子どもの歯はやわらかく、未成熟です。未成熟なため、子どもの歯はむし歯になりやすく、むし歯の症状が速く進みます。子どもの場合、「むし歯かな」と思っていたのもつかの間、あっという間にむし歯が歯の神経に達してしまうケースも。
むし歯になりやすい子どもの歯ですが、「歯に良い」食べ物を摂取することで歯や歯ぐき、顎の骨が強くなる効果を期待できます。
食べ物によって歯が強くなると歯の表面のエナメル質がより厚く・硬くなります。エナメル質が厚く・硬くなることでエナメル質の下にある象牙質にむし歯が進行するのを食い止めやすくなり、むし歯が重症化しにくくなります。
今回は「子どもの歯を強くする食べ物」のお話です。
目次
■子どもの歯を強くする食べ物
大人と比べて、子どもは食べ物からの影響をより強く受けます。身体の成長はもちろんのこと、子ども時代の食べ物は歯・歯周組織(歯ぐきや顎の骨)の成長にも影響を与えます。
以下は、歯・歯周組織を強化する栄養素&食べ物です。
お子さんに、以下の栄養素を含む食べ物を積極的に与えることで、歯・歯周組織が強くなる効果を期待できます。
①カルシウム
[カルシウムを多く含む食べ物]
牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品、小魚、ひじき、小松菜、キャベツ、ブロッコリーなど
歯のエナメル質、および、歯を支える顎の骨(歯槽骨)を硬く、強くします。
②たんぱく質
[たんぱく質を多く含む食べ物]
お肉(鳥・豚・牛)、お魚・貝類、卵、大豆、牛乳など
歯の大部分を占める象牙質を作る材料になります。歯ぐきも丈夫にします。
③リン
[リンを多く含む食べ物]
お米、お肉(豚・牛)、海苔・わかめなどの海藻類、卵など
歯のエナメル質&象牙質の石灰化をうながし、歯を硬く、強くします。
④ビタミンA
[ビタミンAを多く含む食べ物]
豚肉、レバー、海苔・わかめなどの海藻類、かぼちゃ、うなぎ、ほうれん草など
歯のエナメル質を強くします。
⑤ビタミンC
[ビタミンCを多く含む食べ物]
ブロッコリー・小松菜・ほうれん草などの野菜、みかん・レモンなどのかんきつ類、いちご、キウイフルーツ、さつまいも、じゃがいも、焼き海苔など
歯の象牙質を作ります。
⑥ビタミンD
[ビタミンDを多く含む食べ物]
卵黄、牛乳・バター、干ししいたけ、しめじ、鮭、サンマなど
カルシウムの吸収をうながし、歯の再石灰化作用(脱灰で溶けた歯を修復する作用)を整えます。
■食材を採り入れるのが難しい場合は、子ども向けのサプリメントを活用しましょう
◎子ども向けのサプリメントで足りない栄養素を補います
「歯・歯周組織を強くする食べ物があるのは知ってる。でも、忙しくて、なかなか食材を使って料理を作ることができない…」
そんな場合は、子ども向けのサプリメントがおススメです。
料理を作る時間がないときは、ドラッグストアやネット通販で「栄養機能食品」の表示がある子ども向けのサプリメントを選び、用法・用量を守った上でお子さんにサプリメントを与えてもOKです。
なお、特定保健用食品、機能性表示食品は子ども向けの食品ではないため、摂取には注意が必要です。特に、特定保健用食品は大人向けのため、お子さんには与えないでください。
食材を使って料理をする場合と比べて、サプリメントを活用することでよりお手軽・カンタンに栄養を摂取できます。
{子どもにサプリメントを与えても大丈夫なの?}
保護者様によっては「子どもにサプリメントを与えても大丈夫なの?」と心配される方もいらっしゃいます。
たしかに、サプリメントによっては粗悪品もあります。お子さんにサプリメントを与えるときは、必ず、「栄養機能食品」の表示がある物を選んでください。
栄養機能食品は消費者庁に届け出をだした上で販売している食品です。国による審査は行っていないため、栄養機能食品に100%問題が起きない訳ではありません。
国の審査は受けていませんが、栄養機能食品は食品に含まれている栄養素の表示に関する一定のルールがあります。一定のルールに従い、パッケージに栄養素の含有量が表示されているため、お子さんにサプリメントを与えるときに必要な量を判断するのに役立ちます。また、栄養機能食品は摂取時の注意点(一定量以上の摂取に対する注意など)を表示するルールもあり、栄養素の取り過ぎを防ぎやすいです。
◎時間がないときはサプリメントでお子さんへの栄養を補いましょう
栄養機能食品が絶対に安全、という訳ではありません。ただし、安全性を心配するあまりサプリメントを使えず、お子さんへの栄養が不足してしまうのも問題です。
時間があるときは保護者様がお子さんに料理を作り、実際の食材から歯・歯周組織を強くする食事を与えるのが望ましいです。
ベストは実際の食材からの栄養摂取ですが、料理を作る時間がないときは栄養機能食品の表示があるサプリメントでかまいません。サプリメントを活用し、お子さんの歯・歯周組織を強くする栄養素を補うことをおすすめします。
■お子さんが生まれる前、赤ちゃんとしてお腹にいるときにお母さんが栄養を摂取しておくことも大切です
◎赤ちゃんがお腹にいるときにお母さんが栄養を摂取しておくことで、強い歯・歯周組織を持つ子どもが生まれてくる効果を期待できます
上記でご紹介した栄養素&食品は生まれた後、子どものときに摂取することで歯・歯周組織を強くする効果を期待できます。
生まれた後の摂取に加え、お子さんが生まれる前、赤ちゃんとしてお腹にいるときにお母さんが上記の栄養素&食品を摂取しておくことも大切です。
子どもの歯(乳歯・永久歯)の元になる歯の芽(歯胚:しはい)は赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいるときに作られ始めます。
赤ちゃんがお腹にいるときにお母さんが上記の栄養素&食品を積極的に摂ることで歯胚が強化され、強い歯・歯周組織を持った子どもが生まれてくる効果を期待できます。
【お子さんに必要な栄養素を積極的に与え、歯・歯周組織を強くしましょう】
今回は、「子どもの歯を強くする食べ物」をご紹介をさせていただきました。
子どもの歯並びを育てる「飲み方」「噛み方」については、こちらのブログ記事で詳しくご説明しています。併せてご参照ください。
– おしむら歯科「食育教室」のご案内 –
◎専門の管理栄養士による食育教室を開催しています
おしむら歯科では毎月、第3水曜日の10時30分~12時に、お子さんをお持ちの保護者様を対象に「食育教室」を開催しています。食育教室は3部構成です。以下の3点を中心に、お子さんの食事やおやつの内容、食べ方、食事のタイミングなどについてお話しします。
・第1部「遊んで食べる環境づくり」
食事が楽しくなる方法 食事の際の姿勢や環境・時間について 正しいお水の飲み方(大人と子どもが実習します) など
・第2部「乳幼児の食事、おやつについて」
乳幼児のからだとお口の成長について 幼児の食事の量や内容について おやつの内容について 食べにくい食品の工夫 飲み物の砂糖の量や気をつけたいことについて など
・第3部「噛んで食べるようになる方法」
噛むための食事の工夫 かじり食べの重要性 就学前につけておきたい食事のマナー スプーンやお箸の使い方 食べることでわかる歯・舌・唇の機能(大人が実習します) など
◎歯科衛生士によるお口のケアのお話もあります
食育教室では各部とセットで歯科衛生士によるお口のケアのお話もあります。歯磨き指導を中心に、歯磨き粉の選び方やフッ素の上手な使い方など、定期検診でお話しする内容とはちょっと違う、「それぞれのお子さんに適したケア方法」をアドバイスいたします。
◇食育教室はこんな方におすすめです◇
・出産が初めてで、子育てに不安がある
・孫のために栄養や歯のことを勉強したい
・歯並びの良い子に育てたい
・食育に興味はあるが、何から始めれば良いかわからない
食育教室はお子さんと保護者様がご一緒にご参加いただきます。保護者様だけのご参加もOKです。お孫さんをお持ちの祖父母様もご遠慮なくご参加ください。参加費は1回2,500円になります。保育士による託児つきですので、小さなお子さんをお持ちの方も安心してご参加いただけます。
食育教室について聞きたいことやわからないことがある方は、お問い合わせフォームまたはお電話にてご遠慮なくお問い合わせください。参加方法や費用など、詳しい内容をお伝えさせていただきます。