「むし歯治療って、何で、歯医者さんに何回も通わなければならないんだろう?」
「1回でむし歯治療を終わらせて欲しいんだけど… できないの?」
こんにちは。おしむら歯科 院長の押村侑希です。
歯医者さんで治療を受けたとき、「1回でむし歯治療を終わらせて欲しい」と感じた方もいらっしゃるかと思います。
何回かに分けて行うことが多い、むし歯治療。歯を削る必要がない初期のむし歯を除き、原則として、1回でむし歯治療を終わらせられるケースはあまりありません。
なぜ、むし歯治療を何回かに分けて行うことが多いのでしょうか?
今回は、「むし歯治療を何回かに分けて行う理由」について、ご説明します。
目次
■むし歯治療を何回かに分けて行う理由
以下のような理由により、原則として、むし歯治療は何回かに分けて行うことが多いです。
①むし歯治療はしなければならないことがたくさん
むし歯治療を含め、歯科治療ではしなければならないことがたくさんあります。
むし歯治療では、むし歯の状態に応じて、歯を削ることが多いです。歯を削るときは、単に削るだけではありません。むし歯に侵された歯質部分を取り除くと共に、詰め物・被せ物の接着力を上げるために、形を考えて歯を削る必要があります。
歯を削ったときは、削った形・歯の形に合わせて詰め物・被せ物を作らなければなりません。詰め物・被せ物を作るためには、歯型を取る必要があります(※)。
(※)初期むし歯など、小さなむし歯では充填式の
レジンペーストを用いることがあります。
歯の神経にむし歯が達しているケースでは、多くの場合、歯の神経を除去する抜髄(ばつずい)が必要になります。抜髄が必要なむし歯では、歯の根っこをお掃除するために根管治療を行うことが多いです。
上記のように、むし歯治療ではしなければならないことがたくさんあるため、1回で終わらせるのは難しいのです。
②1本ずつ、むし歯の状態を確認しながら治療を進めていく必要がある
患者様によっては、複数本のむし歯があるケースも。
複数本のむし歯を1回でまとめて治すのは難しいです。
むし歯は、それぞれの歯によって進行状況・歯の状態が異なります。進行状況・歯の状態が異なるため、原則として1本ずつ、状態を確認しながら何回かに分けてそれぞれの歯ごとに治療を進めていかなければなりません。
③保険のルール上、1回の治療に多くの時間をかけられない
保険診療では、「1人の患者、1回の治療に過度の時間や工程をかけてはならない(=過剰診療の禁止)」という国のルールがあります。
国のルール(制約)があるため、保険のむし歯治療では1回の治療に多くの時間をかけられません。
保険のむし歯治療では1回の治療に多くの時間をかけられないため、1回ですべての治療工程を終わらせるのは難しいのです。
{自費のむし歯治療は、保険と比べて少ない回数で治療を終わらせられることも}
国のルールにより、1回の治療に過度の時間や工程をかけられない、保険のむし歯治療(保険診療)。
一方、自費診療には、時間や工程などに制約がありません。
制約がないため、クリニックによっては、自費診療にて、保険と比べて少ない回数でむし歯治療を終わらせたり、1回でまとめて複数本のむし歯治療を行うところも。
■CO、C1の初期むし歯であれば、1回(1日)で治療を終わらせられるケースも
◎初期むし歯であれば、1回のご来院で治療を終わらせられる可能性があります
何回かに分けて治療を行うことが多いですが、むし歯の状態によっては、1回(1日)で治療を終わらせられるケースも。
歯の表面を覆うエナメル質でむし歯が留まっている状態のCO(シーオー)、C1の初期段階のむし歯であれば、以下のような処置で済み、1回(1日で)むし歯治療を終わらせられる可能性があります。
[初期むし歯に対する、歯科医院での主な処置・治療の内容]
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処置・治療はせず、毎日の歯磨きで歯の再石灰化をうながす
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フッ素塗布を行い、歯の再石灰化をうながす
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むし歯に侵されたエナメル質を削り、レジンペースト(保険の白い詰め物)を詰める
【むし歯は早期発見・早期治療が大切です】
むし歯は早期発見・早期治療が大切です。
早い段階でむし歯を見つけ、治療を開始できれば、重度に進行した場合と比べて、むし歯治療にかかる回数・期間を減らせます。
歯の違和感や痛みがあるときは、できるだけ早めに歯科医院を受診しましょう。
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今回は「むし歯治療を何回かに分けて行う理由」について、お話をさせていただきました。
お仕事や学業など、お忙しい中でご来院される方も多いかと思いますが、むし歯治療を何回かに分けるのには相応の理由があることを、何卒、ご理解いただければ幸いです。