おしむら歯科ブログ BLOG OSHIMURA

むし歯が進行したときの治療



「歯が痛い!でも、どんな治療をするのか不安…」

「歯の神経の治療って何をするの?」


こんにちは。おしむら歯科 院長の押村侑希です。


進行してしまったむし歯の治療、どのようなことをするのか、不安ですよね。

むし歯が進行した場合は、症状に合わせて治療を行います。


今回は「むし歯が進行したときの治療」についてご説明します。


■むし歯の進行の仕方


むし歯は以下のように進行します。


CO(シーオー)

初期むし歯。エナメル質がわずかに溶けた状態です(脱灰)。歯は削らず毎日の歯磨きやフッ素塗布で様子を見ます。


C1

初期むし歯。脱灰が進んでエナメル質に穴が開いた状態です。症状が軽ければ歯を削らずに済みます。むし歯の穴が深めのときには白いペーストを詰めて治療します。


C2

象牙質に達したむし歯です。むし歯を削って取り除き、金属やセラミックの詰め物をします。


C3

歯の神経(歯髄:しずい)に達したむし歯です。歯の神経を抜き、根管治療を行います。


C4

歯冠(しかん)(歯ぐきから上の歯の部分)がくずれ落ちてぼろぼろになったむし歯です。歯の根っこを残せる場合は根管治療をして差し歯にします。歯の根っこを残せないケースでは抜歯を行い、歯を補う治療を進めていきます(インプラント・ブリッジ・入れ歯など)。


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今回はC3で行う根管治療、および、C2で行う歯髄保存療法(VPT)の治療内容をご説明します。


■C3の治療内容


C3でむし歯が歯の神経に達して歯髄が炎症を起こしてしまった場合は(歯髄炎)、歯の神経を抜いて根管治療を行います。


歯髄炎がさらに進んで根の先が病気になる根尖性歯周炎でも根管治療(感染根管治療)を行います。


{根管治療と感染根管治療の違い}


細菌に感染しているものの歯髄がまだ生きている状態の歯髄炎の根管治療と比べ、根尖性歯周炎は歯髄が死んで根管内部が壊疽している状態のため、治療回数が増えます。根尖性歯周炎で行う根管治療を感染根管治療と呼びます。


一般的に「歯の神経の治療」「歯の根っこのお掃除」と呼ばれるものは、根管治療または感染根管治療を指します。


◎根管治療とは

根管治療とは歯の神経である歯髄を除去し、歯の根っこに通う根管の内部をきれいにお掃除する治療法です。歯髄を除去することを「抜髄(ばつずい)」と呼びます。


歯髄がむし歯菌に感染して回復が不可能な場合は抜髄および根管治療を行い、クラウンをかぶせて歯の穴を補います。歯の強度が不足しそうな場合には穴の中にコアを入れて補強することがあります。


◎根管治療で重要な「マイクロスコープ」

歯の根管の直径は1mm程度と小さく、肉眼では根管内部の様子は確認できません。根管治療を精密に行うためには、視野を拡大する機器が必要です。


おしむら歯科では、歯科医師の視野を最大で20倍程度に拡大するマイクロスコープを用いて根管治療を行います。


マイクロスコープで根管内部を確認することで精密な処置につながり、根管治療の成功率を高められます。


■C2の治療内容(歯髄を残す治療法)


おしむら歯科では、歯の神経をできるだけ残す「歯髄保存療法(VPT)」を行っています。C2のむし歯で以下の場合には歯髄保存療法を行うことで歯の神経を残せるケースがあります。


・歯の神経の近くにまでむし歯が迫っているものの、神経には達していない場合

・歯の神経の一部にむし歯が達している場合


◎歯髄保存療法(VPT)とは

歯髄保存療法(VPT:Vital Pulp Therapy)とは、MTAセメントという殺菌作用&封鎖性の高いセメントを使って歯の神経である歯髄を残す治療法です。


[歯の神経を残すメリット]


・歯の組織に栄養を送り続けられ、歯質がもろくなるのを防げる(歯が死ぬのを防げる)

・歯髄を残すことで噛む感触や温度に対する歯の敏感さを保存できる(歯の感覚の保存)

・〔生えたばかりの永久歯の歯根部分の歯髄を残す場合〕歯根の歯髄を残すことで歯根の成長を期待できる&歯の寿命の延伸につながる


[歯髄保存療法のデメリット]


・すべてのむし歯に歯髄保存療法を適用できる訳ではない(歯髄への侵襲が少ないむし歯のみ治療を適用可能)

・歯髄保存療法がかならずしも歯の神経を残せるとは限らない(治療の結果、神経を残せず抜髄になることがある)

・保険が利かない自由診療のため、費用が大きくなる


◎歯髄保存療法の種類

歯髄保存療法は以下の5種類があります。症状に合わせて各種のVPTを適用し、治療を進めていきます。


[歯髄保存療法(VPT)の種類]


①間接覆髄法


・迫ってはいるものの、むし歯が歯髄に達していない場合の治療法


②暫間的間接覆髄法


・かなりギリギリまで迫っているものの、むし歯が歯髄には達していない場合の治療法


③直接覆髄法


・むし歯が歯髄に達しているものの、歯髄に細菌感染が起きていない場合の治療法


④部分断髄法


・むし歯が歯髄に達しており、歯髄に細菌感染が起きている場合の治療法


部分断髄法では細菌に感染した部分の歯髄を切断・除去し、切断箇所以外の歯髄を残します。


⑤断髄法(歯頚部断髄)


・むし歯が歯冠部分の歯髄に広範囲におよんでおり、歯冠部分の歯髄に細菌感染が起きている場合の治療法


断髄法では歯頚部(歯冠と歯根の境目のくびれ)から上の歯冠部の歯髄を切断・除去し、歯根部分の歯髄を残します。


【根管治療、歯の神経を残す治療をご希望の方はご相談ください】


おしむら歯科ではマイクロスコープを用いた根管治療、および、歯髄を残すための歯髄保存療法を行っています。


根管治療は保険適用が可能です。歯髄保存療法は自費となります。


むし歯は早期発見・早期治療が重要です。歯に痛みや異変を感じたときはガマンせず、できるだけ早めに歯科医院で診察を受けるようにしましょう。


ズキズキと歯が痛い、歯に大きな穴が開いている、など、重度のむし歯が疑われる場合には当院までご相談ください。


おしむら歯科こども矯正歯科クリニック
院長
押村 侑希

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