレットを噛むときは、砂糖を含まず、キシリトールの含有量が50%以上の製品を選ぶことが大切です。


むし歯予防に役立つ天然の甘味料、キシリトール。


キシリトール入りの製品(砂糖を含まない物)を活用し、むし歯予防の効果を高めましょう。


おしむら歯科こども矯正歯科クリニック
歯科医師
押村 侑希

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