
むし歯、歯周病。
両者は異なる疾患です。
異なる疾患ですが、実は、歯周病が原因で大人の方がむし歯になることも。
今回は、歯周病などが原因でできることがある歯の根面(歯根面)のむし歯「根面むし歯」について、ご説明します。
目次
■根面むし歯とは? 歯の根面(歯根面)になぜ、むし歯ができるの? 原因・対処方法
◎歯周病の進行による歯茎下がり、強すぎる力での歯磨きによる歯茎下がりなどが原因で歯の根面が露出し、根面むし歯ができることがあります
根面(こんめん)むし歯とは、歯の根っこである歯根面にできるむし歯です(根面う蝕)。
以下のような因子がある場合、歯茎が下がって歯の根面が露出し、根面むし歯ができることがあります。
1.歯周病の進行による歯茎下がり
根面むし歯の原因としてよく見られるのが、歯周病の進行による歯茎下がりです。
特に、40歳~50歳以上の中高年の方に、歯周病の進行+歯茎下がりによる根面むし歯が多く見られます。
≪対処方法≫
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毎日のセルフケア(歯磨き+歯間清掃)&歯科医院での定期検診を継続する
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(歯周病にかかっている場合)歯周組織の状態に応じて、歯科医院で適切な歯周病治療を受ける
2.強すぎる力での歯磨きによる歯茎下がり
ゴシゴシとブラッシングするなど、強すぎる力での歯磨きによって歯茎が下がり、根面むし歯ができることがあります。
≪対処方法≫
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軽い力で歯を磨く(ペンを持つように軽い力で歯ブラシを持つと、力の入れすぎを防ぎやすくなります)
3.加齢
「あれ?何だか、歯茎が下がってきた気がする…」
根面むし歯の原因としては、加齢も。
加齢によって歯茎の組織の水分量が減少する+歯茎の弾力が失われ(歯茎がやせる)、歯茎が下がって根面むし歯になることがあります。
≪対処方法≫
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加齢に伴う自然現象のため、特に対処方法はありませんが、たんぱく質、ビタミン(B(B2など)C、Eなど)、ミネラル(亜鉛など)などの栄養素が含まれた食事を摂ることで、歯茎の健康を維持しやすくなります
4.歯ぎしり・食いしばり
歯ぎしり・食いしばりの癖がある方は、癖によってかかる過剰な負荷が原因で歯茎が下がりやすいです。
歯ぎしり・食いしばりの癖が原因で歯茎が下がると、根面むし歯になることがあります。
≪対処方法≫
歯ぎしりや食いしばりがある場合は、マウスピースの使用や咬み合わせの調整、矯正治療、筋トレ(MFT)など、原因に合わせたさまざまな方法で負荷を減らす治療を行います。ストレスが関係している場合は、専門科でのケアが役立つこともあります。
歯ぎしり・食いしばりの治療・ケアについてはこちら
5.精度が低い補綴物による噛み合わせの乱れ
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むし歯治療などで用いる詰め物・被せ物
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インプラントの人工歯
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ブリッジの人工歯
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入れ歯の義歯
など、補綴物の精度が低いと、不良補綴物(精度が低い補綴物)が原因で噛み合わせが乱れることがあります。
噛み合わせが乱れると、アンバランスで過剰な負荷がかかり、歯・歯周組織がダメージを受けて歯茎が下がってしまうケースがあるのです。
上記のような理由によって歯茎が下がると、歯の根面が露出し、根面むし歯になる場合も。
≪対処方法≫
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精度が高い補綴物に換える
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(必要な場合)咬合調整を受ける(咬合調整:歯の噛み合わせ面を削り、噛み合わせを正常な状態に近づける歯科治療)
{院内に歯科技工所を併設し、補綴物の精度を高めています}
おしむら歯科では、院内に歯科技工所を併設。
院内に併設した歯科技工所により、歯科医師と技工士が一貫性のある連携を取りながら、精度を高めた補綴物をご提供いたします。
6.歯並びの乱れ(不正咬合)による噛み合わせの乱れ
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出っ歯
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受け口
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ガタガタ歯
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開咬(かいこう:上下の前歯を閉じられない歯並びの乱れ)
など、歯並びが乱れている方は、噛み合わせも乱れていることが多いです。
噛み合わせが乱れていると、アンバランスで過剰な負荷がかかり、歯・歯周組織がダメージを受けて歯茎が下がりやすくなります。
上記のような理由によって歯茎が下がると、歯の根面が露出し、根面むし歯になる場合も。
≪対処方法≫
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歯科矯正を受ける(歯科矯正によって歯並び(≒噛み合わせ)を整えることで、歯・歯周組織にかかる負担を軽減できます)
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口腔外科・形成外科で外科的矯正(顎の骨切り手術など)を受ける(顎の骨格異常が原因で歯並びが乱れている場合は、外科的矯正が必要になることがあります)
【歯・歯周組織の異常が見られるときは早めに歯科医院で受診を】
今回は、歯周病の進行をはじめとして、様々な原因でできることがある「根面むし歯」のご説明をさせていただきました。
根面むし歯は歯の根っこにむし歯ができるため、通常のむし歯と比べて、治療の難易度が上がりやすいです。
[根面むし歯の治療の難易度が上がりやすい理由]
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歯の根の表面にあるセメント質はとても薄いため、ここにむし歯ができるとすぐに象牙が露出し、むし歯が進行しやすくなります。
根面むし歯では、「あれ、歯の根元が黒いな…」と思っていたのもつかの間、知らずしらずのうちにむし歯が進行。むし歯が重症化し、歯の神経を抜く処置(抜髄:ばつずい)が必要になるケースも少なくありません。
歯の神経を抜く処置が必要になる前に、また、むし歯で歯を失わないようにするためにも、
「歯の根元(歯と歯茎の境目のあたり)が茶色っぽい・黒っぽい」
「歯茎が下がってきた気がする」
など、歯・歯周組織の異常が見られるときは早めに歯科医院を受診しましょう。