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歯を失う原因とは?


こんにちは。おしむら歯科 院長の押村侑希です。
今回は「歯を失う原因」と「予防の大切さ」についてお話しします。


■歯を失う原因


歯を失う原因の第1位は歯周病です。2位はむし歯、3位は歯根破折となります。

[歯を失う原因 TOP3(※)]

第1位・・・歯周病(約4割)
第2位・・・むし歯(約3割)
第3位・・・歯根破折(約2割)


(※)「第2回 永久歯の抜歯原因調査」
公益財団法人 8020推進財団 (2018年)より引用。


◎第1位・・・歯周病

歯周病は日本人の8割以上の方がかかっているとされるお口の病気です。歯を失ったケースでは、全体のうち約4割の方が歯周病が原因で歯を失くしています。

歯周病になると歯ぐきが腫れたり、歯を支えているあごの骨(歯槽骨)が溶けていきます。歯周病は40代・50代以上の中高年世代の方に多く見られます。

歯周病の怖いところは、

・自覚症状がほとんどない(痛みを感じにくい)

点です。

歯周病はかなり重度になるまで症状に気づきにくく、気づいたときには歯槽骨の大部分が溶けて歯がグラグラ、抜け落ちる寸前の状態に…というケースも珍しくありません。


◎第2位・・・むし歯

むし歯は歯を失う原因の第2位です。約3割の方がむし歯が原因で歯を失っています。

むし歯は歯周病と異なり、中程度以上(象牙質のむし歯(C2))になると歯がしみたり痛みを感じ始めるため、比較的症状に気づきやすいです。

歯周病と比べて症状に気づきやすいむし歯ですが、自覚症状があっても「歯医者に行きたくない」「まだ大丈夫」などの理由で放置されるケースが多いです。放置した結果、歯の神経や根管にまでむし歯が進行してしまい(C3、C4)、治療が施せなくなり抜歯となるケースが少なくありません。


◎第3位・・・歯根破折

歯根破折とは、歯を支えている根っこ(歯根)が折れたりひびが入ってしまうことを指します。歯根破折は歯を失う原因の第3位で、約2割の方が歯根破折が原因で歯を失っています。

歯根破折は割れ方によっては、接着剤を用いて割れた歯根を接着することで歯を温存できるケースもありますが、多くの場合、歯根破折が起きたときには歯を残すのはむずかしく、ほとんどのケースで抜歯となります。


■歯を失うリスクが高い状態の歯について


以下のような状態の歯は歯を失うリスクが高いため、注意が必要です。以下の状態に当てはまるときにはなるべく早く歯科医院で治療を受けるようにしてください。

[歯を失うリスクが高い状態の歯]

①歯周ポケットの深さが7mm以上ある歯
②放置して痛みを感じなくなったむし歯
③神経を抜く治療をしてから10年以上経っている歯


①歯周ポケットの深さが7mm以上ある歯

歯周ポケットとは歯と歯ぐきの境目にある溝です。歯周病になると歯周ポケットの溝が開き、深くなっていきます。

歯周ポケットの深さが7mm以上ある場合は、歯周病がかなり重度にまで進行している可能性が高いです。重度の歯周病を放置すると歯を支える歯槽骨が大きく溶けてしまい、自然に歯が抜け落ちてしまうことがあります。

歯周ポケットの深さは歯科医院で行う検診で調べられます。ご自身の歯や歯周ポケットの状態が知りたい方は、歯科医院でチェックしてもらうことをおすすめします。


②放置して痛みを感じなくなったむし歯

通常、むし歯になると歯にしみや痛みを感じますが、治療をせず放置し続けているとやがてピタッと痛みを感じなくなります。痛みを感じなくなることで「むし歯が治った」と勘違いされる方がいるのですが、痛みを感じないのはむし歯が治ったからではありません。

むし歯で痛みを感じなくなるのはむし歯菌や細菌によって歯の神経がおかされ、神経が死んでしまったためです。

痛みを感じなくなるまで放置したむし歯は歯の神経が死んでおり、歯ぐきから上の歯冠がぼろぼろにくずれ落ちているため歯を残すのはむずかしく、ほとんどのケースで抜歯となります。

神経が死んでしまったむし歯を放置すると、むし歯菌などの細菌が歯の根の先に炎症を起こして化膿し強く痛んだり、細菌によってあごの骨が溶かされて顔の形が変わることもあります。

放置したむし歯は歯やあごへの悪影響だけにとどまりません。むし歯を放置し続けることであごの骨の中を通る血管の内部に細菌が入り込み、体中を細菌がかけめぐって脳出血を起こす可能性があることが研究結果によって報告されています(※)。


(※)「う蝕原因菌と脳出血の関連」
国立循環器病研究センター(2016年)より引用。


③神経を抜く治療をしてから10年以上経っている歯

歯根破折は事故や転倒など外部からの瞬間的な強い衝撃によって起きる可能性があるほか、神経を抜いて弱った歯にも破折が起こりやすいです。神経を抜くと歯の組織に栄養が送られなくなるため、歯がもろくなり割れやすくなってしまいます。

特に歯根破折が起こりやすいのは40代・50代以上の中高年世代の方です。子どもの頃や若い頃に神経を抜いてむし歯の治療をした歯は年を経るごとに少しずつダメージが蓄積されていきます。そして、ダメージが蓄積された歯が40代・50代以上になって噛み合わせの力に耐えきれなくなり、歯根が折れてしまうケースが多いです。

歯の神経を抜く治療後、10年以上経過した歯は加齢や噛む力により歯根破折が起きやすくなります。

なお、10年以上という期間は目安であり、10年経たなければ歯根破折は起きないことを意味するものではありません。歯の神経を抜く治療をしてから10年以下でも歯根破折が起きるケースもあります。


【毎日のセルフケアと定期検診で歯周病・むし歯を予防しましょう】


歯周病やむし歯を防ぐためには、まずは毎日の歯磨きをしっかり行うことが大切です。歯磨きに加え、歯科医院で定期検診を受けることで歯や歯周組織の異変をいち早く察知でき、早期治療が可能になります。

定期検診では歯科医師が歯やお口の状態をチェックするほか、専用の器具を使い、歯磨きだけでは落とし切れない歯の汚れ・歯石を徹底的に落とします。クリーニングで歯の汚れ・歯石を落とすことで歯や歯周ポケットを清潔に保ちやすくなり、歯周病・むし歯予防の効果を高められます。

健康な歯を守るためにも、毎日のセルフケア+歯科医院で受ける定期検診(プロケア)で歯周病・むし歯を予防しましょう。


おしむら歯科こども矯正歯科クリニック
院長
押村 侑希

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