こんにちは。おしむら歯科 院長の押村侑希です。
今回は、「歯の平均寿命」について、お話ししします。
人の命に限りがあるように、歯にも、寿命(歯を保てなくなるまでの期間)があります。
歯周病をはじめとして、むし歯・歯根破折(歯の根が割れたり、ひびが入ったりすること)など、歯を失う原因はさまざま。
原因はさまざまですが、しっかりケアを継続することで、歯の平均寿命を延ばすことが可能です。
目次
■日本人の歯の平均寿命の変化
◎日本人の歯の平均寿命は50~65年程度
厚生労働省の調査では、日本人の歯の平均寿命(歯を失うまでの平均年数)は、50~65年程度であることが明らかになっています(※)。
(※)厚生労働省「歯科疾患実態調査」(平成11年 、令和4年 )より引用。
◎日本人の歯に対する健康意識の変化により、現在は、歯の平均寿命が長くなっていると推測されています
20・30年前の平成前期と比べて、現在は、日本人の歯の平均寿命が長くなっていると推測されています。事実として、2022年の厚生労働省の調査では、80歳で健康な歯を20本以上残している方(8020達成者の方)の割合は全体の51.8%でした(※1)。
(※1)厚生労働省「歯科疾患実態調査」(令和4年)より引用。
なお、1999年の調査では、当時、80歳で健康な歯を20本以上残している方の割合は10%程度に留まっていました。
(※2)保険福祉動向調査「歯科受診者数(主たる診療内容別)」(1999年)より引用。
20年ほど前が10%だった点を考えると、80歳以上の約半数の方が健康な歯を20本以上残しているのは、めざましい進歩ではないでしょうか。
■何歳ぐらいで、歯を失うことが多いの?歯を失う原因は?
◎40歳前後を境に、歯を失うリスクが高まります
以下は、歯を失う年齢&失った歯の平均の本数の表です。見ていただくとわかるように、多くの場合、40歳前後を境に、歯を失うリスクが高まります。
年齢 |
失った歯の平均の本数 |
15~19歳 |
0.0本 |
20~24歳 |
0.3本 |
25~34歳 |
0.4本 |
35~44歳 |
0.6本 |
45~54歳 |
1.4本 |
55~64歳 |
3.0本 |
65~74歳 |
6.0本 |
75~84歳 |
11.2本 |
85歳~ |
14.1本 |
失った歯の平均の本数が小数点なのは、全体に対する割合で計算しているためです。
35~44歳までは0.0~0.6で1本以下、つまり、歯を失う方が少ないのが見て取れます。
一方、40歳前後を境に、45~54歳以上になると、失った歯の平均の本数が1.4、3.0、6.0と増えています。実際に、40代以上の中高年の方は、主に歯周病などの原因によって1本~複数本の歯を失うケースが多いです。
◎歯を失う原因の第1位は歯周病
歯を失う原因の第1位は歯周病です。歯を失ったケースの約4割の方が、歯周病が原因で歯を失くしています(※1)。
特に、40代以上の中高年の方は、進行した歯周病(中程度~重度)によって歯を失うケースが多いです。
ご参考までに、歯を失う原因の第2位はむし歯で約3割、第3位は歯根破折で約1割となっています(※2)。
(※1)(※2)公益財団法人8020推進財団
「第2回永久歯の抜歯原因調査」(2018)より引用。
【セルフケア+定期検診で歯の健康を守りましょう】
◎毎日のセルフケア+歯科医院の定期検診が大切です
歯の健康を保ち、歯を維持するためには、以下の2点が大切です。
①ご自身で行う毎日の歯みがき・歯間清掃(セルフケア)
②歯科医院で受ける定期検診(プロケア)
毎日のセルフケアと歯科医院で受ける定期検診により、むし歯・歯周病などのお口の病気や異常の予防&早期発見・早期治療につながります。
定期検診では歯科医師がお口の状態をチェックします。お口のチェックと共に、歯科衛生士による歯のクリーニング・歯石取りも行います。
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大切な歯を維持するために、毎日のセルフケアをしっかり行い、併せて、歯科医院で定期検診を受けましょう。
なお、患者様やお口の状態により、推奨される定期検診の頻度が異なります。半年に1回だと、お口の健康を維持するには、ちょっと足りないという方も。
進行した歯周病などの大きな問題がない場合は、3~4ヶ月に1回程度、歯科医院で定期検診を受けることをオススメします。