
▸「プレオルソをつければ、子どもの歯並びはきれいになる?」と気になっている方へ
こんにちは。おしむら歯科・こども矯正歯科クリニック院長の押村侑希です。
お子さんの歯並びについて調べていると、「プレオルソ」という青いマウスピース型の装置を目にすることがあると思います。
「プレオルソには本当に効果があるの?」
「口呼吸やお口ポカンも改善できる?」
「夜につけて寝るだけで、歯並びがきれいになるの?」
「プレオルソを使えば、将来のワイヤー矯正は必要なくなる?」
このような疑問をお持ちの保護者の方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、プレオルソは、適切な時期と症例を選び、決められた装着時間やお口のトレーニングを継続することで、歯並びや噛み合わせ、お口の機能を整える助けになる装置です。
ただし、「口に入れて寝るだけですべての歯がきれいに並ぶ」「将来の本格的な矯正が必ず不要になる」という装置ではありません。
同じカテゴリーに属する既製の筋機能矯正装置については、無治療の場合と比べて、前歯の突出や深い噛み合わせ、下顎前歯の叢生などに改善が見られる可能性が報告されています。一方で、研究の質には限界があり、顎の骨格を大きく変える効果については、まだ十分に確立されていません。
大切なのは、「プレオルソに効果があるか、ないか」という二択ではなく、「どのような状態のお子さんに、何を目的として使うのか」を正しく考えることです。
- プレオルソは、成長期の子どもに用いる取り外し式の咬合誘導装置です
- 前歯の噛み合わせや歯列、舌・唇・頬の使い方を整えることを目指します
- 装着時間が不足したり、お口の癖が改善されなかったりすると、十分な効果を得にくくなります
- 骨格的な問題や顎の狭さが強い場合は、プレオルソだけでは対応できないことがあります
- おしむら歯科では装置名だけで治療を決めず、形態・機能・気道の3つの視点から診断します
▸プレオルソとは、どのような矯正装置?
成長期の子どもに用いるマウスピース型の咬合誘導装置です
プレオルソは、成長期の子どもに用いる取り外し式のマウスピース型装置です。
日本国内では「歯列矯正用咬合誘導装置」に分類される管理医療機器として認証されており、歯を適切な方向へ誘導し、噛み合わせのバランスを整えるために使用されます。
一般的なワイヤー矯正やマウスピース矯正は、歯に力を加え、一本一本の位置を計画的に動かす治療です。
一方、プレオルソは、歯を精密に並べ切ることだけを目的とした装置ではありません。
装置の形によって、
- 舌を上顎側の適切な位置へ導く
- 唇や頬から歯列に加わる圧力を和らげる
- 上下の噛み合わせを整える
- お口を閉じる練習をする
- 正しい飲み込み方や発音を身につける
といった働きを促し、歯並びが育つ口腔内の環境を整えることを目指します。
歯並びや噛み合わせに応じて種類を選びます
プレオルソには複数の種類があります。
製品資料では、上顎前突や叢生、過蓋咬合などを対象とするタイプ、開咬を対象とするタイプ、反対咬合を対象とするタイプなどが用意されています。素材の硬さや大きさにも複数の選択肢があり、歯科医師がお子さんの状態に合わせて選択・調整します。
つまり、「子どもの歯並びが気になるから、とりあえず同じマウスピースを使う」という治療ではありません。
同じ出っ歯に見えても、
- 上顎の前歯だけが傾いている
- 下顎が後ろに位置している
- 上顎自体の幅が狭い
- 舌が低い位置にある
- 下唇を巻き込んで飲み込む癖がある
など、原因は一人ひとり異なります。
原因を診断せずに装置だけを使用しても、期待した結果につながらないことがあります。
▸プレオルソで期待できる主な効果
出っ歯や深い噛み合わせなどの改善を支えます
プレオルソを含む既製の筋機能矯正装置では、前歯の水平的な突出であるオーバージェットや、上下の前歯が深く噛み込むオーバーバイトなどに改善が見られる可能性があります。
また、症例によっては、前歯のガタガタや犬歯の噛み合わせの改善を支える場合もあります。
ただし、こうした効果は主に歯や噛み合わせの変化として確認されているものです。
プレオルソを使えば、どのような骨格でも大きく変えられるわけではありません。顎の幅が極端に狭い場合や、上下の顎の前後的なずれが大きい場合には、顎を広げる装置や前方成長を促す装置など、別の治療が必要になることがあります。
舌の位置や唇・頬の力のバランスを整えるきっかけになります
歯並びは、歯だけで決まるものではありません。
舌は歯列を内側から支え、唇や頬は外側から歯列に力を加えています。この内側と外側の力が釣り合うことで、歯列は安定しやすくなります。
舌がいつも下にある、舌で前歯を押す、下唇を噛むように飲み込む、お口が開いたままになっているといった状態が続くと、歯並びや顎の成長にも影響する可能性があります。
プレオルソには舌を上方へ導く形状や、唇・頬から加わる圧力を和らげる構造が設けられています。装置を使いながらお口のトレーニングを行うことで、正しい舌の位置や飲み込み方を身につけることを目指します。
口呼吸から鼻呼吸へ切り替える練習を支えます
プレオルソについて調べている方の中には、お子さんの「お口ポカン」や口呼吸を心配されている方も多いと思います。
プレオルソは、装置を入れた状態で唇を閉じ、鼻で呼吸する練習を行うためのきっかけになります。
ただし、慢性的な鼻詰まり、アレルギー性鼻炎、アデノイドや扁桃の問題などによって鼻呼吸が難しい場合、マウスピースだけで口呼吸を改善することは困難です。
おしむら歯科では、鼻呼吸ができるか、いびきや睡眠中の口唇開放がないかなど、気道の状態も確認します。必要な場合は、耳鼻咽喉科と連携しながら治療を進めます。
そのため、「口呼吸だからプレオルソを使う」と単純に決めるのではなく、まず鼻で呼吸できない原因を確認することが大切です。
▸プレオルソの効果が出にくいのは、どのような場合?
装着時間が足りていない
プレオルソは取り外しができる装置です。
PMDAに掲載されている添付文書では、日中は1時間を目安に、就寝中は継続して装着する使い方が示されています。
取り外せることは、食事や歯磨きを普段どおり行いやすいというメリットになります。
一方で、装着しなければ装置は働きません。
「寝る前に入れているけれど、朝には外れている」
「日中の装着を忘れてしまう」
「違和感があり、数日で使わなくなった」
という状態では、十分な装着時間を確保できないため、期待した効果につながりにくくなります。
小児矯正では、お子さん本人の努力だけでなく、ご家族による声かけや装置管理が重要です。当院の症例でも、装着時間を生活の中の決まった行動と結びつけたり、家庭内で装置を管理する方を明確にしたりすることで、治療を継続しやすくしています。
装置をつけるだけで、お口の癖が改善されていない
装置をつけている時間だけ舌が上がっていても、外した途端に舌が下がり、お口が開いてしまう状態では、十分な機能改善にはつながりません。
正しい舌の位置や飲み込み方、口唇閉鎖を定着させるためには、MFTと呼ばれる口腔筋機能療法を併用することが重要です。
おしむら歯科では、マウスピース型の装置を「装着するだけの治療」とは考えていません。
舌・唇・頬などの筋肉を正しく使えるようにするトレーニングを行い、お子さん自身が正しいお口の使い方を身につけられるようサポートしています。
プレオルソだけでは対応できない歯並びや骨格だった
プレオルソは、すべての歯並びに対応できる万能な装置ではありません。
次のようなケースでは、別の装置や治療の併用を検討することがあります。
- 顎が非常に狭く、永久歯が生えるスペースが大きく不足している
- 上下の顎の前後的なずれが強い
- 萌出する歯の位置に大きな異常がある
- 特定の歯を精密に動かす必要がある
- 鼻閉や扁桃肥大など、気道の問題が残っている
- 装置の装着やトレーニングを継続することが難しい
このような場合に「プレオルソを長く使えば、いつか治る」と続けてしまうと、適切な治療時期を逃す可能性があります。
治療中も定期的に歯並び、噛み合わせ、顎の成長、装着状況を評価し、必要であれば治療方法を見直すことが大切です。
▸プレオルソとマイオブレースは何が違う?
プレオルソとマイオブレースは、どちらも成長期の子どもに用いられるマウスピース型の機能的矯正装置ですが、同じ製品ではありません。
装置の形状、素材、種類、治療の進め方、トレーニングプログラムなどに違いがあります。
一方、両者には、
- 歯を一本ずつ動かすことだけを目的にしない
- 舌や唇、頬の筋肉の使い方に着目する
- 口呼吸や誤った飲み込み方などの改善を目指す
- 成長期の顎や歯列の発育を利用する
- 装着時間と家庭での取り組みが治療結果に影響する
という共通した考え方があります。
おしむら歯科では、マイオブレースとMFTを小児矯正の機能改善の中心に据えています。
マイオブレースは、単に歯を動かすための装置ではなく、舌・唇・頬などの筋肉を正しく使うための「型」を与える装置として使用しています。装置を渡して終わりにするのではなく、お子さんとご家族が一緒に学び、毎日の生活の中で機能を定着させることを重視しています。
「プレオルソとマイオブレースのどちらが優れているか」ではなく、お子さんの歯並び、顎の成長、お口の癖、生活環境にどの方法が合っているかを判断することが重要です。
▸おしむら歯科では、装置名だけで治療を決めません
形態・機能・気道の3つの視点から診断します
おしむら歯科では、小児矯正の診断において、次の3つを確認します。
形態:
歯並び、噛み合わせ、顎の幅、前後的な位置、永久歯が生えるスペースなどを確認します。
機能:
舌の位置、飲み込み方、唇や頬の力、咀嚼、口唇閉鎖、姿勢などを確認します。
気道:
鼻呼吸ができているか、いびき、睡眠中のお口ポカン、鼻詰まり、アレルギーなどを確認します。
歯並びだけを見てプレオルソやマイオブレースを選ぶのではなく、歯並びが乱れた原因を探し、その原因に合わせて治療方法を組み立てます。
当院の治療の基本的な順序は、「機能の是正→形態の誘導→仕上げの微調整→機能の維持」です。
まずMFTとマイオブレースで舌・呼吸・飲み込み方などを整えます。顎の幅や永久歯のスペースが不足している場合は、イージーエキスパンダーなどで形態を誘導します。その後、必要に応じてブラケットやアライナーを用い、最小限の仕上げを行います。
装置は、あくまでも治療を進めるための手段です。
プレオルソ、マイオブレース、拡大装置など、それぞれの装置には得意な役割と限界があります。一つの装置ですべてを解決しようとせず、お子さんの成長や治療経過に合わせて使い分けることが大切です。
お子さんとご家族が続けられる治療方法を考えます
取り外し式の小児矯正では、「毎日続けられるか」が治療結果を大きく左右します。
そのため当院では、
「装置を嫌がらないか」
「学校や習い事と両立できるか」
「ご家庭で装着時間を管理できるか」
「お子さん自身が治療の目的を理解できているか」
といった点も確認します。
装着時間を一度に確保することが難しい場合は、生活の中で分けて装着するなど、お子さんの生活背景に合わせた方法を検討することもあります。治療方法をお子さんとご家族に押しつけるのではなく、一緒に続けられる方法を考えることが重要です。
Q1.プレオルソは何歳から始めると効果がありますか?
A.乳歯列期から混合歯列期に用いられることが多い装置ですが、開始時期は年齢だけでは決まりません。歯の生え変わり、顎の成長、噛み合わせ、お口の癖、装置を使用できるかなどを総合的に判断します。歯並びやお口の使い方が気になった時点で、一度相談しておくことをおすすめします。
Q2.プレオルソは1日に何時間つけますか?
A.添付文書では、日中は1時間程度、就寝中は継続して装着することが示されています。ただし、お子さんの状態や治療目的によって使用方法が異なる場合があるため、必ず担当する歯科医師の指示に従ってください。
Q3.プレオルソをつければ、口呼吸は治りますか?
A.装置を使って唇を閉じ、鼻呼吸を行う練習はできますが、鼻詰まりやアレルギー、アデノイド、扁桃肥大などがある場合は、装置だけでは改善が難しいことがあります。まず鼻呼吸ができない原因を確認することが大切です。
Q4.プレオルソだけで矯正治療を終えられますか?
A.軽度から中等度の歯並びや噛み合わせであれば、プレオルソなどの機能的装置を中心に改善を目指せる場合があります。一方、顎の狭さや骨格的なずれが強い場合、精密な歯の移動が必要な場合は、拡大装置、ブラケット、アライナーなどを併用することがあります。
Q5.プレオルソを希望して相談してもよいですか?
A.はい。プレオルソについて調べたうえでご相談いただいても問題ありません。ご希望や気になっている点をお聞きし、歯並び、顎の成長、舌の位置、呼吸などを確認したうえで、お子さんに適した治療方法をご説明します。
小児矯正は原則として自由診療です。治療方法、費用、治療期間は、お子さんの歯並びや顎の状態によって異なります。装置の使用初期には、痛み、違和感、唾液の増加、就寝中の脱落などが生じる場合があります。また、装着時間やトレーニングの実施状況によっては、予定した効果を得られないことがあります。精密検査後に、治療方法、費用、期間、リスクについてご説明します。
おしむら歯科の小児矯正はこちらから
2007年 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
2017年 日本成人矯正歯科学会認定専門医コース修了(2年)
2018年 Dr John flutter(ブリスベン開業)診査診断コース修了
2019年 おしむら歯科・こども矯正歯科クリニック院長就任
2020年 愛知県歯科医師会食育推進委員、ユマニテク歯科衛生士専門学校非常勤講師
2023年 愛知県歯科医師会調査室参与
日本成人矯正学会会員
日本摂食嚥下リハビリテーション学会会員
メタルフリー歯科学会 認定医
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