おしむら歯科ブログ BLOG OSHIMURA

むし歯じゃないのに歯がしみる・歯が痛む!知覚過敏の症状・原因と予防&治療方法について


「冷たい・熱い物や風があたると歯がしみる…でも、むし歯じゃないみたい なんでしみるんだろう?」

「歯ブラシがふれたときに歯が痛む…むし歯でもないのに…なぜ?」


歯がしみる・歯が痛むとき、多くの方が、むし歯を疑います。しかし、歯がしみる・歯が痛むのはむし歯だけではありません。


むし歯のほか、歯のしみ・歯の痛みをひき起こす代表的な症状としては「知覚過敏」が挙げられます。


当院においても、歯がしみる・歯が痛むのでむし歯だと思ってご来院された患者様が実は知覚過敏だった、というケースは多いです。


知覚過敏は、軽度であれば、コーティング剤を歯に塗るなどの比較的簡単な処置で済むこともあります。


ただし、知覚過敏が重度に進行した場合は歯の神経を抜く抜髄(ばつずい)が必要になる場合もあるため、歯のしみ・歯の痛みは注意して見極めなければなりません。


今回は、「知覚過敏の症状・原因と予防&治療方法」についてご説明します。


■知覚過敏とは?


◎冷たい・熱い物、風、歯ブラシがふれたとき、歯にしみや痛みを感じる症状です

知覚過敏とは、冷たい・熱い物、風、歯ブラシがふれたとき、歯にしみや痛みを感じる症状です。


■知覚過敏の症状


◎知覚過敏は一過性の症状 10秒以上痛みが続く場合はむし歯の可能性も

知覚過敏は刺激を受けたときだけ歯にしみや痛みを感じる、一過性の症状です。むし歯のように持続的にしみや痛みが続く訳ではありません。


長くても、知覚過敏は刺激を受けてから10秒前後以内にしみや痛みが消えることが多いです。はっきりと何秒から何秒まで、という決まりはないのですが、10秒以上、しみや痛みが続く場合はむし歯の可能性があります。


■知覚過敏の原因(知覚過敏が起きるメカニズム)


◎歯の象牙質やセメント質が露出することで象牙細管を通じて歯の神経に刺激が伝わりやすくなり、知覚過敏がひき起こされます

知覚過敏はさまざまな原因によってひき起こされます。原因にこそ違いはありますが、知覚過敏で歯にしみや痛みを感じるのは、主に以下のメカニズムによるものです。


さまざまな要素があるため、ちょっと、長くなりますが、できるだけシンプルにご説明します。日頃から「知覚過敏かも?」と感じている方は、ご自身に当てはまる原因がないか、ご一緒に確認していきましょう。


≪知覚過敏が起きるメカニズム≫


1.以下(後述)のような原因により、歯のエナメル質の下にある象牙質や歯ぐきで覆われているセメント質が露出する(露出:ろしゅつ=覆われておらず、空気にふれている状態)


2.象牙質の中には象牙細管(ぞうげさいかん)という細い管がたくさん通っている


3.露出した象牙質やセメント質に冷たい物・熱い物、風、歯ブラシがふれたとき、象牙細管を通じて歯の中央部分にある歯の神経に刺激が伝わり、歯にしみや痛みを感じる


<知覚過敏をひき起こす主な原因>


1.強すぎる力での歯みがき、歯周病が原因で歯ぐきが下がり、歯のセメント質が露出する


2.強すぎる力での歯みがきが原因で歯のエナメル質が削られ、歯の象牙質が露出する


3.生まれつき噛む力が強い、または、歯ぎしり・食いしばりが原因で歯のエナメル質に亀裂が入り、歯の象牙質が露出する


4.食べ物に含まれる酸(かんきつ類・お酢、炭酸飲料などの酸)が原因で歯のエナメル質が溶け、歯の象牙質が露出する(=酸蝕歯:さんしょくし)


5.転んだり、お口をぶつけたことが原因で歯が割れ、歯の象牙質が露出する


上記の歯の象牙質・セメント質の露出以外にも、以下のような原因で知覚過敏がひき起こされる場合もあります。


<知覚過敏をひき起こすことがある、その他の原因>


1.むし歯治療で歯を削った刺激が原因で歯の神経が敏感になり、知覚過敏をひき起こすことがある


2.過酸化物(過酸化水素、過酸化尿素)が含まれた薬剤を用いる、歯科医院でのホワイトニングが原因で歯の神経が刺激を受け、知覚過敏をひき起こすことがある


◎患者様によっては、歯の象牙質やセメント質が露出しても知覚過敏が起きないケースも

上記のような原因により、歯の象牙質やセメント質が露出すると知覚過敏をひき起こしやすいです。ただし、象牙細管は加齢によって管が閉じることがあります(象牙細管の閉塞)。


閉じている象牙細管が多い場合は歯の神経に刺激が伝わりにくくなるため、患者様によっては歯の象牙質やセメント質が露出しても知覚過敏が起きないケースも。


■知覚過敏の予防&治療方法


◎確立された予防&治療方法はありませんが、原因に合わせて予防を行うことで知覚過敏をひき起こしにくくなります

知覚過敏はさまざまな原因によってひき起こされます。また、むし歯、ホワイトニングでひき起こされる知覚過敏など、知覚過敏の中には、歯のしみや痛みが起きるのかがはっきりとわかっていないものも。このため、知覚過敏には「これをしておけば大丈夫」という確立された予防&治療方法はありません。


確立された予防&治療方法はありませんが、以下のように、原因に合わせて予防を行うことで知覚過敏をひき起こしにくくなります。予防に加え、知覚過敏が起きた場合は、原因に合わせて行う歯科医院での処置により、歯のしみや痛みの軽減にアプローチできます。


[知覚過敏の主な予防の仕方]


・軽い力で歯を磨く(ペンを持つように、軽い力で歯ブラシを持ちましょう)

・毎日のセルフケアと定期的な検診で歯周病・むし歯の進行を抑える

・転んだり、お口をぶつけないよう、気をつける

・かんきつ類、お酢、炭酸飲料など、酸度が高い飲食物はなるべく控える(酸度が高い飲料を飲むときはストローを使うことをおすすめします)

・ホワイトニングはあまり頻繁に行わないようにする、または、歯・歯周組織への刺激が少ないボーテ式ホワイトニングを受ける


[知覚過敏に対する主な治療・処置]


・摩耗した歯のエナメル質の部分にコーティング剤を塗る

・フッ素(市販のフッ素入り歯磨き粉、歯科医院でのフッ素塗布)で歯のエナメル質の再石灰化をうながす

・お薬(硝酸カリウムなど)で歯の神経の興奮を抑える

・噛む力が強いor歯ぎしり・食いしばりの癖がある場合は、ナイトガードなど、歯科医院にて歯を守るための処置・治療を受ける

・割れてしまった歯を接着する治療を受ける

・被せ物をして、歯の象牙質を保護する

・歯の神経を抜く(知覚過敏が重度で、歯のしみや痛みが治まらない場合)


【歯にしみや痛みを感じる方は当院までご相談ください】


知覚過敏は「たかが知覚過敏だから」と放っておく方が多いです。しかし、知覚過敏をひき起こす原因の中には歯周病・むし歯・歯のひび割れ(破折)・酸蝕歯など、重い症状に進行する可能性があるものも存在するため、知覚過敏を放置するのは良くありません。


知覚過敏が疑われるときは、早めに歯科医院で診察を受けることで、お口の状態に合わせた治療・処置を行いやすくなり、症状の緩和にアプローチできます。


むし歯ではなさそうなのに、冷たい・熱い物、風、歯ブラシが歯にふれたときに歯にしみや痛みを感じるなどの症状があるときは当院までご相談ください。


診察では歯科医師がお口の状態を確認し、知覚過敏への対処を含めて患者様に合った治療・処置をご提案させていただきます。

おしむら歯科こども矯正歯科クリニック
歯科医師
押村 侑希

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