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親知らずが生えてこないのはなぜ?歯ぐきの中に埋まっているから?



こんにちは。おしむら歯科 院長の押村侑希です。


前回のブログでは、親知らずを抜くタイミングについて、ご説明をさせていただきました。


通常、親知らずは20歳前後で生えてくる方が多いです。ただし、患者様によっては、30代以降に親知らずが生えてくるケースも。


中には、親知らずそのものが存在せず、親知らずが生えてこない方も見られます。


なぜ、親知らずそのものが存在せず、生えてこないのでしょうか?


気になるところであり、親知らずが生えてこない原因を追究するために、さまざまな研究・調査が行われています。


今回は、「親知らずが生えてこないのはなぜ?」のお話です。


■「親知らずが生えてこない」とは?


◎「親知らずそのものが存在しない」のか、「歯ぐきの中に親知らずが埋まっているのか」を見極めることが大切

親知らずが生えてこない(歯ぐきの外に親知らずが確認できない)場合は、親知らずが生えない原因の“問題分け”をする必要があります。


親知らずが生えてこない場合は、まずは、歯科医院での受診をおすすめします。


歯科医院を受診して検査を受け、以下の、どちらの原因で親知らずが生えてこないのかを、見極めることが大切です。


1.親知らずそのものが存在しない(歯の芽となる歯胚が存在しない)

2.親知らずは存在するが、歯ぐきの中に埋まっていて歯が見えない


1.の場合は、処置や治療は不要なことが多いです。


2.の場合は、親知らずの埋まり方によっては、歯ぐきを切開して親知らずを抜歯した方が良いケースがあります。


■親知らずそのものが存在しない方がいるのはなぜ?


◎遺伝や食生活の変化などが要因と考えられています

親知らずそのものが存在しない理由は、はっきりとは解明されていません。


推測ではありますが、以下のようなことが、親知らずそのものが存在しない要因と考えられています。


[親知らずそのものが存在しない要因(推測されている要因)]


・家系的に、親知らずが生えないことがある(遺伝的な要素)

・食の欧米化による、やわらかい物が中心の食生活(パン、パスタ、ハンバーグなど)

(しっかり噛む機能が鍛えられず、顎の骨格が小さくなる+顎のスペースが不足し、親知らずの歯胚が正常に育たない)


■親知らずそのものが存在しない方の割合は?


◎1本以上、親知らずそのものが存在しない方は全体の10~20%前後

20年ほど前のデータになりますが、日本では、1本以上、親知らずそのものが存在しない方は、全体の10~20%前後いると見られています(※)。


(※)愛知学院大学歯学部「日本人第3大臼歯欠如
頻度の時代変化
」(2004)より引用。


◎江戸時代~明治・大正・昭和時代と比べて、現在は、親知らずが生えている方が多いです

日本人全体の10~20%前後が、1本以上、親知らずが生えてこない(親知らずそのものが存在しない)と聞き、


「え!日本人の10人に1~2人の割合で、親知らずが生えてこないの!?」


と、驚いてしまう方もいらっしゃるかもしれません。


ネット上のサイトなどでも、「現在は、親知らずが生えてこない方が増加しています」などの言葉を目にする機会も多いです。


しかし、現在は、むしろ、江戸時代~明治・大正・昭和時代と比べて、親知らずが生えている方が増えています。


これは、ネット上で見られる「親知らずが生えてこない方が“増えて”います」説とは、真逆の事実。


むしろ、昔の時代よりも、今の方が、親知らずが生えている方が多いのです。


前述の愛知学院大学の調査では、縄文時代~平成の2000年頃までの日本人の親知らずの欠如率(親知らずそのものが存在しない割合)が、以下のように報告されています。


[時代別 日本人の親知らずの欠如率の推移]


縄文~鎌倉時代

0~20%前後

江戸時代

20~40%前後

明治・大正時代

30~40%前後

昭和時代

10~60%前後

(昭和初期:20~60%前後)

(戦後~昭和中期:30%前後)

(昭和中期~昭和後期:12~30%前後)

平成時代

10~20%前後


江戸時代~明治・大正・昭和時代に親知らずそのものが存在しない割合が高かったのは、当時の食事には栄養が足りていなかったことが原因と考えられています。


特に、栄養不足による親知らずへの影響が顕著なのは、昭和時代です。世界恐慌が起きた昭和初期の調査結果では、親知らずの欠如率は日本人全体の20~60%前後であったことが記録されています。


栄養不足は、歯の芽(歯が生まれる素)である歯胚の形成を阻害する、大きな原因の一つです。


昭和で、特に親知らずの欠如率が高かったのは、昭和初期~昭和20年代(戦後)。


その後、高度経済成長期~バブル時代までの昭和中期~後期にかけては、12~30%前後まで、親知らずの欠如率が減っています。


平成時代では、親知らずの欠如率が10~20%前後にまで低下。


上記の調査結果から、時代が進み、日本人全体の栄養状態が改善されたことが、親知らずの欠如率が減った大きな要因と考えられています。


(※)愛知学院大学歯学部「日本人第3大臼歯欠如
頻度の時代変化
」(2004)より引用。


【今後も、歯に関する豆知識やトピックを更新していきます】


今回は、「親知らずが生えてこないのはなぜ?」のお話をさせていただきました。


おしむら歯科では、今後も、歯に関する豆知識やトピックを更新していきます。お時間があるときに、ブログをお読みいただければ幸いです。


– 親知らずでお悩みの方は当院までご相談ください –


おしむら歯科では、親知らずでお困りの方を対象に、親知らず外来を設けています。


診察では、口腔外科医が患者様の親知らずをチェックし、CTによる精密検査と抜歯のシミュレーションを実施します。CT検査&シミュレーションにより、安全性を高めると共に、お一人おひとりのお口の状態に合わせた抜歯を行っています。


・親知らずがむし歯・歯周病になって困っている

・親知らずが生えてきたけど、どうすれば良いかわからない


など、親知らずのお悩みがある方は、当院までお気軽にご相談ください。ご希望の方には、リラックスした状態で親知らずを抜歯可能な静脈内鎮静法もご選択いただけます(※)。


(※)静脈内鎮静法は別途、費用がかかります。

おしむら歯科こども矯正歯科クリニック
歯科医師
押村 侑希

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