
■子どもが歯磨きを嫌がるたびに、「私のやり方が悪いのかな」と悩んでいませんか?
歯ブラシを見せた瞬間に逃げてしまう。お口をぎゅっと閉じてしまう。
仕上げ磨きを始めると、大きな声で泣いてしまう。
毎日のようにこのようなことが続くと、
「小さい頃から歯磨きをしてきたのに、どうして嫌がるの?」
「私の磨き方が下手なのかな?」
「ほかのお家では、もっと上手にできているのでは?」
と、不安になる保護者の方も多いのではないでしょうか。
最初にお伝えしたいのは、小さな子どもが歯磨きを嫌がることは、決して珍しいことではないということです。
日本小児歯科学会も、1歳半頃は歯磨きを嫌がる子どもが多いと説明しています。
実は、私の2歳の子どもも、歯磨きが大の苦手です。
歯科医師の家庭だからといって、毎日笑顔で歯磨きができるわけではありません。
今回は、子どもが歯磨きを嫌がる理由と、仕上げ磨きに悩む保護者の方に知っていただきたい考え方をお伝えします。
- 1~2歳頃の子どもが歯磨きを嫌がることは珍しくない
- 歯磨きを嫌がることと、保護者の磨き方の上手・下手は必ずしも関係しない
- 「一度も嫌がらせないこと」より、短く、やさしく、毎日続けることが大切
■小さい子どもが歯磨きを嫌がるのはなぜ?
◎お口の中を触られる感覚そのものが苦手なことがあります
大人にとって歯磨きは当たり前の習慣ですが、小さな子どもにとっては、お口の中に歯ブラシが入ってくること自体が慣れない体験です。
特に上唇の裏側は、触られることを嫌がりやすい部分です。歯ブラシが歯ぐきに強く当たったり、上の前歯の中央にある筋に当たったりすると、痛みを感じて歯磨きを嫌がることもあります。
日本小児歯科学会でも、力加減や歯ブラシの当たる場所に注意し、短時間で効率よく磨くことが勧められています。
また、眠いときや遊びを中断されたときなど、その日の気分やタイミングによって嫌がることもあります。
歯磨きが嫌いというよりも、
「今はやりたくない」
「自分でやりたい」
「動かずに寝ているのがイヤ」
という気持ちを、泣いたり体を動かしたりして表現している場合もあるのです。
◎歯磨き習慣が身についていても「今日はイヤ」はあります
小さい頃から毎日歯磨きを続けてきたお子さんでも、ある日突然、仕上げ磨きを嫌がることがあります。
自我が芽生える時期には、歯磨きも含めて「自分でやりたい」という気持ちが強くなります。
しかし、自分だけできれいに磨くことはまだ難しいため、保護者による仕上げ磨きは必要です。
昨日は上手にできたのに、今日は泣いてしまう。
自分では歯ブラシを持ちたがるのに、仕上げ磨きは拒否する。
このようなことがあっても、それまで続けてきた歯磨き習慣が失敗だったわけではありません。
私たちは、泣かずにできたかどうかだけで、子どもの成長や保護者の努力を評価するべきではないと考えています。
おしむら歯科では、子どもは周囲の大人の不安や緊張を敏感に感じ取ることを踏まえ、まず保護者に安心してもらうことを大切にしています。
「嫌がるのは私のせいかもしれない」と、ご自身を責める必要はありません。
■「嫌がらない歯磨き」より「親子で続けられる歯磨き」を目指しましょう
◎100点を目指さず、短く、やさしく続けることが大切です

歯磨きでは、「絶対に泣かせないこと」を目標にする必要はありません。
それよりも、
「痛くしない」
「必要以上に長引かせない」
「終わった後にできたことを認める」
ことを大切にしてみてください。
歯ブラシに慣れるまでの時期は、できるだけお子さんの機嫌がよい時間に練習し、慣れてきたら寝る前の仕上げ磨きを習慣にしていきます。
長時間磨き続けるのではなく、順番を決めて短時間で磨くこともポイントです。
途中で苦しそうにしているときは、一度歯ブラシをお口から出し、唾液を飲み込んで呼吸できるようにしてあげましょう。
そして、歯磨きが終わったら、
「お口を開けられたね」
「前歯がきれいになったね」
「今日も一緒にできたね」
と、その日にできたことを伝えてあげてください。
おしむら歯科では、結果だけではなく、子どもが取り組んだ過程を認めることを大切にしています。
「叱る指導」ではなく「褒める指導」に変えることで、子どもが前向きになり、小さな成功体験を積み重ねられると考えているためです。
泣かなかった日だけが成功なのではありません。
少しだけお口を開けられたことも、自分で歯ブラシを持てたことも、昨日より短い時間で終えられたことも、立派な一歩です。
◎仕上げ磨きの悩みを、ご自身だけで抱え込まないでください
「どうしても磨かせてくれない」
「毎晩の歯磨きが親子ともにつらい」
「力加減や歯ブラシの当て方が合っているかわからない」
そのようなときは、ぜひ当院にご相談ください。
おしむら歯科では、お子さん自身のブラッシングだけでなく、保護者の方による仕上げ磨きの方法もお伝えしています。
お子さんの年齢や性格に合わせ、歯科医院に楽しく通ってもらうための対応も行っています。
当院には、歯科の知識と保育の視点を組み合わせ、歯磨き習慣やお口の健康について相談を受けられる保育士も在籍しています。
子どもへの声かけや、嫌がる子どもを励ます方法についても、医院全体で学び続けています。
「仕上げ磨きがうまくできていないかもしれない」と、申し訳なく思う必要はありません。
歯科医院は、できていないことを叱る場所ではなく、親子ができることを一緒に増やしていく場所です。
わが家の2歳の子どもも、今日も歯磨きを嫌がるかもしれません。それでも、毎日少しずつ続けています。
子どもが歯磨きを嫌がることは、子育ての失敗ではありません。
今日もお子さんのお口を守ろうと歯ブラシを手に取っていること自体が、すでに大切な取り組みです。
どうか、一人で悩まないでくださいね。
Q1.2歳の子どもが毎日歯磨きで泣きます。よくあることですか?
A.1歳半から2歳頃の子どもが歯磨きを嫌がることは珍しくありません。お口の中を触られる感覚が苦手だったり、「自分でやりたい」「今はやりたくない」という気持ちがあったりします。泣くことだけで、歯磨き習慣が身についていないと判断する必要はありません。
Q2.泣いていても仕上げ磨きは続けた方がよいですか?
A.お口の清潔を保つため、仕上げ磨きは必要です。ただし、長時間押さえ続けたり、強い力で磨いたりするのではなく、短時間でやさしく行いましょう。苦しそうなときは一度歯ブラシを出し、唾液を飲み込む時間をつくってください。少なくとも寝る前は仕上げ磨きを行うことが勧められています。
Q3.自分で歯ブラシを持ちたがる場合は、任せてもよいですか?
A.まずは自分で磨かせてあげても構いません。「自分でやりたい」という気持ちを大切にしましょう。ただし、小さな子どもは自分だけですべての歯をきれいに磨くことが難しいため、最後は保護者による仕上げ磨きをしてください。歯ブラシをくわえたまま歩くと事故につながるため、必ず座った状態で、そばで見守りましょう。
Q4.仕上げ磨きの相談だけでも歯科医院を受診できますか?
A.はい。おしむら歯科では、仕上げ磨きの姿勢、歯ブラシの当て方、力加減などもアドバイスしています。「歯磨きを嫌がって困っている」と、そのままお伝えください。それぞれの親子に合った方法を一緒に考えていきます。
小児歯科
2007年 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
2017年 日本成人矯正歯科学会認定専門医コース修了(2年)
2018年 Dr John flutter(ブリスベン開業)診査診断コース修了
2019年 おしむら歯科・こども矯正歯科クリニック院長就任
2020年 愛知県歯科医師会食育推進委員、ユマニテク歯科衛生士専門学校非常勤講師
2023年 愛知県歯科医師会調査室参与
日本成人矯正学会会員
日本摂食嚥下リハビリテーション学会会員
メタルフリー歯科学会 認定医
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