おしむら歯科・こども矯正歯科クリニック 前院長の押村 進です。
ずいぶん久しぶりの投稿になってしまいました。
気がつけば、前にここに文章を書いてから、5年ほど経っているようです。
まあ、書こうと思えばいつでも書けるのに、書かない時間のほうが長くなるのも、よくある話ですね。
今日は、当院の駐車場に展示してあるエレベーターの扉絵について、少し書いてみようと思います。

当院駐車場に飾られた丸栄本館のエレベーター扉絵(東郷青児作)
この扉絵を買ったのは、私ではありません。私の父、押村 実です。
いまから約40年ほど前、1984年に、名古屋・丸栄百貨店(かつて名古屋・栄にあった老舗百貨店)で使われていたエレベーターの扉が一般販売されたことがありました。
そのときに父が購入しました。
当時、私は30代の半ばくらいだったと思います。
価格は、たしか20万円ほど。父は変わったものを集めるのが好きでした。
この扉絵は、日本を代表する洋画家・東郷青児がデザインしたもので、1953年(昭和28年)に丸栄本館に設置されていたものです。
当時としてはかなり印象的なエレベーターで、私も記憶に残っています。
とはいえ、父は「東郷青児だから買った」というよりも、
「なんだか面白いものが出てきたから」そんな感覚だったのではないかと、私は思っています。
購入後しばらくは、この扉は倉庫で静かに眠っていました。
特別に飾るわけでもなく、誰かに自慢するわけでもなく、ただ、そこにあり続けていました。
今の場所に展示するようになったのは、医院を建て替えたときのことです。
「せっかくだから、人の目に触れるところに置こう」
そう考えて、駐車場に設置しました。
この扉絵、ポケモンGOで「フルーツバスケット」という名前でポケストップに登録されているようです。
おそらく、登録した方は、これが東郷青児の作品だということも、丸栄本館のエレベーターに使われていた扉だということも知らないのだと思います。
でも、それでいいんですよね。
由来も、作者も、歴史も知らなくても、「なんだか気になる」「ちょっと面白い」それだけで、人は立ち止まります。
立派な説明板がなくても、難しい解説がなくても、「今の時代と自然につながっている」ことが、むしろこの扉らしい気がしています。
来院された際、もし時間があれば「これか」と、ちらっと眺めてみてください。
特に何かを感じなくても構いません。
ただ、こういうものがひっそり残っている場所があってもいい。
私は、そう思っています。
日経新聞に掲載された“東郷青児のエレベーター扉絵”の記事はこちら:
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32606510U8A700C1CN8000/