おしむら歯科ブログ BLOG OSHIMURA

正しい歯磨き・間違った歯磨きの仕方



「歯磨きしているのにすぐむし歯になる…」

「最近、歯ぐきが下がってきた…」

「ゴシゴシ磨かないと歯を磨いた気がしない」


毎日、きちんと歯磨きをしているのにすぐにむし歯になってしまう、そのような方は歯磨きの方法が間違っているかもしれません。


自己流の歯磨きの場合、ご自身では磨けているつもりでも意外と磨き残しがでてしまいがちです。


むし歯や歯周病を効果的に予防するためには毎日の歯磨きを正しい方法で行うことが大切です。今回は「正しい歯磨き・間違った歯磨きの仕方」についてご紹介します。


■まずは歯垢や汚れが溜まりやすい箇所を把握しましょう


正しい歯磨きの仕方を知る前に、まずは、歯のどの箇所に歯垢や食べカスなどの汚れが溜まりやすいかを確認しましょう。


[歯垢や汚れが溜まりやすい箇所]


・歯と歯のあいだ

・歯の噛み合わせ面の溝

・歯と歯ぐきの境目

・でこぼこした歯並び

・生えかけの乳歯や生え変わったばかりの永久歯(1~12歳ごろまで)


■正しい歯磨きの仕方


◎「軽い力で」「小刻みに歯ブラシを動かす」のがポイント

歯磨きの仕方はさまざまです。これが絶対に正しい、という方法はありません。今回は歯や歯ぐきを傷つけにくく効率的に歯垢や汚れを落とせる歯磨きの仕方についてご紹介します。


[正しい歯磨きのポイント]


①軽い力でペンを持つように歯ブラシを持つ

②小刻みに歯ブラシを動かす

③1~2本の歯に対し、歯ブラシを10~20往復させる

④同じ歯の面をぐるりと磨くようにする


①軽い力でペンを持つように歯ブラシを持つ


歯磨きをするときは力を入れすぎず、軽い力でペンを持つように歯ブラシを持ちましょう。軽く持つためには、人差し指・中指・親指の3本の指で軽く歯ブラシを持つのがポイントです(ご自身が軽く持てる持ち方であれば、3本の指で持つことにこだわらなくてもかまいません)。


②小刻みに歯ブラシを動かす


小刻みに歯ブラシを動かすことで歯と歯のあいだや歯周ポケット内部の歯垢・汚れを落としやすくなります。


③1~2本の歯に対し、歯ブラシを10~20往復させる


1~2本の歯に対し、歯ブラシを10~20往復させることで効率的に歯垢・汚れを落としやすくなります。


④同じ歯の面をぐるりと磨くようにする


歯磨きをするときは表なら表、裏なら裏、噛み合わせなら噛み合わせ、と同じ歯の面をぐるりと一筆書きのように磨くと磨き残しや磨き忘れがでにくくなります。


◎「直角当て」と「斜め当て」を使い分けましょう

・「直角当て」で歯の面を磨く


歯の面(表、裏、噛み合わせの3つの面)を磨くときは歯ブラシの毛先を歯の面に対して直角に当て、軽い力で歯ブラシを小刻みに動かして歯垢・汚れを落としましょう。


毛先が大きく折れ曲がるような強い力で磨くのは歯垢・汚れが落ちないばかりか、歯のエナメル質も傷つけやすくなるため、NGです。


・「斜め当て」で歯周ポケットの内部の汚れをかき出す


歯と歯ぐきの境目の歯周ポケットを磨くときは歯ブラシの毛先を歯周ポケットに対して斜め45度の角度で当て、歯周ポケット内部の歯垢・汚れをかき出すようにしましょう。


歯周ポケット内部のブラッシングをする際はゴシゴシ、シャカシャカと音が鳴るような磨き方はNGです。1~2本の歯に対して小刻みに歯ブラシのヘッドを動かすことで毛先が歯周ポケットの中に入り込み、歯垢・汚れをかき出しやすくなります。


◎歯垢や汚れが溜まりやすい箇所、磨きにくい箇所のお掃除の仕方

・歯と歯のあいだ


歯と歯のあいだはデンタルフロスや歯間ブラシを使うことで歯垢・汚れを落としやすくなります。


・歯の噛み合わせ面の溝


歯の噛み合わせ面の溝はワンタフトブラシを使うと歯垢・汚れを落としやすくなります(※)。特に磨きにくい奥歯の噛み合わせ面の溝をブラッシングするには、ヘッドがコンパクトで毛先が極細タイプの歯ブラシがおすすめです(※)。


(※)歯の噛み合わせ面の溝は幅が狭いため、
歯ブラシによる歯垢・汚れの除去には限界があります。
歯の噛み合わせ面の溝のむし歯予防は歯科医院で行う
歯のクリーニングやシーラント・フッ素塗布が効果的です。
(シーラント・フッ素塗布はお子さまのみになります)


・歯と歯ぐきの境目


歯と歯ぐきの境目の歯周ポケットは、毛先が極細の歯周病用歯ブラシを使うと歯周ポケット内部の歯垢・汚れをかき出しやすくなります。


・でこぼこした歯並び


歯並びがでこぼこしている場合は1本1本の歯に対して歯ブラシを縦に当て、上下・前後に小刻みに動かすと歯垢・汚れが落としやすくなります。


・生えかけの乳歯や生え変わったばかりの永久歯


生えかけの乳歯や生え変わったばかりの永久歯は背が低いため、周りの歯に合わせたブラッシングでは背が低い歯の噛み合わせ面に歯ブラシの毛先が届きません。背が低い歯の噛み合わせ面を磨くときには歯列の斜めから歯ブラシのヘッドを挿し入れ、小刻みに歯ブラシを動かして1本ずつ磨きましょう。


◎歯と歯のあいだはデンタルフロスや歯間ブラシを使ってお掃除

磨きにくい歯と歯のあいだはデンタルフロスや歯間ブラシを使ってお掃除しましょう。歯と歯のすき間が狭い方は無理に歯間ブラシを使わず、デンタルフロスで歯と歯のあいだの歯垢・汚れを落としてください。


<デンタルフロスの使い方>


①デンタルフロスを40~50cm程度に切り、フロスの端を両手の中指に2、3周させて巻きます。中指に巻いたフロスは人差し指と親指でつまむように持ってください(フロスは中指に巻くとスムーズに動かしやすいですが、ご自身がやりやすい指でかまいません)。

②フロスを歯と歯のあいだに挿し入れます。このとき「バチン」と音がするほど強く糸を挿し入れると歯ぐきを傷つけてしまうことがあります。フロスを挿し入れるときは左右(前歯の場合は前後)に糸を動かしながら静かに歯と歯のあいだに入れてください。

③挿し入れたフロスを歯のカーブに沿って巻き付けるようにして左右(前後)に動かしながら、歯の下から上へとひきあげます。この動きを歯の隣接面の両サイドに行ってください。

④次の歯にフロスを挿し入れるときは使った部分をずらし、新しい糸の部分を使います。②~③を繰り返し、すべての歯と歯のあいだの歯垢・汚れを落としてください。


<歯間ブラシの使い方>


歯間ブラシは歯と歯のあいだの根元部分のすき間の歯垢・汚れを落とすのに適しています。


歯間ブラシが歯と歯のあいだに入らない方は無理に使わず、デンタルフロスで歯間清掃を行ってください。


①歯と歯のあいだの根元部分に歯間ブラシを入れ、歯に対して直角に歯間ブラシを動かして歯垢・汚れを落とします。斜めに歯間ブラシを入れて動かすと歯垢・汚れが落としにくくなったり歯ぐきを傷つけるおそれがあるため、歯間ブラシを使うときは歯に対して直角にブラシを動かしましょう。


◎歯ブラシの毛の硬さは「ふつう」か「やわらかめ」を選びましょう

「かたい」毛質の歯ブラシは歯のエナメル質を傷つけやすいです。歯ブラシは「ふつう」か「やわらかめ」の物を選ぶようにしましょう。


◎歯ブラシの毛先が開いてきたら、新しい物に交換しましょう

毛先が開いた歯ブラシは歯垢・汚れを落としにくくなります。歯ブラシの毛先が開いてきたら新しい物に交換しましょう。


◎歯磨き粉は使わなくてもOK 使う場合は1cm程度で

ブラッシングの際、歯磨き粉は使わなくても歯の歯垢・汚れは落とせます。歯磨き粉を使いたい場合は1cm程度、ちょこっとだけ歯ブラシの毛先に乗せて使うようにしましょう。


歯磨き粉が多すぎると泡立ちすぎてどこを磨いているのかわからなくなったり、清涼感により「磨けた」と勘違いして磨き残しがでやすくなってしまうため、よくありません。


■間違った歯磨きの仕方


◎間違った歯磨き、していませんか?

間違った歯磨きは磨き残しがでやすく、歯や歯ぐきを傷つけてしまう原因になります。


自己流で歯磨きをしている方や、「忙しいから」「面倒くさいから」という理由でパッと短時間(2分以下)で歯磨きを済ませている方は間違った歯磨きになりやすいため、要注意です。


[間違った歯磨きの仕方]


・強い力でゴシゴシを歯を磨く(エナメル質を傷つける原因になります)

・「かたい」歯ブラシを使ってゴシゴシ歯を磨く(エナメル質を傷つける原因になります)

・歯ではなく歯ぐきをゴシゴシ磨いている(歯ぐきが下がる原因になります)

・磨く箇所があちこち飛んでいる(磨き残しや磨き忘れがでる原因になります)

・毛先が開いた歯ブラシを使っている(歯ブラシの清掃効果が落ちます)

・歯磨き粉をつけすぎている(磨き残しや磨き忘れがでる原因になります)


■歯磨きをするベストの時間・タイミングは?


◎最低でも「3分間」はかけましょう

歯磨きは1回につき、最低でも3分間はかけましょう。歯は28本(親知らずを含めると32本)あり、すべての歯をしっかり磨くためには3分は必要です。


ただし、時間の長さ=しっかり磨けている、ではありません。自己流や間違った歯磨きの場合、30分かけても磨き残しがでることがあります。


ブラッシングが上手で歯の汚れをきちんと落とせているのであれば、3分以上でなくてもOKです。


◎食後30分以内に歯磨きをするのが望ましいです

歯磨きをするベストタイミングは「食後30分以内」です。食後30分以内であれば、むし歯菌などの細菌の活動が活発化する前に歯の表面についた歯垢や汚れを落とすことができ、むし歯・歯周病の予防効果を高められます。


なお、酢やかんきつ類、炭酸飲料を摂取した場合は、酸性の飲食物により歯の脱灰(※)が進んでいるため、食後30分~1時間程度空けてから歯磨きをしてください。酸性の飲食物を摂取した直後に歯磨きをしてしまうと歯の表面のエナメル質が削られるおそれがあります。


(※)飲食物に含まれる酸やむし歯菌などの細菌が出す酸に
よって歯のエナメル質が溶ける現象。


◎いちばん大切なのは「寝る前の歯磨き」

むし歯や歯周病がもっとも進行しやすい時間帯は就寝中です。就寝中は唾液の分泌が減少するためお口の中が乾き、唾液による自浄作用が減ります。唾液による自浄作用が減ることでむし歯菌や歯周病菌などの細菌が活発化してしまい、むし歯・歯周病が進行しやすくなります。


忙しい、時間がないなどの理由で食後、どうしても歯を磨けないときには、最低でも寝る前の歯磨きだけはしっかり行うようにしてください。


【正しいブラッシングで効率的にむし歯・歯周病を予防しましょう】


歯磨きは「歯の表面についた歯垢や汚れを落とす」のが目的です。時間をどれだけかけていても、毎食後歯磨きをしていても、間違った磨き方では歯の歯垢や汚れをしっかりと落とせません。


間違った磨き方をやめ、正しい歯磨きの仕方を身につけることで歯垢や汚れを効率的に落とせるようになり、むし歯・歯周病の予防効果を高められます。


おしむら歯科では歯科衛生士による歯磨き指導を行っています。歯磨き指導をご希望の方は歯科医師、スタッフまでお気軽にお申し出ください。


おしむら歯科こども矯正歯科クリニック
院長
押村 侑希

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