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「大人乳歯」って何?乳歯が抜けずに残ってしまった場合は、どうすればイイの?


こんにちは。おしむら歯科 院長の押村侑希です。


突然ですが、皆さまは、「大人乳歯(おとなにゅうし)」という言葉をご存知でしょうか?


大人乳歯、と聞いて、初耳の方は「大人乳歯?何それ?」「大人なのに乳歯が生えているの?」と思われるかもしれません。


大人乳歯とは、乳歯が抜けず、生え変わりの時期を過ぎて大人になっても、そのまま乳歯が残ってしまった状態を指します。


大人乳歯を放置していると、噛む力が低下したり、むし歯になりやすい、歯並びが乱れやすくなる、など、お口の機能に悪影響をおよぼすことも。


今回は、気をつけたい「大人乳歯」のお話です。


■なぜ、大人乳歯になることがあるの?(大人乳歯になる原因)


◎様々な原因により、大人乳歯になることがあります

乳歯が抜けず、生え変わりの時期を過ぎても乳歯が残ってしまう、大人乳歯。


大人乳歯の原因は、様々です、以下のような原因により、乳歯が抜けず、大人乳歯になることがあります。


原因①乳歯の歯根が溶けず、自然に乳歯が抜けてくれない

個人差はありますが、通常、乳歯は6歳ごろから抜け始め、12歳ごろにかけて永久歯へと生え変わっていきます。


人間の身体のメカニズムにより、乳歯が抜けるときは、成長にともない、歯根が吸収して短くなることで、自然に乳歯が抜けるのを助けてくれるのです。


通常は、生え変わりの時期には乳歯の歯根が吸収して短くなり、乳歯が抜けやすくなります。通常は歯根が短くなるのですが、何らかの原因で乳歯の歯根が短くならず、乳歯が抜けずに残ってしまう場合も。


乳歯の歯根が吸収しない原因については、現時点では、はっきりとはわかっていません。


原因②永久歯の欠如歯(先天性欠如歯:生まれつき、永久歯の歯胚がない)

生まれつき、永久歯の歯胚(しはい:歯の素になる芽)が存在しない場合、生え変わりの時期になっても永久歯が生えてこず、乳歯が残って大人乳歯になることがあります。


乳歯・永久歯の歯胚が生まれつき存在せず、歯が生えてこない現象を「先天性欠如歯」と呼びます。お子さんの先天性欠如歯については、ブログにてご説明しています。併せてご参照ください。


原因③乳歯が歯ぐきの中に沈み、自然に乳歯が抜けてくれない

通常、生え変わりの時期は乳歯の歯根が短くなり、自然に乳歯が抜けやすくなります。乳歯の歯根が短くなることで、乳歯は舌側に向かって抜けやすくなるのですが、何らかの原因により、舌側ではなく、乳歯が歯ぐきの中に沈んでしまうケースも。


乳歯の歯根は吸収して短くなったとしても、乳歯が歯ぐきの中に沈んでしまうと、乳歯が抜けずに残って大人乳歯になることがあります。


乳歯が歯ぐきの中に沈む原因については、現時点では、はっきりとはわかっていません。


原因④癒合歯(ゆごうし)(2本の歯がくっついている状態)

癒合歯とは、2本の歯がくっついている状態の歯です。隣合っている2本の乳歯が癒合歯になってくっついてしまった場合、癒合歯の2本の乳歯が抜けずに残って大人乳歯になることがあります。


癒合歯でも、2本の乳歯が共に歯根が短くなってくれれば、2本とも抜けるケースも。しかし、くっついている2本の乳歯のうち、1本しか歯根が短くならなかった場合、もう1本が抜けず、結果として2本の乳歯が癒合歯のまま、残りやすくなります。


個人差はありますが、癒合歯は下の前歯の乳歯に起きやすいです。癒合歯が起きる原因は、現時点では、はっきりとはわかっていません。


■大人乳歯を放置すると、どんなデメリットがあるの?


◎大人乳歯を放置すると、お口の機能に支障が起きやすくなります

上記のような原因により、乳歯が抜けずに残ってしまう、大人乳歯。


患者様によっては、「乳歯が残っていても、別に、問題が起きなければイイんじゃない?」と思われるかもしれません。


問題が起きなければ良いのですが、大人乳歯を放置すると、お口の機能に支障が起きやすくなります。


乳歯は歯質が未成熟でやわらかく、歯が小さいです。


歯質が未成熟でやわらかく、歯が小さい乳歯が抜けずに残り、大人乳歯になると、以下のようなデメリットが起きやすくなります。


デメリット①噛む力が不足しやすい

永久歯と比べて、乳歯は歯が小さいです。大人乳歯になると、周りの永久歯と比べて大人乳歯の部分の歯が小さいため、食べ物をしっかり噛みにくくなることがあります。


デメリット②むし歯にかかりやすい

エナメル質が厚く硬い永久歯と比べて、乳歯は歯質が未成熟でやわらかく、エナメル質が薄いです。


歯質が未成熟でやわらかいため、周りの永久歯と比べて、大人乳歯はむし歯にかかりやすくなります。


デメリット③歯並び・噛み合わせが乱れやすい

乳歯は歯が小さいです。大人乳歯になると、周りの永久歯と比べて歯の高さや歯の横幅が合わず、歯並びが乱れやすくなります。


大人乳歯が原因で歯並びが乱れると、噛み合わせも乱れやすいです。


【お子さんの乳歯が抜けず、残っている場合は当院までご相談ください】


大人乳歯は、珍しい現象ではありません。ご自身に大人乳歯がある、または、お友達やお知り合いで乳歯が残っているのを見たことがある方も多いのではないでしょうか。


珍しくない、大人乳歯。大人乳歯をそのまま、放置しているケースも多く見られます。


今回ご説明をさせていただいたように、大人乳歯はお口の機能に悪影響をおよぼしやすいです。


お口の機能に悪影響をおよぼさないためにも、乳歯が抜けず、大人乳歯になっている方は、歯科医院で診察を受け、適切な処置・治療を受けることをおすすめします。


お子さんの乳歯が抜けず、残っている場合は当院までご相談ください。


今回は、大人乳歯の原因・デメリットをご説明させていただきました。


次回のブログでは、気になる大人乳歯の処置・治療方法について、ご紹介します。


おしむら歯科こども矯正歯科クリニック
歯科医師
押村 侑希

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