歯周病治療について
歯周病は自覚症状がなく
放置されやすい疾患です
歯周病の対策は、お口の機能を守るだけでなく全身の健康を維持するうえでも重要なポイントです。歯周病は自覚症状が乏しいまま進行しやすく、気づいた時には重症化していることも少なくありません。進行すると顎の骨がダメージを受け、最終的には歯が抜け落ちてしまうこともあります。
近年では、歯周病が糖尿病や心疾患などの全身疾患と関わりがあることも明らかになってきています。大切な歯、そして身体の健康を守るためにも、日々の丁寧なセルフケアに加え、定期的な検診と早期の受診を心がけましょう。
歯を失う原因の第一位が歯周病です
歯周病は、歯と歯ぐきの境目にたまった細菌(プラーク)によって引き起こされる、歯の周囲組織(歯肉や歯槽骨など)の感染症です。30〜40歳代の日本人の約8割が何らかの歯周病に罹患しているともいわれており、決して珍しい病気ではありません。
気になる症状があればできるだけ早めにご相談ください。
こんな場合はご相談ください
- 歯ぐきが腫れている・赤くなっている
- 歯ぐきから出血する
- 歯が長くなったように感じる
- 歯ぐきが下がったように感じる
- 口臭を家族に指摘された
- 歯がグラついている
- 歯と歯の間が広がってきた
- 口の中がネバつく
当院の歯周病治療の特徴
多職種連携によるチーム医療
当院では、歯科医師・歯科衛生士・管理栄養士・放射線技師が連携し、多職種によるチーム医療で歯周病治療に取り組んでいます。初診では歯科医師が診察を行い、治療方針を決定します。その後は担当の歯科衛生士が中心となり、口腔内写真の撮影や唾液検査、生活習慣の確認、歯みがき指導などを行い、治療の進捗を歯科医師に共有します。当院には放射線技師が在籍しており、歯科医師と連携しながら、専門的な視点を活かしたCT撮影・画像情報の確認を行っています。多職種が連携しながら口腔内の状態を精密に把握することで、より正確で安心いただける治療を行っております。
放射線技師が歯科医院にいる
メリット
専門知識を持つ放射線技師がレントゲン撮影・確認を行います。歯科衛生士が目視では見つけることができない歯石をレントゲン写真から探せるため、より精密な治療が可能となります。レントゲン画像情報を活用し、歯石や歯周病の進行、根の状態なども正確に把握します。歯科医師・歯科衛生士とのコミュニケーションも密に取り、患者様のお口の状態を全体で把握・管理しています。
歯の表面の汚れや着色を
エアフローでやさしく除去
当院では、歯周病治療の一環としてエアフローを導入し、歯の表面に付着した汚れや着色をやさしく除去しています。微細なパウダーを用いることで、歯や歯ぐきへの負担に配慮しながらバイオフィルムやステインを効率的に取り除き、清潔な口腔環境の維持につなげます。
先進的な技術習得に努め
より質の高い医療を提供
歯周病治療の質を高めるため、当院では歯科衛生士の技術向上に力を入れています。
定期的に外部講師を招き、歯周病治療に関する専門的な知識や技術について指導を受けながら、院内研修を行っています。継続的な学びと技術研鑽を通じて、より質の高い歯周病治療の提供に努めます。
根本原因に着目した歯周病治療
歯周病は、さまざまな要因が複雑に絡み合って発症する疾患です。
軽度であれば、定期的なクリーニングによって進行を抑えることが可能な場合もあります。しかし、中等度以上になると、何が主な原因となっているのかを的確に見極め、患者様一人ひとりに適した治療とケアを行うことが重要です。当院では、まずお口の状態を丁寧に把握したうえで、歯周病の原因にアプローチする治療を行っています。
重度の歯周病でも
歯を残すためのアプローチ
重度の歯周病では歯ぐきが大きく下がり、歯のぐらつきや自然脱落が起こることがあり、見た目や咀嚼機能、発音、口臭など日常生活にも影響を及ぼします。そのため当院では、精密検査により「保存可能か/抜歯が必要か」を慎重に診断します。歯槽骨が一定程度残り歯のぐらつきが軽度であれば、保存を優先します。スケーリングやルートプレーニングなどの非外科的治療を基本に、歯周組織の回復と歯の安定を図ります。適切な処置により、抜歯を回避できる可能性もあります。
歯周病対策は食習慣から
管理栄養士による食事指導
歯周病は食生活(糖分・偏食)、喫煙、ストレス、歯磨き習慣など、日々の生活習慣が原因で発症・悪化することがあるため、生活習慣病の一つとして数えられています。食事の栄養バランスもお口の健康に大きく関わっています。当院では、管理栄養士が在籍しており、食事内容や生活習慣についてお伺いしながら、歯周病の予防・改善につながるアドバイスや食事指導を行っています。
治療効果を実感しづらいからこそ
口腔内写真12枚の記録をもとに
丁寧に状態確認
歯周病の治療は、症状の変化を患者様ご自身が実感しにくい場合があります。そのため当院では、口腔内写真の撮影や唾液検査を行い、お口の状態を記録として残すことを大切にしています。お口の状態を比べて評価することで、変化をしっかりと確認しながら将来の歯周病リスクを予測します。記録をもとに経過を一緒に確認しながら、お口の変化や治療の進行状況を分かりやすくご説明しています。
メリット①
治療前後の変化を可視化できる
初期の状態と比較してどの程度改善したかを視覚的に確認できるため、治療経過を把握しやすくなります。
メリット②
お口の状態を把握しやすい
鏡では見えにくい部分も写真で確認できるため、新たな気づきが得られ、セルフケアに取り組みやすくなります。
メリット③
セルフケアへの意識を高めやすい
写真でお口の変化を確認することで、歯ぐきの状態への理解が深まり、セルフケアへの意識向上や継続につながります。
メリット④
データとして蓄積できる
お口の状態(歯周病の進行状況や磨き残しの傾向、咬耗・破折の有無)を記録・蓄積することで、長期的な健康管理に役立てることができます。
歯周病検査
歯周病検査では、歯周ポケットの深さ、出血の有無、歯のぐらつき、レントゲン画像などを確認します。
必要に応じて、唾液検査でお口のリスクも確認します。
唾液検査
唾液検査では、唾液中のpH値やタンパク質、酵素、ミネラルバランス、さらには細菌の種類や量などを測定することができます。これにより、お口の中の環境や歯周病のリスクを客観的に把握することが可能です。
治療内容
スケーリング
スケーラーと呼ばれる手用器具や超音波機器を用いて、歯の表面や歯ぐきとの境目に付着した歯垢(プラーク)や歯石を丁寧に除去します。清潔な状態に保つことで歯周病の原因菌を減らし、歯ぐきの腫れや出血の予防につなげます。定期的に行うことで、お口の中を健康な状態に保ちやすくなります。
SRP
歯ぐきの内側(歯周ポケット内)に付着した歯石や汚れを除去する処置です。ポケットの奥深くに入り込んだ歯周病の原因菌を取り除き、歯根の表面を滑らかに整えます。炎症の改善を促し、歯ぐきの引き締まりや歯周組織の安定を図ります。歯周病の進行を抑えるための重要な基本治療の一つです。
歯周外科処置
歯周病が中等度以上に進行している場合、SRP(スケーリング・ルートプレーニング)などの基本治療だけでは十分な改善が得られないことがあります。そのようなケースでは、外科的な処置を検討します。歯ぐきを開いて歯根部を直接確認し、奥深くに残存する歯石や感染組織を確実に除去します。さらに、歯周病菌に汚染された部位を清掃・処置することで、炎症の改善と歯周組織の安定を目指します。
歯周病の進行状態
歯肉炎
歯ぐきにのみ炎症が起きている歯周病初期の状態です。痛みなどの自覚症状はほとんどありませんが、歯みがきの際や硬いものを食べたときに出血しやすくなることがあります。早い段階で適切なケアを行うことで、健康な状態へ改善が期待できます。
軽度歯周炎
歯を支える骨(歯槽骨)が徐々に失われている状態です。歯ぐきの出血、歯のうずき、腫れぼったさなどの症状が現れることがありますが、初期段階ではほとんど自覚症状がないのが特徴です。早期に発見し、適切な治療を行うことで、歯の健康を守ることが可能です。
中等度歯周炎
歯を支える歯槽骨が1/3~2/3程度失われた状態です。歯磨きの際に出血したり、歯ぐきが腫れたり治ったりを繰り返すことがあります。また、水がしみる、歯が動揺してぐらつくといった症状が現れることもあります。場合によっては膿が出たり口臭が強くなることもあり、日常生活に影響を及ぼすことがあります。
重度歯周炎
歯を支える歯槽骨が2/3以上失われた状態です。
歯ぐきを押すと膿がにじみ出ることがあり、口臭が強くなる場合もあります。歯がぐらつき、硬いものが噛みにくくなるほか、歯磨きの際に頻繁に出血することもあります。放置すると、歯が自然に抜け落ちてしまうこともあるため、早期の治療が非常に重要です。
歯周病と全身疾患の関係
お口の病気は体全体の健康に影響します
歯周病はお口の中だけの問題ではなく、糖尿病や心疾患、脳血管疾患など全身の健康にも影響を与えることがわかっています。歯ぐきの炎症によって生じた細菌や毒素が血流に入り、体全体に広がることで、生活習慣病を悪化させる要因となると考えられています。健康を維持するためには、歯周病の予防と早期治療が大切です。
メタボリックドミノを
ご存じですか?
「メタボリックドミノ」とは、生活習慣の乱れなどをきっかけに、体の不調が次々と連鎖して起こる様子を、ドミノ倒しになぞらえて表した言葉です。健康管理が遅れると、ひとつの不調が他の不調を引き起こす負の連鎖につながることを示しています。
例えば、むし歯や歯周病が進行して歯を失うと、十分に噛めずに食べ物を丸呑みしてしまうことがあります。咀嚼が減ることで満腹中枢が刺激されにくくなり、必要以上に食べ物を摂取してしまう可能性があります。こうした食生活の乱れは、肥満や糖尿病などの生活習慣病、いわゆる「メタボリックシンドローム」を進行させる要因になり得ます。
歯の健康を守ることは、単にお口の問題を防ぐだけでなく、全身の健康を維持するうえでも非常に重要なのです。
歯周病治療の流れ
- 1 問診
- 歯ぐきの腫れや出血などの気になる症状、生活習慣などについてお伺いし、歯周病のリスク評価や現状把握を行います。患者様に適した治療計画の立案につなげます。
- 2 レントゲン撮影・診断
- 放射線技師によるレントゲン撮影を行い、歯ぐきや歯を支える骨の状態を確認し、歯周病の進行状況を把握します。目視では見つけにくい骨の変化や歯周組織の状態についても、画像をもとに総合的に評価します。
- 3 口腔内診査
- 視診により歯ぐきの腫れや出血の有無、歯周ポケットの状態、プラークの付着状況などを確認します。あわせて磨き残しの傾向も把握し、お口全体の状態を踏まえたうえで、患者様に適した歯周病予防・管理をご提案します。視診時には、口腔内カメラでお口の中を撮影し、治療前と治療後で変化が見えるようにしています。
- 4 歯周検査
- 歯周検査では、歯ぐきの状態や出血の有無、歯周ポケットの深さ、歯のぐらつきなどを丁寧に確認します。自覚症状が出にくい歯周病だからこそ、歯周検査の記録をしっかりと残しながら、進行具合を長期的に管理していきます。
- 5 スケーリング(必要に応じて)
- 歯周病の原因となる歯石やプラークを、歯の表面や歯ぐきの境目を中心に専用の器具で丁寧に除去します。歯石は歯みがきでは取り除くことが難しいため、定期的に除去することで歯ぐきの炎症の改善や歯周環境の安定につなげていきます。
- 6 応急処置・治療(必要に応じて)
- 検査の結果を踏まえ、歯ぐきの腫れや出血など歯周病の症状が認められる場合には、状態に応じて応急処置や治療を行います。軽度から重度まで幅広い症例に対応しており、患者様のお口の状態やご希望を踏まえたうえで、段階的に改善を目指していきます。
歯周病治療症例
ケース01:歯周病治療
歯周病による歯ぐきの腫れは、細菌や歯石の蓄積によって炎症が起こることで生じます。治療では、歯石除去やクリーニングを行い、お口の中を清潔な状態へ整えていきます。
治療前
治療後
| 施術内容 | 歯ぐきの腫れや出血、歯周ポケットの深さが認められたため、歯周病と診断しました。 まずは毎日のセルフケアの質を高めるためにブラッシング指導を行い、磨き残しの改善を図りました。 あわせて、歯の表面や歯ぐきのまわりに付着した歯石や汚れを専用の器具で取り除きました。 さらに、歯ぐきの中(歯周ポケット内)に付着した歯石や細菌のかたまりを取り除く処置を行い、歯ぐきの状態の安定を目指しました。 |
|---|---|
| 治療期間 | 約1年(全体の歯周病治療が完了するまでの目安) |
| リスク・副作用 | ・処置後に一時的な知覚過敏が生じることがあります ・歯ぐきの状態により出血や痛みを伴う場合があります ・歯周病の進行度によっては改善に時間がかかることがあります ・セルフケアの状況により再発する可能性があります |
| 費用 | 保険診療の範囲内 |
ケース02:歯肉炎改善
歯肉炎は、歯ぐきに付着したプラーク(歯垢)が原因で炎症が起こる状態です。早期治療によって、歯周病への進行予防にもつながります。
治療前
治療後
| 施術内容 | 歯ぐきの腫れや出血が認められたため、歯肉炎と診断しました。 まずは毎日のセルフケアの質を高めるためにブラッシング指導を行い、磨き残しの改善を図りました。 あわせて、歯の表面や歯ぐきのまわりに付着した歯石や汚れを専用の器具で取り除き、歯ぐきの炎症の軽減を目指しました。 |
|---|---|
| 治療期間 | 約2週間 |
| リスク・副作用 | ・歯石除去後に一時的な知覚過敏が生じることがあります ・歯ぐきの状態により出血や痛みを伴う場合があります ・セルフケアの状況により再発する可能性があります |
| 費用 | 保険診療の範囲内 |
よくある質問
歯周病は自然に治る(自然治癒する)ことがありますか?
歯ぐきだけの軽い炎症の段階(歯肉炎)であれば、セルフケアの見直しやクリーニングで落ち着くことがあります。ただし、歯を支える骨にまで影響が出ている段階(歯周炎)では、自然に元どおりになることは期待しにくいため、検査で状態を確認することをおすすめします。
歯周病治療(歯石取り[スケーリング]・SRPなど)は痛いですか?
処置内容や炎症の程度によって感じ方は異なります。不安なことや痛みがある場合は遠慮なくお知らせください。状態を確認しながら、できるだけ負担の少ないように進めます。
歯周病治療はどれくらいの期間・回数がかかりますか?
進行度や治療範囲によって異なります。一般的には、検査→基本治療(スケーリング・SRPなど)→再評価→必要に応じて追加治療(歯周外科など)→メンテナンスの流れでご案内します。
歯周病治療は保険でできますか?費用はどれくらいですか?
保険診療で行う治療が基本です。ただし状態や治療内容により回数・費用は変わりますので、検査後に治療内容とあわせて費用の目安をご説明します。
一度治療した歯周病は再発(ぶり返し)しますか?
歯周病は再発しやすい病気です。治療後も、毎日の歯みがき・歯間清掃に加えて、定期的なメンテナンスで歯周ポケットや歯石の付着を確認することが大切です。
歯周病を予防するためには何をすれば良いですか?
毎日の丁寧な歯磨きに加え、定期的な歯科検診やクリーニングを受けることが大切です。ご自身では落としきれない汚れを専門的にケアすることで、歯周病の予防につながります。
毎日しっかり歯磨きをしていても歯周病になりますか?
丁寧に磨いていても、歯ぎしりや歯並び、噛み合わせなどの影響で歯周病になることがあります。定期的な検診でのチェックがおすすめです。
歯周病と全身の健康には関係がありますか?
歯周病と全身の健康には関連が報告されています。とくに糖尿病や心疾患などとの関連も報告されています。歯周病は早めの予防・管理が大切です。