こんにちは。おしむら歯科 院長の押村侑希です。
前回のブログでは、むし歯の進行を抑えるために欠かせない生活習慣・食習慣についてご説明をさせていただきました。
前回、ご説明をさせていただいたように、歯の健康には、毎日の食習慣が大きく関わってきます。
歯の健康に大きく関わる、食習慣。毎日の食習慣の中で、「歯に良い食べ物」を積極的に摂取することで、歯質が強化される効果を期待できます。ただし、歯に良い食べ物がある一方、むし歯が進行しやすく、歯質にダメージを与えやすい「歯に悪い食べ物」も。
歯の健康を守るためには、むし歯の原因となる、歯に悪い食べ物をできるだけ摂取しないことが重要です。歯に悪い食べ物を控えると共に、積極的に、歯に良い食べ物を摂ることで歯質が強化される効果を期待でき、むし歯の進行を抑えやすくなります(※)。
(※)むし歯の進行を抑え、歯の健康を守るためには、
毎日の歯みがきと歯間清掃が必須です。
今回は、「食事から歯を丈夫に!歯に悪い食べ物 歯に良い食べ物」のお話です。
目次
■歯に悪い飲食物とは?
以下の飲食物を摂取する機会が多いと、むし歯をはじめとして、歯の脱灰(だっかい:酸によって歯が溶けること)が起きやすくなります(歯の脱灰が進んだ状態を、むし歯と呼びます)。
1.砂糖や液糖などの糖分を含む物
・砂糖や液糖が入ったジュース(果汁100%のジュースを含みます)・炭酸飲料・清涼飲料水・スポーツドリンクなど
・砂糖が入ったお菓子・アイスクリーム・ケーキなどのスイーツ
歯に悪い飲食物の代表としては、砂糖があります。炭酸飲料・清涼飲料水に多く含まれている液糖(果糖ブドウ糖液糖)も歯に良くありません。
砂糖を含んだ飲食物は全般、歯に良くありませんが、その中でも、特に良くないのが、飴やチューキングキャンディー(ハイチュウやキャラメル)、ガムなどの歯にくっつきやすくお口の中に長く留まるお菓子です。
{砂糖などの糖質を含む飲食物が歯に良くない理由}
むし歯の原因菌であるミュータンス菌は、飲食物に含まれる糖分をエネルギー源にしています。このため、砂糖や液糖などの糖分を多く含む飲食物を摂ると、お口の中にひそむミュータンス菌が糖分をえさにして活発化してしまうのです。活発化した結果、ミュータンス菌がだす酸(ミュータンス菌のおしっこ)の量が増え、酸によって歯が溶けて(=歯の脱灰)むし歯が進行しやすくなります。
~砂糖は1グラムも摂取しちゃダメ?~
ポイント①砂糖の摂取は1日につき15~20グラム以内に抑えましょう
歯に悪い代表格の砂糖。しかし、「砂糖は1グラムも摂取しちゃダメ!」と言われたら、げんなりしてしまう方が多いのではないでしょうか?
砂糖はできるだけ、控えるのが望ましいです。望ましいですが、砂糖を完全に断つのは難しいかもしれません。極端に砂糖を控えると、反動でスイーツをドカ食いしてしまう可能性もあります。
どうしても砂糖をガマンできない場合は、最初のうちは無理に砂糖を控えなくてもかまいません。いきなり、極端に砂糖を控えるのではなく、1日につき、15~20グラム以内に砂糖の摂取量を抑えることからはじめて、砂糖が少ない生活に徐々に慣れていきましょう。砂糖が少ない生活に慣れてくると、砂糖がなくても、「別にジュースやお菓子は要らないかな」と、だんだん平気になってくるケースが多いです。
ポイント②人工甘味料で「甘い物が欲しい」欲求を満たしましょう
最近は、人工甘味料入りのジュースやスイーツも増えてきました。スクラロースなどの人工甘味料はむし歯のリスクが低く、むし歯の原因になりにくいとされています。
また、お料理やお菓子作りの際は、砂糖の代わりに人工甘味料を使うことで、むし歯が進行するリスクを軽減できます。
なお、人工甘味料は取り過ぎるとお腹がゆるくなる物が多いため、摂取の際は人工甘味料の量に気をつけましょう。
2.酸度が高い物
・レモン・オレンジ・グレープフルーツなどのかんきつ類の果物
・かんきつ類の果汁が含まれたジュース
・炭酸飲料(無糖、カロリーゼロでも炭酸飲料であれば炭酸が含まれています)
上記のような酸度が高い物(pHが5.5以上)は、強い酸によって歯のエナメル質が溶けやすいです。飲食物に含まれる酸やむし歯菌がだす酸で歯が溶けることを、「脱灰」と呼びます。脱灰は、むし歯の始まりです。
脱灰が続くとむし歯が進行するほか、上記のような酸度の高い飲食物をしょっちゅう摂取していると脱灰が進んでしまい、酸蝕症(さんしょくしょう)と言う、歯のエナメル質が大きく溶ける症状が起きる場合もあります。重度の酸蝕症になるとエナメル質の下にある歯の象牙質がむき出しになり、痛みを抑えるために歯の神経を抜かなければならなくなることも
なお、近年は、糖質を含まないカロリーゼロの、人工甘味料入りのジュース・炭酸飲料も一般的になってきました。しかし、カロリーゼロであっても、炭酸飲料は炭酸を含みます。砂糖入り・カロリーゼロなどの人工甘味料入り、どちらも、炭酸飲料は炭酸によって歯の脱灰が進む可能性が高まるため、飲み過ぎには注意が必要です。
~かんきつ類・炭酸大好き!どうすれば良いの?~
ポイント①ストローを使うことで、歯への影響を減らしやすくなります
かんきつ類などの酸度の高い果汁が含まれたジュースや炭酸飲料を飲むときは、ストローを使うことで果汁・炭酸が歯にふれにくくなり、歯への影響を減らしやすくなります。
ポイント②酸度が高い果汁が含まれたジュースや炭酸飲料を飲んだあとは水でお口の中をゆすぎましょう
酸度が高い果汁が含まれたジュースや炭酸飲料を飲んだあとは水でお口の中をゆすぐことで、口腔内のpHを中性に戻しやすくなります。
■歯に良い飲食物ってあるの?
歯に悪い砂糖、酸度が高い物がある一方、以下のような、歯に良い飲食物も存在します。
1.歯質を強化する作用がある物
①カルシウム
[カルシウムを多く含む食べ物]
牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品、小魚、ひじき、小松菜、キャベツ、ブロッコリーなど
歯のエナメル質、および、歯を支えるあごの骨(歯槽骨)を硬く、強くします。
②たんぱく質
[たんぱく質を多く含む食べ物]
お肉(鳥・豚・牛)、お魚・貝類、卵、大豆、牛乳など
歯の大部分を占める象牙質を作る材料になります。歯ぐきも丈夫にします。
③リン
[リンを多く含む食べ物]
お米、お肉(豚・牛)、海苔・わかめなどの海藻類、卵など
歯のエナメル質&象牙質の石灰化をうながし、歯を硬く、強くします。
④ビタミンA
[ビタミンAを多く含む食べ物]
豚肉、レバー、海苔・わかめなどの海藻類、かぼちゃ、うなぎ、ほうれん草など
歯のエナメル質を強くします。
⑤ビタミンC
[ビタミンCを多く含む食べ物]
ブロッコリー・小松菜・ほうれん草などの野菜、みかん・レモンなどのかんきつ類、いちご、キウイフルーツ、さつまいも、じゃがいも、焼き海苔など
歯の象牙質を作ります。
⑥ビタミンD
[ビタミンDを多く含む食べ物]
卵黄、牛乳・バター、干ししいたけ、しめじ、鮭、サンマなど
カルシウムの吸収をうながし、歯の再石灰化作用(脱灰で溶けた歯を修復する作用)を整えます。
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歯質を強化する飲食物については、こちらのブログで詳しくご紹介しています。併せてご参照ください。
2.歯の清掃性をうながす物
・キャベツ、レタス、セロリ、ニンジン、ごぼうなど繊維質の野菜類・根菜類
・炒り大豆(※)
・梅干し
(※)煮たり、ゆでてやわらかくした大豆は歯の噛み合わせ面
の溝に詰まりやすく、歯の清掃性は高くありません。
上記のような、繊維質の野菜類・根菜類、炒り大豆は食物繊維を多く含みます。また、食べ物自体に硬さがあるため、噛むことで唾液が分泌されると共に食べ物のかけらが歯の表面を綺麗にしてくれる効果もあり、歯の清掃性を高められます(※)。
(※)歯についた歯垢や食べカスなどの汚れを落とす
ためには、毎日の歯みがきと歯間清掃が必須です。
繊維質の野菜類・根菜類や炒り大豆に加え、梅干しも唾液の分泌をうながす食品です。唾液の自浄作用により、歯の清掃性を高める効果を期待できます。
【歯に悪い食べ物・歯に良い食べ物の知識を身につけ、歯の健康を守りましょう】
歯に悪い食べ物、歯に良い食べ物をご紹介させていただきました。
生活習慣・食習慣に加え、歯の健康はふだん摂取する飲食物に大きく左右されます。
歯に悪い食べ物・歯に良い食べ物の知識を身につけ、日頃の食生活では歯に悪い食べ物をできるだけ控えると共に、歯に良い食べ物を積極的に摂り、歯の健康を守りましょう。
– おしむら歯科の定期検診&歯の学校・食育教室のご案内 –
おしむら歯科ではお子さまのむし歯を予防し、お口の健康を守るために以下のさまざまな取り組みを行っています。
・定期検診(検診、歯のクリーニング、フッ素塗布、シーラント)
・歯科衛生士によるブラッシング指導(自分みがき、仕上げみがき、どちらもお教えします)
・歯の学校
・食育教室
歯の学校は6~12歳のお子さまがご参加対象です。お子さまがご自身で歯と身体の健康を守れるよう、おやつの内容や食べ方、歯のケア方法についてアドバイスいたします。
食育教室は0~3歳のお子さまをお持ちの保護者様がご参加対象です。管理栄養士がお子さまの生活習慣・食習慣に関係する食べ方や食事内容をアドバイスさせていただくほか、歯科衛生士がお子さまの歯のケア方法をアドバイスいたします。食育教室は保育士による託児付きです。小さなお子さまをお持ちの方も安心してご参加いただけます。
定期検診と合わせ、ぜひ、「歯の学校」「食育教室」にご参加ください。