こんにちは。
おしむら歯科・こども矯正歯科クリニック 前院長の押村 進です。
先日、日本病巣疾患研究会 第14回総会・学術集会に参加し、基調講演をさせていただきました。
今回は息子も一緒に参加しました。
親子で同じ学術集会に参加するというのも、考えてみればありがたいものです。

今回の講演では、私が長年診療の中で取り組んできた、掌蹠膿疱症と歯科との関わり、そして医科と歯科の連携についてお話ししました。
皮膚の病気なのに、歯科?
掌蹠膿疱症は、手のひらや足の裏などに膿疱が繰り返し現れる皮膚疾患です。
「皮膚の病気なのに、なぜ歯医者が関係するの?」
と思われる方も多いでしょう。
私自身、この問題に関心を持つようになったのは、もう30年以上前になります。
義父がかなりひどい掌蹠膿疱症になったことがきっかけでした。
当時は私も、皮膚疾患と歯科疾患との関係などほとんど考えていませんでした。
ところが、愛知学院大学歯学部口腔外科学第一講座の故・深谷昌彦教授に相談したところ、
「歯科的な病巣を治療すると改善することもある」
と教えていただいたのです。
そこから私の長い勉強が始まりました。
「歯科金属を外せばいい」ではありません
その後、皮膚科の先生方と患者さんを診ていく中で、私が特に大切だと考えるようになったことがあります。
それは、皮膚症状があるからといって、すぐに口の中の金属をすべて外せばよいわけではないということです。
金属アレルギーが関係する場合もあります。
一方で、歯の根の病巣や歯周疾患などの歯性病巣感染が関係していると考えられる場合もあります。
実際、私は金属アレルギーを疑って来院された患者さんの中で、歯科金属ではなく歯性病巣への治療後に皮膚症状の改善を認めた症例を経験し、報告してきました。
ですから、
「掌蹠膿疱症だから金属を外しましょう」
という単純な話にはしたくないのです。
患者さんの皮膚疾患を皮膚科できちんと診断していただく。
歯科では口の中を調べる。
必要であれば耳鼻咽喉科などにも診ていただく。
そして、それぞれが持っている情報を共有する。
これが大切だと私は考えています。
紹介状だけではない「医科歯科連携」を
今回の基調講演でも、私が特にお伝えしたかったのが医科歯科連携です。
「皮膚科から歯科へ紹介状を書く」
「歯科から皮膚科へ患者さんを紹介する」
もちろん、それも連携です。
しかし、私が長年この分野に関わってきて感じるのは、それだけでは十分ではないということです。
医師と歯科医師がお互いの領域を少しずつ理解し、顔を合わせて話をする。
そして、
「この患者さんにとって、何をすることが一番よいのか」
を一緒に考える。
治療方法だけでなく、治療にかかる時間や費用、患者さんの負担まで考えながら方針を決めていく。
私は、そんな連携が理想だと思っています。
以前、私は「木を見て森を見る医療」と書いたことがあります。
歯科医師は歯だけを見る。
皮膚科医は皮膚だけを見る。
そうではなく、患者さんという一人の人間を中心にして、必要な診療科が一緒になって考える。
今回の講演でも、その思いをお話ししました。
講演中の私です
息子と一緒に参加して
私の次に息子が講演しました
そして今回は、息子と一緒にこの学術集会に参加しました。
私がこの分野に関わり始めたころは、皮膚疾患と歯科との関係について、今ほど知られていませんでした。
そこから皮膚科の先生方にいろいろなことを教えていただき、患者さんを紹介し合い、症例を重ね、少しずつ医科と歯科のつながりを作ってきました。
そんなことを何十年も続けてきて、今度は息子と一緒にこの研究会に参加している。
そう考えると、なかなか感慨深いものがあります。
まだまだ私も現役ですので(笑)、これからも診療を続けながら、皮膚科、歯科、耳鼻咽喉科、内科など、それぞれの専門家がもっと自然につながるような医療を考えていきたいと思います。
そして何より、その真ん中にいるのはいつも患者さんである。
これは、これからも忘れずにいたいと思っています。