おしむら歯科ブログ BLOG OSHIMURA

顔・首の表面に穴が開く「外歯瘻(がいしろう)」とは? 原因・放置するリスクを解説


「顔にできたおでき、なかなか、治らないなあ…」

「首すじにできたおできの穴から、臭いがする膿が出続けている… 何だろう?」


皆様には、上記のような「なかなか治らない、膿が出続ける顔・首のおでき」はありませんでしょうか?


上記のような症状が見られる場合、単なるおできではないかもしれません。


「なかなか治らない、膿が出続ける顔・首のおでき」は、「外歯瘻(がいしろう)」の可能性があります。


■外歯瘻とは? 主な原因


◎進行したむし歯・歯周病などが原因で、お口の中から顔・首まで通じた「膿のトンネル」です

外歯瘻(がいしろう)とは、主に進行したむし歯・歯周病が原因で起こる、化膿性(膿む)の炎症です。


[外歯瘻ができるまでの流れ]


  1. 放置したむし歯・歯周病の進行などが原因で、歯の根が炎症を起こします

  2. 歯の根の炎症が原因で、根の部分に膿が溜まります

  3. 根に溜まった膿は歯茎や顎の骨を壊死させ、壊死させた部分に膿のトンネル(瘻孔:ろうこう)を作ります

  4. 膿のトンネルはやがて、顔・首の表面まで達し、顔・首の皮膚に穴が空きます

お口の中(歯の根)から顔・首の表面の穴まで通じる膿のトンネル「外歯瘻」ができている状態)


顔・首の皮膚に穴が空く外歯瘻のほか、膿のトンネル(瘻孔)は歯茎・頬の内側の粘膜の外(お口の中)に通じる場合も。顔・首の皮膚に穴が空く外歯瘻に対し、歯の根からお口の中に膿のトンネルが通じた場合は「内歯瘻(ないしろう)」と呼びます。


■外歯瘻の症状


◎おできのような腫れ物ができた後、膿が出続けている場合は要注意

外歯瘻は、主に以下のような症状が見られます。


[外歯瘻の主な症状]


  • むし歯で歯が痛んだ後、歯の痛みがなくなり、いつの間にか、顔・首におできのような腫れ物ができていた

  • 歯周病を放置していたら、いつの間にか、顔・首におできのような腫れ物ができていた

  • 顔・首にできた穴(おできのような腫れ物にできた穴)から膿が出続けている

  • 洗顔・入浴・寝ているときなどに、顔・首の穴から膿が出ることがある

  • 顔・首にできた穴が凹んでいる(おできに穴が空き、陥没している)


■外歯瘻を放置すると、どうなる? リスクは?


◎顔・首などの見た目が変わったり、顔・顎の骨の骨折、感染症などをひき起こすリスクも

外歯瘻は膿が出続けた後、一旦、痛みなどの自覚症状が落ち着いて、慢性化した状態になるケースもあります。


一旦、痛みなどの症状がなくなることもあるため、外歯瘻は放置してしまうことも少なくありません。

外歯瘻を放置すると、以下のように、様々なリスクが生じる可能性があります。


[外歯瘻の放置によって生じることがあるリスク]


  • 進行したむし歯・歯周病によって生じた根の病巣が原因で、歯がグラグラになる

  • 膿のトンネル(瘻孔)が原因で、トンネルの周辺が凹み(陥没)、顔・首などの見た目が変わる

  • 膿のトンネルが原因で、顔・顎の骨が折れることがある

  • 膿のトンネルが目・鼻などの器官に感染症を起こすことがある(鼻の穴(鼻腔)に膿のトンネルが通じてしまうケースも)

  • 膿のトンネルが原因で、細菌が血液に乗って全身を駆け巡り、全身の感染症を起こすことがある


【顔・首の穴から膿が出続けるなど、気になる症状があるときはご相談ください】


今回は、進行したむし歯・歯周病などが原因でできる膿のトンネル「外歯瘻」のお話をさせていただきました。


来月のブログでは、「歯科で行う外歯瘻の治療&外歯瘻の予防の仕方」について、ご説明します。


顔・首の穴から臭い膿が出続けるなど、気になる症状があるときは当院までご相談ください。

おしむら歯科こども矯正歯科クリニック
歯科医師
押村 侑希

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