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奥歯のセラミックに迷ったら? 詰め物・被せ物にジルコニアが選ばれる理由


こんにちは。おしむら歯科 院長の押村侑希です。


今回は、セラミックの素材として普及している「ジルコニア」のお話をします。


2000年前後までは、セラミックの詰め物・被せ物は強度が低く、割れ・欠けを起こすことがしばしば、ありました。


現在は強度が高いジルコニアセラミックの詰め物・被せ物が登場し、以前のような割れ・欠けは起きにくくなっています。


■そもそも、ジルコニアって何なの?


◎ジルコニウム鉱という金属の粉末を酸化して焼き固めた丈夫なセラミックです

ジルコニアとは、ジルコニウム鉱という金属の粉末を酸化し、焼き固めたセラミックです。


ジルコニアはとても丈夫で、1,000MPa前後の高い強度を持ちます。


高い強度を持つことから、ジルコニアは人工ダイヤモンド(キュービックジルコニアなど)の素材としても用いられています。


ご参考までに、人体の中でもっとも硬いとされる歯のエナメル質の強度は60~80MPaほど。また、保険の銀歯の素材である金銀パラジウム合金の強度が650~800MPa前後です。


上記と比べても、強度が1,000MPa前後のジルコニアがいかに丈夫な素材であるかが、おわかりいただけるかと思います。


◎奥歯の詰め物・被せ物にはジルコニアが適しています

強度が高いため、噛む力がかかる奥歯の詰め物・被せ物にはジルコニアが適しています。


◎金属の粉末を酸化し、非金属化しているため、金属アレルギーの心配がありません

ジルコニウム鉱を酸化し、非金属化しているため、ジルコニアの詰め物・被せ物が原因で金属アレルギーを起こす心配はありません。


■ジルコニアの詰め物・被せ物が割れたり欠けることはないの?デメリットは?


◎歯ぎしり・食いしばりなど、噛む力が強い場合はジルコニアの詰め物・被せ物が割れ・欠けを起こす可能性があります

通常の噛み方&食生活における破損の心配はほぼありませんが、ジルコニアの詰め物・被せ物が絶対に割れ・欠けを起こさない訳ではないです。


以下のような場合は、噛んだときの負荷によってジルコニアの詰め物・被せ物が割れる・欠ける可能性があります。


[(ジルコニアを含む)詰め物・被せ物の割れ・欠けを起こし得る要素]


  • 生まれつき、噛む力が強い

  • 歯ぎしり・食いしばりの癖がある

  • 氷や飴玉、地方名産の硬いお菓子を噛み続けるなど、常軌を逸した食生活の習慣がある

  • 開咬などの歯並びの乱れがあり、奥歯に強い負荷がかかっている


◎噛み合う歯が傷ついてしまうことも

ジルコニアは、金属と同程度、または、金属以上の高い強度(1,000MPa前後)を持つセラミックです。非常に強度が高いジルコニアですが、見方を変えれば、ジルコニアは「硬すぎる」素材とも言えます。


硬すぎるため、噛む力が強い方、歯ぎしり・食いしばりの癖がある方は、ジルコニアの詰め物・被せ物と噛み合う天然の歯が削られたりひび割れを起こすことも。


上記の理由により、噛む力が強い方、歯ぎしり・食いしばりの癖がある方には、e-max(後述します)などのジルコニア以外のセラミックをおすすめする場合があります。


◎従来型ジルコニアは歯の白さの再現性に多少、劣ります

硬すぎる点のほか、従来型ジルコニアには見た目の面におけるデメリットも。


従来型ジルコニアは光を透しにくく、詰め物・被せ物が歯の白さの再現性に多少、劣ります。従来型ジルコニアの詰め物・被せ物は、のっぺりとした白さ(瀬戸物、トイレの便器のような白さ)に見えてしまうことがあるのです。


歯の白さの再現性に劣るため、従来型ジルコニアのみで作られたフルジルコニアの補綴物は目立ちにくい奥歯の詰め物・被せ物として用いられることが多いです。


{高透光性ジルコニアの登場により、フルジルコニアの詰め物・被せ物を前歯にも適応可能に}


現在は、光を透しやすく透明感がある高透光性ジルコニアが登場しています。


高透光性ジルコニアは審美性が高く、自然な白さの歯を演出可能です。審美性が高いため、高透光性ジルコニアのみでできたフルジルコニアの詰め物・被せ物は前歯にも適応できます。


(※)クリニックにより、取り扱うジルコニアの種類が異なります。


■ジルコニア以外のセラミックはどんな素材があるの?


歯科治療では、ジルコニア以外にも以下のようなセラミックが用いられています。

対応しているかどうかは歯科医院によって異なります。


  • e-max(イーマックス)


二ケイ酸リチウムガラスでできたセラミックです。


ガラス由来のしなやかさにより、高い強度(400MPa前後)を持ちます。強度の高さに加え、透明感に優れており、前歯から奥歯まで、幅広い箇所の詰め物・被せ物に適応可能です。


  • ポーセレン


長石系のセラミックです。


光を透しやすく、セラミックの中ではもっとも美しいとされています。美しさがある反面、強度はあまり高くありません(100MPa前後)。


審美性の高さから、ジルコニアフレームの外側に盛り付ける素材として、ポーセレンが用いられています。一般的には、前歯の補綴物にポーセレン+ジルコニアフレームでできたオールセラミックの詰め物・被せ物を適応することが多いです。


【詰め物・被せ物でお悩みの方はお気軽にご相談ください】


セラミックの詰め物・被せ物は自然な白さの歯の色に近づけやすく、金属アレルギーを起こさないなど、メリットが多いです(※)。


銀歯やレジンの見た目、銀歯の金属アレルギーでお悩みの方には、セラミックの詰め物・被せ物を検討するのも良いでしょう。


(※)従来型ジルコニアなど、歯の色調の再現性に

多少劣るセラミックもあります。


– 院内に歯科技工所を併設し、補綴物の精度を高めています –


院内に併設した歯科技工所により、歯科医師と技工士が一貫性のある連携を取りながら、精度を高めた補綴物をご提供いたします。


「銀歯の見た目がイヤ」

「銀歯の金属アレルギーで悩んでる」

「自然な白さの詰め物・被せ物にしたい」


など、詰め物・被せ物でお悩みの方はお気軽にご相談ください。

おしむら歯科こども矯正歯科クリニック
歯科医師
押村 侑希

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