こんにちは。おしむら歯科 院長の押村侑希です。
矯正治療をお受けになるかご検討されている方は、「矯正中の歯のケアが心配…」という方もいらっしゃるのではないかと思います。
矯正治療、特にブラケット矯正の期間中にはブラケット装置をつけたままとなります。装置を取り外せないため、矯正治療中は装置に対応したブラッシングを行っていただきます。
今回は「矯正治療中の歯のケア」についてお話をさせていただきます。
目次
■矯正治療中の歯のケアが大切な理由
矯正治療中、特にブラケット矯正は治療が終わるまで矯正装置をはずせません。ブラケット矯正では、矯正治療中にふだん以上にしっかりと歯のケアを行うことが大切です。
①ブラケット矯正はお口の中の環境が悪化しやすい
ブラケット矯正の期間中は装置をとりはずせないため、お口の中の環境が悪化しやすいです。装置と歯のあいだに食べカスや歯垢などの汚れがたまりやすくなります。食べカスや歯垢を放っておくと、むし歯菌や歯周病菌などのお口の中の細菌がいつもの2~5倍以上に増えると言われています。
②歯の表面だけではなく装置と歯のあいだの汚れも落とす
ブラケット矯正の期間中には、装置に対応した歯磨きを行うことが重要です。歯の表面だけではなく、ブラケット装置と歯のあいだに挟まった汚れを落としてあげることで、むし歯や歯周病などお口の病気の予防効果を高められます。
③矯正中に歯磨きができていないとむし歯や歯周病になる可能性が高くなる
ブラケット装置を装着している場合、通所の歯磨きでは装置と歯のあいだに挟まった汚れを落とせません。矯正治療中、歯磨きがしっかりできていないとむし歯や歯周病になる可能性が高まってしまいます。
■矯正中にむし歯や歯周病になったらどうするの?
◎矯正をいったんストップしてむし歯や歯周病治療を行います
矯正治療中、もし、むし歯や歯周病にかかってしまった場合には矯正をいったんストップしてむし歯や歯周病の治療を行うことがあります。矯正治療を中断するため、矯正期間が延長してしまうこともあります。
◎矯正治療前にむし歯や歯周病治療を行うこともあります
矯正治療をお受けになる前にむし歯や歯周病が見つかったときには、先にこれらのお口の病気を治してから矯正に入ります。
おしむら歯科は矯正治療からむし歯・歯周病治療まで幅広く行う総合歯科医院です。むし歯や歯周病治療が必要な場合には当院で治療をお受けいただけます(保険適用での治療が可能です)。
■矯正治療中(ブラケット矯正)の歯のケア
矯正治療、特にブラケット矯正の期間中には以下の点に気をつけて歯のケアを行うようにしましょう。ブラケット矯正の期間中はいろいろなアイテムを使い、矯正装置に対応した歯磨きをしていただきます。
◎矯正治療中に使うケアアイテム
ブラケット矯正の期間中は、ふつうの歯ブラシ1本だけでは装置や歯のあいだの汚れをなかなか落とせません。矯正治療中は以下のケアアイテムをご用意いただき、矯正装置に対応したケアが必要となります。
・コンパクトヘッドの歯ブラシ
ヘッドが小さく小回りが利く歯ブラシです。矯正治療中にお使いいただくおすすめの歯ブラシとしては、インターブレイス、ルシェロのピセラ、システマゲンキ、ペンフィットなどがあります。
・ワンタフトブラシ
毛先がペンのように一束になった小さな歯ブラシです。ブラケット装置のまわりや歯と歯のあいだ、歯のでこぼこ部分など、歯ブラシでは磨きにくい箇所をピンポイントで磨くのに適しています。
・歯間ブラシ
歯のあいだを磨ける細いブラシです。歯間ブラシは本来は歯と歯のあいだを磨くためのブラシですが、矯正装置を磨くのにも便利です。ブラケットを締めるワイヤーやブラケット装置のまわりを磨くのに適しています。
・デンタルフロス
歯と歯のあいだの汚れを落とすフロスです。歯ブラシや歯間ブラシが入らない歯と歯のあいだの汚れを落とすのに適しています。
{矯正治療中には必要ではないアイテム}
・電動歯ブラシ
電動歯ブラシは複雑な形をした矯正装置に合わせて使うのがむずかしいです。振動が原因で装置が壊れてしまうこともありますので、矯正治療中は手用の歯ブラシをお使いください。
・歯磨き粉
歯磨き粉をつけるとお口の中が泡立って白くなってしまい、どこを磨いているのか確認しにくくなります。歯磨き粉でサッパリしたい方は、まず、歯磨き粉をつけずに矯正装置に対応したブラッシングを行ったあと、仕上げにちょっとだけ歯磨き粉をつけて全体を軽く磨くなど、目的に合わせた適切な量の歯磨き粉の使用をおすすめします。
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矯正治療中(ブラケット矯正)は、上のようなケアアイテムを使い、矯正装置に対応したブラッシングを行っていただきます。次の項では、矯正治療中のブラッシング方法についてご説明します。
■矯正治療中(ブラケット矯正)のブラッシング方法
矯正治療(ブラケット矯正)の期間中は次の5つのポイントを守ってブラッシングを行いましょう。
[ブラケット矯正に対応したブラッシング“5つのポイント”]
①45度で毛先を入れる
ブラケットのまわりや歯周ポケットは歯ブラシを45度に傾けて、毛先を入れるようにして磨きましょう。
②3方向から磨く
装置の「ななめ上」「ななめ下」「正面」の3方向から磨きましょう。歯ブラシを45度に傾け、装置と歯のすき間に3方向から毛先を入れるようにして磨くと汚れを落としやすくなります。
③歯ブラシは小刻みに動かす
歯ブラシは小刻みに振動させて磨きましょう。ゴシゴシ磨きでは装置のまわりや装置と歯のすき間の汚れを十分に落とせません。
④軽い力で磨く
軽い力で磨きましょう。歯ブラシをペンのように持つ「ペングリップ」が基本です。
⑤手鏡やスマホで確認
手鏡やスマホでお口の中を見ることで、どこをブラッシングしているのかを確認しやすくなります。特に裏側矯正のブラッシングでは手鏡やスマホが便利です。
~汚れがたまりやすい部分のブラッシングの仕方~
<ワイヤーと歯のあいだ>
ワイヤーと歯のあいだにワンタフトブラシや歯間ブラシを差し込み、ブラシを上下や左右に動かして磨きましょう。
<ブラケット装置のまわり>
ブラケット装置のまわりはワンタフトブラシを使い、装置と歯のあいだに毛先を入れるようにして磨きましょう。
<歯と歯のあいだ>
歯と歯のあいだにワンタフトブラシや歯間ブラシを差し込み、ブラシを前後または上下させて磨きましょう。ブラシが入らない歯と歯のすき間はデンタルフロスをワイヤーの中にくぐらせ、フロスを前後に動かすと汚れを落としやすいです。
<歯周ポケットの中>
歯周ポケットの中の汚れは、歯と歯ぐきの境目に対して歯ブラシやワンタフトブラシを45度の角度で当て、毛先を歯周ポケットの中に入れて汚れを落としましょう。
≪ゴシゴシ磨きはNG≫
矯正治療中のブラッシングは、ゴシゴシと強い力で歯ブラシを横に大きく動かす磨き方はNGです。ゴシゴシ磨きはブラッシング中に「シャコシャコ」という音がするため、磨いたつもりになってしまうのですが、ゴシゴシ磨きでは矯正装置のまわりや歯と歯のあいだの汚れを十分に落とせません。
矯正治療中は、歯ブラシを小刻みに動かして歯と装置のまわりを1本ずつブラッシングしてください。
■インビザライン(マウスピース矯正)の矯正治療中の歯のケア
◎インビザラインはいつもどおりの歯みがきをしっかり行えます
インビザラインはマウスピースを取り外せるため、いつもどおりの歯みがきをしっかり行えます。ブラケット矯正のように矯正装置に対応したブラッシングは必要ありません。
矯正治療中のケアやむし歯・歯周病にかかるリスクがご不安な方はインビザライン矯正がおすすめです(※)。
(※)歯並びの状態によってはインビザライン矯正を適用できない場合があります。
【矯正治療中のブラッシングを楽しみましょう】
矯正治療、特にブラケット矯正は装置に対応したブラッシングが必要なため、「めんどくさい」と感じてしまう方もいらっしゃいます。
矯正治療中のブラッシングは別の表現をすれば、理想の歯並びを手に入れるための“特別な体験”です。矯正治療中に行うブラッシングを、綺麗な歯並びになるための「クエスト」と考えれば、前向きに矯正期間をすごしやすくなります。
どうぞ、矯正治療中のブラッシングクエストを楽しんでください。矯正治療そのものを楽しんでください。
おしむら歯科では、矯正中の患者様に歯科医師が寄り添い、全力でサポートいたします。治療中に感じるご不安やご質問はご遠慮なく、いつでも、なんでもお話しください。理想の歯並びを手に入れるため、2人3脚で矯正のゴールを目指しましょう。